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2008年07月16日

火薬庫のレンガの刻印「S」を探して

 江別市はレンガの街とも呼ばれる。その象徴的建物は屯田兵用火薬庫で、現在はJR江別駅の近く、江別小学校と道路を挟んだ緑地に設置されている。建物は(明治19年)に建てられ、その後江別小学校の前身の小学校の御真影と教育勅語を納めておく奉安殿となっている。

 この火薬庫には幾度も訪ねている。季節は冬から桜の季節、緑の濃い夏と、一度みれば特別見るところもないこの小さな建物を何度も訪れたのには理由がある。建物の横の史跡の説明板には、札幌白石の鈴木煉瓦製と思われる刻印「S」が確認できる、という記述がある。この記述を鵜呑みにして、火薬庫のレンガの一枚、一枚を目で確かめるのだが、刻印は見つからない。時には二つの目では不十分かと、運転手役の目も借りて四つ目で探しても駄目である。

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 この状況の打破とばかり、火薬庫を知っている人に聞くとアバウトな位置を教えてくれる。そこでまた機会を見つけては火薬庫に出向いて探してみるのだが無駄足である。札幌からわざわざ出向いても収穫がないのも癪な話で、近くの江別小学校のレンガの建物と桜の花、火薬庫の三テーマを写真に収めてもみるけれど、仕事を遣り残した気分である。

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 本書の原稿もほとんど揃った時点で、もしレンガの刻印が見つかるならこのテーマを採用しようと、双眼鏡、望遠のカメラ持参で、何回目になるのか覚えていない火薬庫詣である。今度は事前の準備として郷土資料館まで出向いて、刻印の件について聞いてみる。資料館には刻印の写真があり、資料館の関係者が撮影者に電話で場所を聞いてくれる。

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 三ヶ所ほどあるそうで、その場所を頭に叩き込んで最終回の刻印探しである。一ヶ所は土台の近くのレンガが逆さまになっている部分で、これは教えてもらわねば建物の表面を見ているだけでは絶対に見つからない。ここはカメラをレンガの下に差し込んでの接写撮影である。

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 軒下近くのレンガの刻印は教えられた場所辺りにやっと見つけることができた。こちらは望遠のカメラでの撮影で、光の具合で撮影がうまくいかないところ、どうにか刻印を認めることができる写真を撮ることができた。ここまで取材を徹底させると、この火薬庫の秘境度は高まる。秘境はそこに在るものではなく、見つけ出すものだ、と都市秘境の定義を新にしている。

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comments

 執拗な取材を重ねられ、ついに目的を果たされた隊長の姿勢を私も学ばねばと思います。
 「秘境はそこに在るものではなく、見つけ出すもの」という言葉にも深く同意します。
 隊長が見出した「都市秘境」という新たなカテゴリーも、ただ見出すだけではなく、そのことに執拗にこだわり追究されていることが、今日のような認知度に繋がっているんですね。

  • 田舎
  • 2008年07月16日 10:49

 取材が何度にもなるのは、要領が悪いこともあるのですが、取材結果をまとめる時になると取材不足に気がついたりして、又取材場所にゆくことになります。江別市や北広島市では最近のガソリン高で、何度もとなると交通費がかかって少々困ります。田舎おじさんの麺紀行も店に入るのでお金がかかるとは思いますが。

  • 探検隊長
  • 2008年07月16日 17:22

“S”ですね、確かにエス。
遺跡探検と同じようなにおいがします。

“S”です。こんな刻印が他のレンガの建物に隠されたようにあるのなら、「隠された刻印巡り」みたいなツアーが組めるのですが、まあ難しいでしょう。

  • 探検隊長
  • 2008年07月17日 20:22
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