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2007年07月08日

秘境のレストラン「やぎや」

 「札幌秘境100選」で「新旧小別沢トンネル」のテーマを扱っている。小別沢側の旧トンネルまで出向いて取材し、封鎖された旧トンネルの入口の写真を掲載している。この写真を撮ったその場所にレストラン「やぎや」があったとは知らなかった。何か急にこんなところにレストランが出現して、これぞ秘境のレストランである。

 今回小別沢トンネルに向かう狭い路を福井のほうから進んで、見落としそうになる新トンネルからの分かれ道をトンネルの上の方向に登っていく感じで進む。旧トンネルの手前で行き止まりで、道に駐車して近くをみる。ありましたね、「やぎや」の看板が。道路(といっても道は続いてはいませんが)脇に申し訳程度に置かれてあったこの店の看板は、探すつもりで行かないとまずは見つけられない。

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 レストランはどこかと見回してもそれ風の建物はなく、農家のような建物がある。これが「やぎや」で、レストランだけと思ってみるから当て外れで、ここは山羊を飼っている農家でもある。山羊の乳が食材となって客に供されている。

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 その山羊はレストランの上のほうの小高いところで草をはんでいる。電柵があるjので山羊に近づくことはできない。遠くから写真を取る。豚、うさぎ、猫、犬がそこらへんに飼われていて、ここは農家の庭先である。先客のカップル(多分夫婦)がケータイで写真を撮っている。この店のことを聞きつけて車でわざわざここまで来たそうである。

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 レストランの玄関に入ると、ここの釜で焼いた特製の酵母パンがバスケットの中に値段がついて置かれている。店内に入っても誰も出てこない。奥の調理場で料理をしている男性に声をかける。
 
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 顔を出してた、ひげをはやした山羊風のコック氏が一人で料理も、ウェイター役も、レジ役もこなしている。察するにそれで十分らしい。ここからは料理の話になるのだけれど、料理は口に入ればよい、という無教養人間の当方は料理の話はスキップする。ただ、ひとつだけ料理の話をすると、パンにつけるジャムらしいものが出てきて、これは何だと言っていて「ルバーブ」のジャムと答えた筆者の推測が正解であった。自宅にルバーブの株があって、自家製ジャムを作ってもらって食べていたので分かった。ただ、あれは砂糖をたっぷり使うという理由で、最近は料理人が作ってくれなくなっている。先刻の夫婦は二人で出された料理を盛んにケータイカメラで撮っていたから、きっとこの秘境のレストランを知人に知らせているのだろう。

 この日最初の客のくだんの夫婦が食後のデザートに自家製ケーキを頼んでいたので、我が方もケーキを頼んだら売れきれだと言われた。ケーキを食べ終わって出ていくカップルが、自分たちがケーキを食べてしまって、気の毒だったと声をかけて出ていったけれど、いやそんな事はありません。ダイエット中の筆者にしてみればこれは天の配剤だ。

 レストランなのに書庫があって、本をよみながらのカフェ風にもなっている。この雰囲気に呑まれて拙著の秘境本を寄贈してきた。もし、どなたかこのレストランに行くようでしたら、拙著が書架にあるのを確かめてみてください。