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2007年01月30日

染織工房Kazu

 小樽・石狩の秘境探検で、札幌の秘境と同じカテゴリーを無理に探すと候補がある程度揃えられる。しかし、小樽・石狩の都市としての特色を出そうとすれば、それは札幌とは異なる切り口で考えるのがよいと思われる。札幌に無くて小樽・石狩にあるもの、それは一つには海である。さらに、小樽の特色で言うと物つくりを行う人や場所、つまり職人や工房が挙げられるだろう。

 観光都市小樽では職人や工房は観光産業に組み込まれていて、都市の秘境の定義、意外な場所で、アクセスが容易で無料で見ることが出来、考えさせられる対象や場所から外れるものが多い。しかし、著者のように小樽外から訪れる者にとっては、上記の条件をある程度満たすものであれば都市の秘境に組み入れてもよいかな、とも考えている。

 染織アトリエKazuと銘打った手染め、手織りのこの工房は堺町通りに面して金融資料館(旧日銀小樽支店)の近くにあり、観光客相手に売り場を設けていて、観光客が訪れる場所である。雪のちらつく週末にこの工房まで足を運んでみる。ここでKazuとは工房主の寺岡和子さんの名前から採られているらしい。

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 石蔵内部を改造して工房と売り場になっていて、手染めや手織りの仕事場を見ることが出来る。一階部分に手染めの工場があり、紡いだ糸などが染料の入ったボールに吊るされて浸されている。説明は受けなかったので詳しいことは分からないけれど、染色や水洗いの工程を経て織りに回す糸が染め上げられるようである。

 手織りのための機織機(道具)が置かれていて、染色された糸がここで織りの工程に入る。中国で見た絨毯の手織りは工場の雰囲気で、出来上がったものは製品という感じだった。これに対して、ここでの手織りの機織機はこじんまりとしていて、手織りで出来上がって来るものは、製品というより工芸品の部類に入れられるという感じが強くする。

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 二階はこの工房の製品(というよりは作品)の展示と販売場になっている。石蔵の建物の内部はどこも立派な木の造りとなっていて、年季の入った梁や柱は重厚感があって、そこに柔らかな糸や布が並べられている。その取り合わせの妙が生かされていて、観光客相手に工房と作品を見せる工夫が凝らされていることが感じられた。 

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