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2008年09月19日

大都会への変貌の証人-サイロ

 サイロとは牧草やトウモロコシ等の飼料を保存しておくための円筒形の建物である。飼料を外気に触れさせないようにして、発酵状態にしておくサイレージ呼ばれるものにして、飼料を長持ちさせるようにしている。現在では牧草地に牧草をロール状にしてラッピングされたものをよく見かけるようになっていて、これはいわば可搬形のサイロで、飼料作りにこの方式が普及し、建物のサイロに置き換わって来ている。

 サイロは古いものはレンガや石で造られていて、札幌には農業遺構となったものも、現役のものもいくつかサイロを目にする。酪農業の原風景を見せてくれるサイロを市内で追いかけてみた。

 札幌のサイロの原点に位置するものは札幌農学校第二農場に保存されているサイロである。軟石を使って造られていて、農場の施設は一九七七年に出来上がっているから、この頃の建築物である。芝生に他のモデルバーンの建物を対になっていて、景観上でも第一級のサイロである。

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 百合が原公園内に残されているサイロは、公園一帯が農家の土地であった頃の名残で、一九三〇年頃に建築された軟石造りのものである。サイロの内は螺旋状の階段がついていて、最上階は展望台になっている。ここから百合が原公園を三六〇度で俯瞰でき、広い公園内の芝生や施設が目に入ってくる。

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 厚別区のひばりが丘団地内にひばりが丘西公園があり、この公園に隣接するようにサイロがある。サイロの名前は旧馬場農場サイロとなっていて、同農場に一九七二年に建築された軟石造りのもので、農場が団地に変わる過程でサイロだけが残された。サイロの屋根には風見鶏がついていて、公園の景観に合うように保存されている。サイロの横にはひばりが丘集会場の建屋がある。

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 月寒に広い農場を持つ八紘学園敷地内にはサイロがいくつかある。現役で使用されているものもある。この学園は栗林元次郎が創設しており、現在「北海道農業専門学校 八紘学園」の施設の一つとして、サイロが教育の場で利用されている。このサイロはレンガ製であり、最近補修工事を行って使用に耐えるものにしている。八紘学園資料館となっているサイロもあり、これはここに吉田農場があった時に建築されたものである。八紘学園の農産物直売所の建物の横にもサイロがあり、これは景観のサービスのためのものであるようだ。

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 その他真駒内の自衛隊駐屯地のサイロ隊舎や月寒の農業研究センターの敷地内のサイロの遺構は別のところで取り上げている。個人の住宅内にあるサイロもある。これらの残されたサイロは、農地に囲まれた札幌が大都会へ変貌していく過程の証人でもある。