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2019年01月16日

「爪句@クイズツーリズム」あとがき

 第38集となる本爪句集は、第36集「爪句@マンホールのある風景 上」、第37集「爪句@暦の記憶」に続いてクラウドファンディング(CF)のリターン(返礼品)として出版している。この「あとがき」の最後にお名前を記した方々へ送られる事になる。
 前2回のCFを試み、いずれもリターンに爪句集を揃えた。この経緯があり、新しく爪句集出版をCFで行うなら、テーマとしても新機軸を考えねば、支援してくれる人もいなくなる。そこで考え出したのが「クイズツーリズム」である。
 本爪句集とスマホ(タブレット)があれば、謎解きの要素が加わったネット上での旅行が楽しめる、というアイディアである。クイズを解きながら旅行をする問題集を爪句集にしてみた、という試みである。著者としてはこのアイディアは支持され、CFの支援者もそれなりにいるだろうと予想した。
 しかし、この予想は当たらなかった。群衆(クラウド)からの資金集め(ファンディング)とは名ばかりで、寄付者は著者が直接依頼したお顔のわかっている方々ばかりである。それも、依頼しても成功率はかなり低いものだった。
 物は試しで、今年の年賀状にCFを行っている会社のHPに掲載されている企画ページのURLを手書きする。ただ、あからさまな支援依頼は書いてはいない。お年玉付き年賀はがきなので、出したとほぼ同数の受け取った賀状の切手の当せん確率ぐらいの支援者があるかと予測する。
 その結果、世の中は甘くはないと知る事になる。年賀状を媒介にした寄付者は0であった。これは最低1000円の寄付金(爪句集1冊と送料を含んでいる)が高いという問題ではなさそうである。著者が面白いと思っていても、他人には興味の無い事で、面白さの共有にギャップがあるのに著者が気付いていないのが原因らしい。
 さらに言えば、出版の度毎に大赤字を抱えて本爪句集を上梓している行為も、他人から見れば単なる著者の道楽にしか見えなくて、やがては廃棄物となる紙の固まりを作り出しているだけなのかも知れない。爪句集出版に共感が得られていない。著者が弱気になれば、そうではないという編集者でも居ればよいのだが、それも期待できない。
 昨晩、NHKスペシャルの番組でエベレスト登頂に挑みつづけて昨年遭難死した栗城史多氏のドキュメンタリー番組を視た。異色の若き登山家の死、ヒマラヤで自撮り映像ネットで“冒険共有”、広がる共感そして批判、との番組タイトルである。そこには「共有」、「共感」のキーワードがある。本爪句集のCFはクイズツーリズムの面白さを共有できずに失敗したのだと思えてくる。
 それでもCFに寄附者がおられ曲りなりでも、リターンの本爪句集が出版できたことはよかったと思っている。出版に際してご協力願えた共同文化社の関係者にお礼を申しあげる。
 道楽の爪句集出版でも、陰ながら支えてくれている妻には毎回の如く感謝の言葉を記しておきたい。
 なお本爪句集のCFの支援者には、お名前だけを最後に記してお礼としたい。

 故栗城史多氏を追いかけたNHKスペシャル番組を視た翌日に―2019年1月15日

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(ACTNOW社のHPから)

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