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2010年12月12日

公園の一画に居候する菊水神社

 一条大橋で豊平川を東側に渡るとそこは菊水地区である。一条大橋につながる道路は札幌夕張線の一部で、地下には地下鉄東西線が走っている。地下鉄菊水駅の近くで札幌夕張線と直行して、国道36号と南郷通の間を結んで大きな通りがある。これがかつて大門通と呼ばれた通りである。名前のとおり、通りの端には大きな大門があり、通りに沿って白石遊郭と呼ばれていた札幌の遊郭が形成されていた。
 神社の建物は、かつての大門通に面して菊水公園の一画に居候のようにしてある。この神社は当初白石稲荷神社であり、1920(大正9)年に現在のすすきのから遊郭がこの地に移された時、街の氏神として翌年の1921年に移されている。1970(昭和45)年には、稲荷神社から菊水神社に変更し、祭神も北海道神宮から伊勢の外宮の神を受けて祀っている。祭神は宇賀之霊之神、太田之神、御子之神、広瀬之命、大宮売之命とあまり耳にしたことのない神々である。

高床の 遊具の家か 公園内

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 神社としては高床の社殿だけがあり、社殿の周囲には灯篭や狛犬の姿はない。公園の遊具と一緒では、遊具の一つとして造られた神社風の家かとも思えるほどである。注意してみると、社殿の鴨居の両端の部分に、口を開けた動物の彫り物が付いている。狛犬のようにも見えるけれど、阿吽の形になっていないので、これは獅子のようである。巻き毛と渦巻き雲を重ねてデザインしているように見える。その見方で鴨居の中央部分の立ち昇るデザインの瑞雲を見ると、二匹の狛犬あるいは獅子が向かい合わせになったように見えてくる。

見つけたり 鴨居隠れた 獅子の貌

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瑞雲に 乗りたる如き 獅子の居て

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 菊水公園の入口のところに白石歴しるべの看板が立っていて、札幌遊郭(通称白石遊郭)跡の説明が出ている。1948(昭和23)年に米軍が撮影した大門通の航空写真も表示されている。東門から西門までの大門通の両側に、軒を並べた遊女館名が記されている。航空写真から想像される当時の賑わいは大したものであったろう。
 現在この通には大病院や企業のオフィスが並び、大きな通りに当時の面影を残している建物や史跡は無い。

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