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2007年10月05日

見えない平和の灯

 北広島高校と北広島市総合体育館の間に位置して平和の灯公園がある。近くには北広島レクレーションの森が広がっている。この公園にある灯は広島市の平和記念公園内にある「平和の灯」から分火されたもので、北広島市の市制施行を記念して灯された。この灯は点火してから絶えることなく燃えて続けているとのことで、何時行っても灯をみることができるのだろうと出かけてみる。

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 公園は小さなもので、この灯の由来に関する説明が書かれていて、日付が平成8年(1996年)9月1日となっているから、この日付は北広島市が発足した日になるのだろう。お目当ての平和の灯は岩の台座の上に設置されたランプの内で火が点っているはずだと近づいて見る。しかし、ランプ内に火が見えない。岩に登って目を近づけても火を確認できない。

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 これは火が消えている。掛の人に知らせねば、と総合体育館の事務所に行って話しをする。応対した事務員の話では、火(燃料)を絞ってあるので、下の方にわずかに見えるとのことである。そこで再びランプのところに行ってみるけれどやはり火は見えない。デジカメでランプ内を撮影してまた事務所に戻り、再度状況を説明する。しかし、火はついているのだそうである。

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 火は見えないと取材の結果を書くけれどよろしいか、と念を押すと今度は担当者がランプのところまで出向いて確かめる。しかし、見えないものは誰がみても見えない。でも、火は点っているのだそうで、日中では見えないけれど夜には見えるのだそうである。いくら酔狂で秘境探検をしているとはいえ、平和の火をみるためこの場所に長居する気にはならないので、日中この平和の灯を見に行っても火は見ることができない、というのがこの秘境の取材結果となる。

 しかし、何かの連続計測で絶え間なくデータを採っているのと異なり、見えない火が絶えず燃えている、という話も変である。見えないなら途中で火が途絶えても、途絶えなくても、見た目には同じである。火が燃えていると信ずるか信じないかの問題で、これは神学論争だな、などと考える。そんな状況に遭遇して、平和の灯をこの地に分火した本来の意義を考える手前で、思考は横道にそれてしまった感じである。

 火の見えないランプ内を撮るだけでは芸がないので、太陽がランプの向こう側に来るようにしてランプから光が発せられている写真を撮って、今回の探検の成果にした。

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 密かかな秘境100選ファンです。
 いつも楽しく拝見させていただいています。

 私は札幌に転居してまだ六ヶ月、休日をりようして精力的に札幌を巡っています。
 いつかは先生ご推薦の秘境にも足を延ばしてみたいと思っています。

 先生の文章にはシニカルな味が隠されているように感じているのですが、特に本日の投稿の北広島の文章は秀逸だったと思いました。

 これからも楽しませていただきます。

 田舎のおじさん、ブログを読んでいただいて有難うございます。札幌市民になってから長いのですが、札幌を良く知るようになったのは退職後です。ついでに札幌の近隣都市まで足を伸ばしています。それにしても色んなところがあるものだと感心しています。
 少々シニカルなのは研究者の名残です。常識のどこかに切れ目を入れないと研究が進まないので、研究者は何にでも批判的な態度になってしまいます。今は研究から身を引いていますので常識の塊とは思っているのですが、さてどうでしょうか。

  • 探検隊長
  • 2007年10月05日 20:53