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2013年12月28日

HPFhito32・建築中の新社屋前の莫舸舸君と鄒宏菁さん

 莫舸舸君は筆者の研究室で研究生活を続け、博士号を取得後本州の企業で修行して成都市に戻った。博士論文の研究は道路標識の認識に関するもので、昨今の自動車の自動走行にも関連する画像認識技術である。
 故郷の四川省成都市には、父親の莫景猷氏の経営する無線システムを製造する会社の「成都華日通訊技術有限公司」があり、そこでソフトウェアの別会社「有限会社華日東升公司」を経営した。取引先は日本で、莫君が日本語が出来る強みを生かして仕事を日本から受注していた。莫君の母親の楊治敏さんは慶応大学に留学した経験があり、成都市で企業を経営している。莫君の家族は企業家一家である。
 莫君が成都市で会社を経営するようになってから、成都市を訪れパンダの仔を抱いたことがきっかけで、筆者は「CSパンダの会」を立ち上げた。CSとは成都(Chengdu)と札幌(Sapporo)を意味している。ゆくゆくは成都市の「成都大熊猫(ジャイアントパンダ)繁育研究基地」からのライブ映像を札幌まで伝送できるようにと目論んだ。莫君の助けも借りて、成都のパンダ研究基地に監視カメラの寄贈なども行ったことがある。このプロジェクトはパンダ研究基地で生まれた仔パンダに「曄友(イエヨウ)」という名前をつけたぐらいの成果しか出せなかった。
 莫君の奥さん鄒宏菁さんも日本への留学経験があり、山梨大学から北大の大学院に進学している。莫君とは山梨大学で知り合ったと聞いている。鄒さんは北大の文系の博士課程に進学して、莫君が博士号取得後鄒さんは博士課程を退学して莫君と結婚して成都で一緒に会社の仕事を行っている。日本語の堪能な鄒さんには「爪句@思い出の都市秘境」(共同文化社、2010)に2句投稿してもらっている。
 今年(2013年)数年振りに成都市で会った莫君は父親の会社も引き継いで大きな会社の社長になっていた。主な取引先は中国国内で、日本とのビジネスでの関係は無くなっているようである。新社屋も建築中で11階建ての自社ビルは2014年の夏には完成予定で、このビルに社員数400人程度の華日通訊集団を入居させる計画と聞いている。
 北大博士課程在学中は家に引き篭もりがちの莫君が、若くして大きな企業を引っ張っていく会社経営者になるとは、時の流れを感じさせる。今度成都市を訪問する機会が得られれば、新社屋で仕事をしているところを見せてもらえるのだろうと、楽しみが残った。


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(建築中の自社ビル前での莫君(右)と鄒さん)

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