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2010年12月06日

北海道神宮頓宮の狛犬の雌雄

 再開発で流れを取り戻した創成川を南1条通で越えるところに、軟石造りの創成橋があり、それを渡りさらに東に行くと北海道神宮頓宮の境内に着く。東5丁目通に面して鳥居が立っていて、社名の石碑には「北海道神宮屯宮」の文字が見える。屯宮は頓宮のことであり、仮の宮、神社でいえば仮に設けた遥拝所の意味がある。

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 北海道神宮は元は札幌神社であり、その遥拝所として1878(明治11)年にこの頓宮が建立されている。境内には2対の狛犬が置かれている。社殿に近い方にある軟石造りの古い狛犬は、1890(明治23)年が奉納年であるので、この頃に頓宮の整備が進んだことを証している。この狛犬が北海道で最古の狛犬とされている。
 狛犬は、例の少ない構えの姿勢で、頭部を低くして腰を上げ、尻尾を立てている。狛犬は想像上の動物なので、その身体の作りに言及しても意味はないのだけれど、狛犬の尻尾は普通の動物の尻尾とは似ていない。構えの姿勢ではこの尻尾が頭部ほどの大きさで、それを立てると、相手を威嚇する道具のようになっている。狛犬の尻尾は威嚇の目的で進化したのか、などと考えを広げてみる。
 阿形の狛犬は玉を咥えて、子供の狛犬がまとわりついている。そうするとこれは雌の狛犬となるのだろう。咥えた玉を雄のシンボルとみなせば、雄をがっちりと咥えて、子供をあやしているのは、実在の動物でも人間でも雌の雄に対する立場を象徴的に表しているのかな、と思ってみるけれど、玉の例えは深読みかもしれない。なお、献台文字に刻まれた「奉献」の文字は浮かし彫りになっていて、これは手が込んでいる。石工の腕の見せ所はこんなところにも及んでいる。

雌なれば 仔あやす口 玉咥え

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 阿形が雌であれば、対する吽形は雄となる。こちらは牡丹の花のある枝を咥えている。百花の王の牡丹を咥えることで、狛犬が百獣の王であることを象徴させているのだろう。しかし、現代風の解釈では、人間の世界で男性が女性に花を贈って恋心を伝える仕草を狛犬にも投影させている、といった見方もできる。この類の勝手な解釈は、この境内にある新しい一対の狛犬に対しても行うことができる。

雄なれば 百獣王も 花贈り

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