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2017年08月10日

今日(8月10日)の一枚

編集の 作業難事の 共著なり

 「爪句集覚え書き―33集」を書き上げる。これをメールに添付で送り、爪句集33集の出稿に区切りがつく。33集は共著になっていて、これまでの爪句集で共著であった「爪句@札幌街角世界旅行」の表紙と送った原稿の一部を重ねて撮ってみる。

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 「覚え書き」と爪句の文章量の比較のため「覚え書き」のテキストデータをブログに載せておく。
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爪句集覚え書き―33集

 本爪句集は共著の形式になっている。共著の爪句集はこれまでに「爪句@札幌街角世界旅行」を出版している。共著にする第一の目的は、一人の著者では設定したテーマの内容をカバーしきれないので、共著者に手伝ってもらい、爪句集がテーマに関して「羊頭狗肉」に終わらないようにしたいためである。
 「北科大物語り」のようなテーマでは、特別講義等で年に片手の指で数える程度しか同大学に行く事がない著者の取材だけでは限度がある。ここは毎日通勤している教職員の方々に作品作りに加わってもらうと、爪句集のテーマに幅が出て、その分内容が充実するだろう。爪句集出版後に、読者としての北科大関係者が本爪句集を手に取ってみることを想定すれば、同大学の「物語り」になっていると関係者に多少は評価してもらいたい。この意図もあって、最初から共著にする事を考えた。
 さらに、出版後により広く読者を掘り起こす上からも共著者の存在に期待を寄せている。一人の著者より、複数の共著者による爪句集に関する話が拡散すれば、その分爪句集の頒布の拡大が見込める。これは出版費用の回収の上でも有効な手段と考えた。
 共著にする前記の理由があっても、実際に共著の爪句集を出版するのは越えなければならない壁がある。第一は、共著者と共著の作品を集める事の難しさである。「爪句」という「写真+句+短文」作品形式が広く認知されていない現状で、共著者に加わる方に説明し作品提出まで漕ぎ着けるまで手間暇がかかる。これが俳句なら、単に句集を出版するので共著者になってほしい、で説明は完了する。爪句集の場合には、時には造語である「爪句」の説明から入らねばならぬ事が往々にしてある。
 どうにか共著者と作品が集まったとしても、1冊の爪句集として編集する際に、全体としての整合性に気を配る必要がある。編集の段階で作者に問い合わせようにも、故人となられた共著者も居られ、これには対処の術がない。故人とあるように、共著の爪句集は作品が集まらないこともあって、編集を終えるまで足掛け3年の歳月がかかっている。この月日の経過がもたらす個々の作品との整合性も、編集上での悩ましい問題であった。
 前掲爪句集「街角世界旅行」は道新文化センターの講座参加者や顔見知りの方々に声を掛けて共著者になってもらった。これに対して、本爪句集の共著者は、数名を除けば、作品を受け取っていても面識が無い。共著の形式が先にあって、共著者を無理して揃えた点は否定できない。この点も本爪句集が世に出るのを遅らせた一因になっている。
 爪句集の体裁を整えるため、カテゴリーを設け、10のカテゴリーにわけて編集した。ここで共著者の作品が「研究」のカテゴリーに集中していて、共著者達が科学大学に勤務している背景を物語っている。科学や技術論文とは異なる、文芸の要素の強い作品を生み出す作業は、日頃の研究とは勝手が違っていただろう。共著者が、普段馴染みのない爪句の作品作りのために立ち止まって考えると、日々対象にしている科学や技術の分野に目が行くことになるのだろう。これは新しい爪句の可能性を示唆するものである。
 科学や工学を専門としていても、研究の感想やメモ代わりに爪句の形式を利用するのも、爪句の発展方向の一つではないかと考えるようになっている。専門外の読者に専門の論文を読んでもらうのは無理な相談である。しかし、写真つきの句と短文のメモ程度のものであれば、読者は何となく研究の核心に触れた気にもなろう。研究者の方も爪句作りが研究論文を書く合間の気晴らしになるかも知れない。
 「爪句集覚え書き」を書いていて、この点を新しく認識するようになっている。次回、研究者や実践者を共著者にして爪句集を共著で出版することになるなら、この点を進化させてみたいと思っている。追い求めているテーマを、日頃から爪句の形式で記録しておいて、これを素材にして編集段階に進めば、それほど労力を要せずとも、専門性を兼ね備えた、読者にも読んでもらえる共著の爪句集出版にもってゆけるのではなかろうか。今後の爪句集出版の課題だと思い始めている。

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