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2007年05月25日

北海道薬科大学薬用植物園

 五月の初めにこの植物園を訪れた時、山を切り拓いた遊歩道ぐらいしかないところだと思ったのは筆者の早とちりであった。この遊歩道をどんどん歩いて行ったら薬用植物を育てている一角に出た。そこで働いている人が声を掛けてくる。これは渡りに舟とばかりにいろいろ聞いてみる。

 この薬用植物園の造園と管理を任されている造園業者ということである。めったに外来者が訪れることがないようで、歓待してくれる。園内にある薬用植物の写真と説明文のあるシートを渡され、それを参考に自由に見て回れと言われる。でも、そのうちこの造園兼説明員氏が自前のノートを取り出して来て園内の植物を一通り説明してくれる。

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 なかにはトリカブトのような毒草もある。そのままなら毒草なのだろうが、薬として利用できれば薬草である。芍薬、甘草(かんぞう)、ユリなんかも薬草の代表的なものである。にわか説明員氏はノートに書き留めたメモを目で追って、これは何に効く、あれは何の病気に良いなどとたどたどしく説明してくれたけれど、ほとんど記憶に残らなかった。薬用植物について少しは勉強して来ないと、この植物園の価値は理解できない。

 記憶に残ったのはクロユリで、クロユリを増やそうとしているけれど、思ったようには増えないとのことである。北大でも昨年クロユリの群生地を作る試みが新聞で報じられ、「札幌秘境100選」でも採り上げているので、これは印象に残った。ただし、今の時期花は未だで、開花の頃に又訪ねて来ようと思った。

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 ドクニンジンとかワサビダイコンとか、葉っぱをみるとニンジンやワサビと変わらないものがある。ニンジンかと思って食べると毒があるのは恐ろしい。ワサビダイコンの方は普通のワサビは水辺でないと育たないのに、これは大根のように普通の土で生育する。これを摩り下ろすとバサバサとして普通のワサビにそっくりなそうだ。

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 たまたま迷い込んだような格好の筆者にどうしてこれだけサービス良く説明してくれるのか少々疑問だった。それは、今年から変わった大学の方針によるらしい。大学が一般市民にもこの薬用植物園を開放して、大学の存在価値の宣伝や地域貢献に役立てようとしていることの結果のようだ。

 それはよいことには違いないけれど、心配な点もあった。造園業者はいつでもここに居る訳ではないし、不心得者が貴重な薬草を持っていく危険性も大きくなるだろう。そうすると、秘境として採り上げて宣伝してしまうのは考えものである。しかし、今のところここは都会の秘境の条件に合った場所であり、採り上げる誘惑には勝てなかった。パノラマ写真を拡大してご覧になるには こちら まで。

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