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2007年01月06日

田中酒造・亀甲蔵

 小樽は種々の業種で石蔵を利用している。レストラン、工房、美術館等々とある。これに酒造りも加わる。小樽の臨港線沿いにある田中酒造の日本酒の製造も「亀甲蔵」と名前のついた石蔵の中で行われている。観光ルートに組み込まれていて、観光バスで観光客が訪れて、秘境の候補にはならない。ただ、ここは無料で石蔵内と酒造りを見学できるので、酒造りが石蔵内で行われている意外性もあるだろうと、見学を試みた。

 玄関部分に、写真のように亀甲蔵の文字をあしらった大きな看板がある。この石蔵は小樽市指定の歴史的建造物であり、その説明板が玄関横にある。旧岡崎倉庫で、三棟の連続する倉庫で、一九〇五年(明治三十八年)から一九〇六年にかけて建築されたものである。建物下部にレンガを積み、その上に軟石を重ねて造ってある。

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 田中酒造の方は一八九九年(明治三十二年)の創業であるので、この石蔵よりは古く、百年以上の社歴がある。本店は小樽市内の別の場所にあり、小樽の地酒「寶川(たからがわ)」をブランドとして守り続けて来ている。

 石蔵内で説明を受けている観光客のグループに付かず離れずで、酒造の現場を見て回る。米から麹が作られる過程や醸造タンク群をガラス越しに見る。大規模な生産ラインがある訳ではないので、生産量は限られる。製造された清酒は同社の販売を主に、小樽市内で売さばかれる、と同社のHPに書かれてあった。

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 石蔵内部にはここで造られる酒や関連商品の売店もあって、蔵直出しの各種日本酒が無料で試飲ができる。当然ながら未成年者と車を運転しての見学者には無料であっても試飲は出来ない。
 
 運転手と秘境探検を行っている当方は、大きな顔で試飲を楽しめる。きき酒なんていう芸当とは無縁の著者は、どの日本酒を飲んでも同じ日本酒にしか思えない。はっきりと清酒との違いが分かったのは酒粕から造った甘酒で、これはなかなか美味しかった。

 ウイスキーでもワインでも口に含んで酒の違いに薀蓄をかたむける粋人が時たま居るけれど、あれは天賦のものなのか、それとも経験の積み重ねなのか。ひょっとすると、美味しいと思って自分の味覚を信じているけれど、他の人はもっと美味しく感じているのかもしれない。

 五感は他人との差を比べてみることができない秘境の部分であるけれど、味を細かく認識できる味覚を持った人はその分豊かな味の世界を持っているのかな、とは思ってみる。

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