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2007年04月06日

不凍給水栓の生まれる現場

 風土に根ざして育まれる技術がある。寒冷地の北海道にあってのそのような技術の一つとして不凍給水栓がある。つまり、冬季に水道管内の水が凍結しないようにする給水栓の技術である。

 水道水が凍らないようにするには、水道管を藁などを巻いて保温したり、水道水を流しっぱなしにする方法が考えられた。さらに進んで、水道管内に残っている水を凍らない地下のところまで下げる水抜きnの方法が採用され、改良が加えられて来ている。

 このような水抜栓・不凍給水栓が使われるようになったのは、1904年(明治37年)の日露戦争が契機になっていると言われている。この戦争で大連からの帰還師団がこの水道技術を持ち帰って利用し始めたらしい。1911年に小樽で仮通水が行われた際に、複数の不凍給水栓が採用されている。その後「和田式」と「佐野式」が残り、1950年小樽の光合金が「佐野式」を改良し、さらに多くの改良が加えられて、現在に至っている。

 この不凍給水栓の製作の現場を朝里にある光合金の工場で覗かせてもらった。給水栓は鋳物であるので、溶かした金属を型にはめて作る。写真は金属を溶かして、次の工程に移そうとしているところである。ここら辺は人間が作業をすることになる。

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 型から出した給水栓の加工は人手とロボットによる方法が併用されている。写真の工程ではロボットが作業を行っていた。汎用ロボットに同社で開発したプログラムを組み込んで自動化システムを作り上げている。最終的な製品のチェックはやはり人手のようで、一つひとつの製品の水漏れ検査が人間の手と目で行われていた。

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 最近の不凍給水栓にはセンサが組み込まれていて、水道水の温度により不凍給水栓の弁が作動するようにしたものもある。バルブ(弁)とエレクトロニクスを組み合わせた造語として「バルブトロニクス」が同社のパンフレットに載っていた。

 昔、冬季に共同の水道から自宅の水がめに水を運ぶ仕事で、朝に熱湯をやかんに入れて運び水道の蛇口あたりに熱湯をかけてどうにか水が出るようにした経験のある著者には、現代の不凍給水栓の作られている現場を見ると、その恩恵を再認識する。

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