2007年06月17日
小樽のガラス工房と工場
小樽は観光客を集めるガラスの土産物店が軒を並べ、ガラスの物造りが盛んなところである。これはかつて小樽が漁具としての浮き球造りの伝統があったことも関連していて、NHK札幌が制作して2007年5月全国放送になったドラマ「雪明りの街」のヒロインの父親が、この浮き球を吹く職人という設定であった。
ドラマそのものは軽くて、北大生のヒロインが社交ダンスの同好会のメンバーで、大学間の競技のための練習をしているシーンが主に出て来くる。北大生がダンスとアメリカ留学までする研究を両立させていることになっていて、やはりドラマである。ドラマの付録で、実際には閉鎖されていた浮き玉造りの工房(工場)を、このドラマのためだけに関係者が再開させたエピソードが放送されていたけれど、こちらの方がドラマより面白かった。
この放送では、ヒロインの父親は頑固なガラス吹き職人を演じてしたけれど、ガラスの物造りはこの職人と工芸家(作家とも呼ばれている)の線引きがはっきりしない。ガラスの土産物屋に並んでいるほとんどのガラス製品は、作り手の名前がある訳ではないので、それらを作るのは職人と言える。しかし、中には作家が作るガラス工芸品は当然あって、それを作るのは芸術家ということになる。一方、何々工房の名前がついたところで作って販売しているものはその工房主の作品だとすると、作家の作品と言えるかも知れない。
ガラス工房か工場かも線引きが難しい。作家が工房を持って細々と自分の作品を作っている場合もあれば、職人を使って大量生産をしている場合もある。熱を伴う物造りであるため、工場内の熱管理を行い工業製品並みにコストを下げる努力がなされている現場を見ると、これは工房というよりは工場である。
観光客相手にトンボ玉造りの実演を見せてくれるところもある。これは店の売り子が客の依頼に応じて、トンボ玉がどのように作られるかを解説を交えて行ってくれる。こうなると売り子のサービスで職人でもない。しかし、著名作家による高額なトンボ玉が店頭に並べられていたりする。
トンボ玉の実演を見せてもらったガラス工房には、筆者が主宰している勉強会「eシルクロード大学」をプリントしたガラスのジョッキを、修了証代わりの記念品として作ってもらったことがあるので、とりわけ親しみを覚えている。
- by 秘境探検隊長
- at 01:22
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