本郷新は、札幌大通公園の「泉」の作家のイメージが強く、テーマが若い女性で具象的作品が代表作と思い込みがちである。しかし、反戦を半具象化した「無辜の民」シリーズとして15作品を制作している。その内の「虜われた人I」の小品を大きくしたものが「石狩」碑として石狩の浜に置かれている。ここでは、北海道の開拓で命を落としていった開拓民の鎮魂の意味を込めているようである。ススキが繁り人工物の無い荒涼とした砂浜は、この作品に相応しい舞台を提供している。
無辜の民 異形を晒し ススキ浜
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石狩の 空海掴む 手が開き
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