2007年12月12日
ほくでん総合研究所で培養されるマリモ
江別にはかつて北海道電力(ほくでん)の火力発電所があった。しかし、この発電所は今はなく、発電所のあった敷地には「ほくでん総合技術研究所」が建っている。電力会社の研究所なので、発電、送配電、電力機器や測定装置の開発等の研究が行われているのは容易に想像がつく。この想像に反して、電力会社なのにこんな研究が行われている、といったものが見つかるのを期待しながらこの研究所を訪れてみた。以前この研究所でチョウザメの養殖の研究が行われていた頃に見学した経験もこの期待を膨らませた。
石狩川に沿って走る国道337号線が対雁(ついしかり)を抜ける辺りに研究所がある。研究所に入ると一階のロビーには研究成果のパネル展示がある。それを順に見て行くと、マリモの培養の研究が目についた。これぞ秘境にふさわしい研究であると、この研究を一番の優先順位にして見学させてもらった。
マリモは最初は糸状の藻が集まり、水の流れ等で球状に発達してよく目にする毬藻となる。人工的にマリモを培養するには、肥料成分を加えた水中で糸状の藻を繁殖させ、これを攪拌して藻の塊を作る。この時の肥料成分を調節して藻の培養率を高め、さらに藻を塊にする装置や方法などが研究の対象らしく、研究依頼元の阿寒町(現在は合併で釧路市)と共同でマリモ培養に関する特許を取得しているとのことである。
パネルの写真が示すように、機械で藻の塊を作ってもそのままでは球状にはならない。そこでおにぎりを作るように人間の手で丸めてマリモの形をつくるのだそうである。おにぎりの手さばきでマリモが生まれてくとは予想もできなかった。壁際に水槽があり、培養された小さなマリモが水底に重なっている。この程度の大きさにしたマリモを、土産用の商品として販売も検討したところ、盗掘されて売り物として出回っているマリモとの価格競争に勝てず、商品化は成功していないと説明された。悪貨は良貨を駆逐する、といったところか。
九月に研究所公開日があり、この時には列を成す見学者の先着三百名に無料でマリモが配られるとのことである。電力会社の研究所を見学しに行ってマリモがもらえるとは、これはやはり秘境の研究所である。
- by 秘境探検隊長
- at 02:37
comments
培養した藻は販売するのですか?
培養したマリモは販売されていません。研究所の公開日に、所内見学のための来訪者に無料で配られています。
培養したマリモでわなく培養した藻です、
人工マリモを自分で作ってみたいのですが?
マリモを構成している藻という意味でしょうか。その藻もマリモ同様販売はしていません。
有難う御座いました。