Search


Archives

2007年05月11日

旧アドバンテスト研究所跡

 国道5号線で、札幌と小樽の境界の札幌の星置から小樽の星野に入って直ぐに手稲山の方向に大きな建物が目につく。これはかつて「アドバンテスト研究所」の社屋であって、研究所開設当時この建物の内の立派な研究施設を見学した記憶がある。

 半導体試験装置メーカーで世界トップのアドバンテスト社が、星野町の約十五ヘクタールの敷地に、鉄骨造り一部四階建てで、延べ約五千平方メートルの研究所を設立したのは一九八七年のことである。医療用機器や光計測器の基礎研究をここで展開し、研究を核に小樽市に三百~四百人規模の工場建設という景気の良い話もあった。

 しかし、八○年代後半には約一千億円の売り上げを誇り優良企業だったアドバンテスト社も、バブル崩壊後の不況で九三年三月期の売上高は約半分の五百五十億円に落ち込み、研究所の閉鎖に追い込まれた。「地元採用の事務職三人を含む十八人の従業員は同社の仙台研究所に配置する予定」との後始末以後のことはどうなったのか当事者でないので分からない。

 国道5号線を通る度に目立つこの建屋を目の隅に捉えて、その後どの企業に渡って、現在は何に使われているのだろうか、と思っていた。今回小樽の秘境探検ということで、この建物を訪ねてみることにする。

%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E5%BB%83%E5%B1%8BA.jpg

 国道5号選から星野町に入って、目指す建物に行こうとするのだが、その道が無い。建物の見えるところに車を止めて、空き地を歩いて建物に近づいてみる。建物には企業も入っておらず、廃屋同然である。土地、建物を有効に生かす買い手が見つからなかったようである。

 建物に通じる道路はと探してみると、写真のように車道は掘り返されて通行出来ないようになっている。道理で車で建屋に行き着くことが出来なかった訳である。建物の後ろ側には札幌と小樽を結ぶ高速道路が走っている。もし、この研究所が活動を続けていれば、この高速道路につながる道も造られていたかも知れない。

%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E3%81%B8%E3%81%AE%E9%81%93%E8%B7%AFA.jpg

%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E8%A3%8F%E9%AB%98%E9%80%9FA.jpg

 この研究所に関する報告を書くため、当時研究所に勤めていた研究員に当時の写真か資料でも貸してもらおうかと、連絡先を追いかけても、途切れてしまっている。この研究所の建物の形は留めていても、人のつながりも記憶も精々十年なのに、確実に風化してしまっている。

comments

はじめまして、小樽市星野 建物で検索してこちらへお邪魔しました。この前、主人とドライブで星野の奥へ入って行ったときにこの建物を見つけ何なんだろうと思っていたので、解明できて嬉しかったです。これからも色々な秘境情報楽しみにしております。

ほわりんさん わざわざお越しいただきありがとうございます。あの旧アドバンテスト研究所の建屋はもったいない限りです。何とかの夢の跡、といったところです。

  • 探検隊長
  • 2008年04月16日 15:10

仙台に移った研究員のほとんどは
会社に残っていません。
2名ほどがまだ仙台にいますが、
研究員ではなくなりました。

  • 2009年06月26日 00:25

 年月を感じさせますね。小樽の秘境本を出版してから2年にもなっていないのに、随分昔のような感じです。

  • 都市秘境作家
  • 2009年06月26日 01:18

なんでこんな山の中にぽつんと建てたんでしょうね。何かヤバい研究でもしてたのかな?

  • 2016年11月02日 07:53

 記事にも書いているように、この研究所の横を札樽道の高速道路が走っていて、研究所が発展すれば高速道路につながるようにしたいとの話を聞いていました。山奥にある研究所ではなく、半導体に関連した計測装置や計測法の研究をしていたと記憶しています。それにしても、建屋の内部はどうなっているのでしょうかね。

  • ブログ子
  • 2016年11月02日 08:23
comment form
comment form