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2007年06月01日

小樽の水造り

 今回の都市秘境探検で、飲み水が造られものであることの認識を新たにした。勝納川の上流にある奥沢貯水池の近くに、この貯水池からの水を水道水に変えるための奥沢浄水場がある。ここで飲み水が造られているのである。その造り方が、美味しい小樽の水道水を生み出している。

 水道水は川の水を貯め、これから異物、雑菌、臭い等を取り除いて行く浄水工程を経て造られる。この浄水工程には、砂を使った緩速ろ過と、ろ過剤等を使う急速ろ過があることを知った。奥沢浄水場では前者の緩速ろ過方式を採用していて、プールの底に砂(山砂)を敷いて、ここを1日4~5mmの速度で水を浸み込ませながら厚さ8cmの砂の層を通過させ、このろ過水を集めて殺菌して水道水となる。

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 当然砂には異物その他が取り残されるので、定期的に砂の入れ換えが必要となる。浄水場を見学したとき丁度この砂の入れ換え作業をしているところであった。ベルトコンベアーで、今までの下の部分にあった砂を上に移す作業が人手で行われていた。どうして今まで底にあった半分の砂を上にするかというと、この部分の砂には水を浄化するバクテリアが残っているので、新しく入れる砂の上に乗せ、バクテリアを生かして使うためだそうである。

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 この浄水場は1914年(大正3年)に造られているので、もう九十数年もこの人手のかかる方式を続けて来たことになる。驚くことは、この歳月が経ってもプールの石組みからの漏水がほとんどないことで、水の蓄えられているプールと砂換え作業の行われている水抜きプールの境目の石壁からは水が少し浸み出している程度である。

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 貯水プールは4つあり、それぞれ年三回砂の入れ換えを行う。水の蓄えられているプールの方には金網籠内に金魚が飼われていて、水質モニターの役目をしている。このように緩速ろ過方式ではろ過のため広い場所が必要で、浄水場を広くとれない都市では一般に急速ろ過方式が採用されている。

 この手間暇はかかるけれど、自然の浄化力に頼る緩速ろ過方式が、美味しい水道水という評判を取っている飲み水造り出している。美味しい水に自信を持っている同市の水道局では、ペットボトル詰めの水道水も売り出している。水道水とは蛇口を捻って得るものだとの固定観念があったけれど、ミネラルウォータ並みにペットボトル入りでコンビニ等でも売られる時代になったのである。

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