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2013年04月28日

爪句@今日(4月28日)の一枚

春嵐 駅の句集の 整理なり

 朝から風が強い。庭の枯葉が生きた鳥のように曇り空をバックに舞っている。散歩したい気持ちもどっかに飛んでしまっている。こんな日はパソコンに向かって原稿整理である。爪句21集目は道南の駅巡りで、表紙の新デザインと組見本が届く。

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追記:

爪句考―その8

 本爪句集の個々の作品は三つの部分から成っている。写真、爪句、短文である。このうちどれから作品にしていくかといえば、まず写真である。写真を撮り次に爪句を詠み、さらに短文の説明を書く。
この過程を逆にして、爪句や文章を先に書いておき、それに合う写真を撮影することも考えられる。この場合問題になるのは作品を生み出す自由度、あるいは融通性である。写真は自然や物事に張り付いている。写真を撮る自由度はカメラのアングルや位置を変えて対象の切り取り方の選択とか、望遠レンズやマクロレンズを用いて対象への迫り方の工夫があっても、元の対象が変わる訳ではない。
 こうなると、先ず撮ることのできた写真を手にして、それから爪句なり文章を作る方が作品を生み出し易い。爪句や文章は、表現方法とか文字数等の制約はあるものの、写真を素材にしていかようにも詠み、表現することができる。爪句や文章は自由度が高く、融通性のある表現手段である。
 写真も作り出すもの、例えば被写体に手を加えて、映像化するような場合は写真撮影を後回しにした方法が考えられる。爪句や文章で予めシナリオを作っておき、それに合ったように被写体選び、あるいは手を加えて写真にする。これを発展させれば、それは映画や映像の世界に足を踏み入れることになる。本爪句集の作品はそこまで手を広げてはいない。
 写真を撮影して、次に爪句を先に詠み、状況の説明を加える形で文章を書くのか、逆に文章を書いておいて、そのまとめのような形で爪句で締め括るのか、これは場合、場合による。前者は、写真を撮って、あるいは撮った写真を見て、直ぐに爪句が思い浮かぶような場合である。この場合、文章は追加説明のような性格となるので、作業の流れに比較的淀みが無い。
 後者の場合、写真に合った爪句がなかなか表現できない時に採る方法である。爪句を捻り出すのに苦し紛れのところもあるけれど、有効な方法でもある。写真を見て、ともかく短文の説明を書いてみる。その説明文を5 7 5でまとめるとどうなるか、を考えると写真の説明文的な爪句ができあがる。
 本爪句集では、駅巡りを行い駅舎や駅ホームの写真を撮ったものに爪句を添えている。駅は基本的には似た構造になっている。線路があり、駅ホームがあり、駅舎がある。ホームが線路で分断されていればホーム間を渡るのは跨線橋か構内踏切の差だけである。駅舎の大小、新旧の差はあっても、駅の機能は変わらない。
 こうなると、駅ごとの説明的爪句は必然的に同じパターンにならざるを得ず、確実に違えることの出来るものは駅名ぐらいとなる。駅名だけが変わった類型的な爪句に、いかに変化を与えることができるか、それが本爪句集のテーマでもあった。そこで多用したのが、最初に駅の説明を書いてみて、その凝縮形として爪句にしてみる方法である。
 爪句の写真撮影の対象が駅と決まっている。さらに本爪句集で採用しているパノラマ写真法では、対象を一部切り取る撮影ではなく、全体を1枚の写真にしている。こうなると、どこに焦点を合わせ、どのように撮影するかに頭を使っていない。カメラを持って立つ位置を決めれば、あとは自動的な撮影作業となる。
 このようにして撮影された写真を見て、駅の説明を書いてみる。構内に線路は何本あるか、ホームは何面か、駅名の語源は何に由来するのか、駅の周囲に何があるのか、等々と制限文字数(200文字強)で書いてみて、そこから語句を選んで5 7 5に並べてみる。あまりにも説明的なら現場に立って感じたことを塗していく。本爪句集の句はこのような流れで作られているものが多い。
 このような写真の説明的な爪句が、他の俳句や随筆と肩を並べる(文芸)作品と呼べるものかどうか、著者にも疑問は残る。しかし、写真、爪句、短文の三点セットを一つの合体作品とみなしてよいという持論は揺るがない。駅という同じ対象をまとめたので、類型的に流れたきらいはあるものの、作品を創作している感じに浸ることはできた。
 駅の爪句集は今後も続ける予定である。最終的に全道の駅の写真撮影と爪句の句作とが終わるまで続けようと決めている。全道の465駅の爪句として、同じものが重ならないようにしたいものだと、今から思っている。

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