2009年07月01日
三角点
評判のようなので映画「剱岳-点の記」を観てきた。三角点に関しては、札幌市内の一等三角点を探し歩いて「札幌の秘境」に載せているので、興味があった。
帝国陸軍の地図作りの下請けで、三角点設置と測量を請け負った主人公側と、歴史が始まったばかりの日本山岳会側が剱岳の初登頂の先陣争いを演じる挿話などを織り込んで、ストーリーは展開する。
測量隊の主人公と山岳会のリーダが顔をあわせる場面で、「何故山に登るのか」問答が交わされる。(この問いにはあの有名な答え「山がそこにあるから」が頭をよぎる)測量隊の立場は明確で、地図作りのために山の登るのである。原作者(新田次郎)も「何を成したか(初登頂をした)かが重要ではなく、何のため(地図作りのため)にしたかが大切である」という結論で締めくくっている。
で、話は飛ぶ。測量の見通しが利く必要があるため、三角点の標石は高い山に設置されているのが普通である。高い山なら、三角点を求めてその確認だけのために登山する人もほとんどいないだろうと思っていると、三角点探訪の目的で山登りして、その記録を散文と山のスケッチで「北の三角点探訪」(1~3)と題した本を出版している人がいる。
著者は川越皓充という方でスケッチは倉岡啓吉と記されている。よくもまあ、全道の山をくまなく回って三角点の標石を確認したものだと感心するばかりである。
この著作の冒頭に次の言葉がある。「一等三角点は 地図を作る人にとっては、単に測量のための標石であるかも知れない。 が、登山者にとっては山の仲間であり、心の道標でもある。」
人は立場によって考え方、感じ方の方向が180度変わることがある。
- by 秘境探検隊長
- at 13:28
comments
いつもブログ拝見しています。ITばかりでなく何事にもお詳しくてまたお花のことも、よくまあと思うほどご存知なのですね。川越さんがご本を出されているのは知りませんでした。
川越さんのガイドで沢山の山に登らせて戴きました。本を買ってきます。
花は写真を撮ってから調べることも多くて、あらかじめ知っているという訳でもありません。記憶力減退で、一度覚えた花の名前が次に思い出せずに、困ったことだ、と何度も思うことがあります。
川越さんは北海道の登山界では著名な方のようですね(当方、登山とはあまり縁が無いもので)。山シャクヤクさんも若い頃は随分山登されたようで・・・
私も山登りの方に聞いてみたくなることがあります「どうして山に登るのか」と。この質問は「どうして音楽を聞くのか」と同じ質問なのか、そうでないのか・・・
追伸:川越さんのご本は頂いたもので、書店では置いていないかもしれませんん。念のため。