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2023年01月01日

爪句集覚え書き-51集

 本爪句集はシリーズで出版してきており2022年2月に第50集「爪句@今日の一枚―2021」を出版してから1年後の出版となる第51集目である。第51集の体裁は第50集とほぼ同じで、年が2021年から2022年に変わっているので、爪句集の書名は第50集の2021を2022に変えるだけでもよかった。しかし、1年も経つと変化を求めたい気持ちも高じて「爪句@空撮日記」にしている。
 本爪句集は毎日投稿しているブログの記事から月毎に17日の記事を選んでいる。ブログはインターネットを利用した写真を主体にした電子日記でもある。この写真に空撮写真を取り入れていて、ドローンでは撮影出来ない天空部分に別撮りした写真を貼り合わせている。こうする事で複数枚の写真を1枚の空撮写真に貼り込めている。これは空撮写真を背景にした複数枚の写真展示であり、爪句集にした時1ページ1枚の写真として表示でき、印刷ページを節約できる利点がある。これが書名を「空撮」日記にした理由になっている。
 さて造語「爪句」についてここでも解説しておきたい。「札幌市もいわ地区センター」から依頼されて爪句に関する講演を行う予定だった。これがコロナ禍で中止となった。この時、講演のために作ったスライド(目次に続くページの写真のQRコードを読み取るとパノラマ表示で見ることが可能)に写真と俳句を組み合わせた「フォト俳句」と「爪句」の違いとして「フォト俳句=写真x俳句」、「爪句=写真+俳句」としている。
 これは説明を要する。フォト俳句も爪句も写真に俳句(川柳)を添えた形式は同じである。しかし、目的とするところは少し違っている。俳句は17文字のテキストデータで閉じられた世界で、そこで感性を表現し想像を広げていく。フォト俳句は俳句の17文字の世界に写真という視覚の世界を重ねて俳句の世界とは異なる次元の世界を作り出すものである。従って写真の説明で終始するのではなく俳句のみでは表現し難い部分を写真で補間するとか、写真には込められなかった自分の気持ちをより的確に17文字で表現する事を目指している。写真と俳句の掛け算効果が期待されている。
 これに対して爪句は写真のキャプション(説明)と捉えるのがより適切と思われる。つまり写真に俳句を足したものである。爪句の造語がパソコンによる写真整理技法-サムネイル(親指の爪)に由来することからも本来的に写真検索ための句といった意味合いが強い。これは爪句集作り(出版)のための作業が背後に控えている事を意味している。フォト俳句は写真や絵画の1枚の作品に焦点を合わせるので、写真と俳句のダブりを嫌う。一方爪句は多数の作品(写真)の区別に主眼が置かれ、効率良くその作品に辿り着ければよい。
 前述の中止になった講演会では参加者がそれぞれ爪句を付けた写真を持ち寄り披露する「実践」が主催者側で企画されていた。しかし、これはフォト俳句の実践で厳密な意味での爪句の実践ではない。爪句はパソコンによる画像データ処理を経て出版まで行って初めて実践となる。だから爪句は写真のキャプション作りで敷居が低いけれど出版まで行くにはハードルが高い。
 空撮写真に別撮りの写真を貼り込む技法は空撮写真をギャラリーにした写真展を開いているともみなせる。本爪句集の空撮写真は自宅の上空で撮影したものが多い。季節や天候の変化はあるとしても毎日同じような空撮写真が並び、そこに貼り付ける日々の新しい写真にとっては、写真を展示する変わらぬ背景のようにも見える。この状態で爪句は写真展の各室の案内ともみなせる。ブログを介して爪句が表現するテーマの写真展を日々行ってきたとも考えられる。なお、自宅庭上空は人口密集地でここでのドローン飛行は「無人航空機の飛行に係る許可・承認書」(東空運第23917号)を国交省(東京航空局長)から得て行っている。
 空撮写真は日の出を狙って撮影している。日の出が上手く撮れる日もそうでない日もある。日の出の定点観察空撮写真になっている。これが気象の研究につながるものがないか考える事がある。そうなれば爪句は研究データの記録ともなる。研究と限定しなくとも写真に付けられた爪句を並べると、何か新しいつながりや発見に辿り着けそうだ思ったりしている。今のところはっきりしたイメージを持てないけれど、爪句の発展につなげられるものではないかと考えている。

           雪曇りで初日の出を拝めない2023年1月元日に

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