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今年の夏もひまわり花粉採取に専念しました。
これを900倍の顕微鏡で毎日観察しておりますと視野一面に広がる花粉は夜空の星々さながらで、時間の経つのを忘れます。
先ほど、爪句第19号の「札幌の野鳥」を読み耽り、特に句を206句一気に読み終えました。
確かに、一枚の写真やパノラマ写真も見応えがあり、古今東西の故事来歴記事も古典を読むような実感ですが、爪句集の真髄はやはり爪句そのものにあると思いました。
これまでの爪句集では花や虫たちも時季に応じて誠いっぱいの主役を演じておりますが先ほど野鳥が主役の19号を読み終えた印象は、古今の名著を読み終えた後の余韻に劣らぬものですを。
花粉の顕微鏡写真も夜空の星(札幌の夜空ではあまり見られませんが)のように煌めいているのではないかと予想しています。顕微鏡下の夜空の星ですか。一句捻りたいところです。
拙爪句集を丁寧に読んでいただいて有難うございます。贈呈本でかなりの数をばら撒いているのですが、良いとも拙いとも言われた例は伊東さんを除いてありません。
私の著わした「信号処理」の専門書は、信号とは「もやもやとしたもの」=「状態」を「観測」する過程で目に見える実態の信号となってくる、という考え方に基づいています(『オペレータ法ディジタル信号処理』(コロナ社、1996) )。
この考え方を人間一般に敷衍した本を書きたかった。人という「もやもやとしたもの」=「人の状態」を例えば「職業」で観測すれば大学教師だったり、銀行員であったりする。
爪句も対象という「もやもやとしたものを」写真や句という観測過程を経ると作品になってくる、といった具合です。
伊東さんの爪句の評価の仕方も観測過程の一つで、これがあるから爪句があります。それが無ければ存在がわからない。学生や同僚の研究者から切り離された、現役を退いた状態ではこの観測手段を失っていて、これが最大の損失になっています。
伊東さんの「観測手段」はブログ子にとって貴重です。