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2010年12月03日

由緒ある篠路神社の大口狛犬

 JR学園都市線の篠路駅は木造の古い駅舎で、札沼線の名前の方が通りのよかった時代を思い起こさせる。駅舎は線路の西側にあり、駅前には札幌軟石の倉庫群があり、現役で利用されている。この倉庫群に接するように神社の境内があり、花畔札幌線の道路に面して鳥居が建っている。
 この神社の由来は、1885(安政2)年の若宮八満の創祀まで遡る。1887(安政4)年には篠路八幡社の社殿の造営が成り、1877(明治10)年には本殿が建立されている。1956(昭和31)年百年祭を行い、社殿改修や社務所改築を行っている。祭神は天照大御神、品陀別大神(ほんだわけのおおかみ)、保食神(うけもちのかみ)、菅原道真公、大物主神(おおものぬしのかみ)、崇徳天皇(すとくてんのう)、天香山命(あめのかぐやまのみこと)と並ぶ。
 社歴は古くとも、大社というほどでもなく、鳥居、手水場、灯篭、狛犬を配置して社殿がある、典型的神社の構成である。狛犬は1927(昭和2)年の奉納年が刻まれていて、年季物である。石工の名前もあり、札幌市・北八東一、小林孫一となっている。
 阿形の狛犬は石の塊に大きな空洞ができたような大口を開けている。最初牙や歯が彫られていたものが、欠けて無くなり、その分空洞のようになったのではないかと思われる。それにしても大きな口である。
 阿形犬の後ろに大きなシダレヤナギの木がある。札幌市の保存樹で、説明の看板を読むと、樹齢は120年以上、樹高15 m、幹周3 m、篠路神社の前身の棒杭神社がつくられた1885年の時からこの地にあったと伝えられている古木である。初冬を迎えても、緑の葉が垂れた枝に見え、シダレヤナギの方は、狛犬とは違って葉(歯)がしっかりとついている。シダレヤナギの幹にある瘤が、狛犬の身体の巻き毛に似た感じがして、お互い近くに居ると似てくるものか、とも思ってみる。

柳葉は 歯欠け大口 際立たせ

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 吽形の方は造りに欠けたところはなく、力の入った作品である。貌にかかる巻き毛の表現が見事で、現代のヘアスタイルに取り入れてもよさそうである。この狛犬の髪型をモデルにして、狛犬スタイルとかいったネーミングの女性のヘアスタイルが流行ったら、狛犬の人気も出てくるのではなかろうか、などと考えている。

現代に 通じる髪型 巻き毛なり

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 境内には馬魂碑と馬の石像が置かれている。これはこの地に郷里徳島の藍を持ち込んで生産を行った滝元五郎が、1882(明治15)年に興産社を興し、大農式農業経営のために馬の導入を行ったことに由来している。その後1926(大正15)年にはフランスからベルシュロンの種牝馬のアニー号が輸入されている。馬魂碑はこのアニー号や他の馬を祀るものである。石像の馬がアニー号なのかどうかはわからない。

狛犬と 並んで名馬 残りおり

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