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2007年10月10日

旧仁別小学校校舎のガラス工房

 札幌市清田区有明と接して北広島市仁別がある。この両地区をつなぐ道路はゴルフ場の私道しかなく、この私道は現在閉鎖されていて、札幌から仁別に行くには国道36号線から、あるいは道道1147号線から仁別大曲線に折れて行くしかない。この仁別大曲線をかなり深くまで入ったところに旧仁別小学校の校舎がある。校舎はニーウン・ペツ・ガラス美術研究所の工房とギャラリーになっている。ここで「ニーウン・ペツ」はこの辺りのアイヌ語地名だそうである。

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 仁別小学校は1933年に開校し、1971年に廃校となり、校舎は地元の町内会で管理されている。小さな学校だったとみえて、現在は写真のように二棟になっている建屋はもともとつながっていた。ガラス工房となっている右側の建物は体育館だったそうである。1999年、榎本祐比呂弘氏がこの校舎を借りてガラス工房を開き、奥さんのユミさんがギャラリーとカフェの方を受け持っている。

 ギャラリーに入るとこの工房で制作されたガラスの作品が並んでいる。カップ、花瓶、置物、ペーパーウェイト、おはじきのような小物まである。ガラスの作品に混じって、東南アジアの民芸品も並んでいる。そこだけみるとベトナムかタイあたりの土産物屋に来ている感じである。

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 日本のアンティーク時計も目につく。ガラス工房がギャラリーに接してあるので、室温が高い。そこで天井の扇風機を回してくれるが、この扇風機がまた年季が入っている。東南アジアから持ってきたのかと聞くと、これは日本のものだそうである。扇風機も回してもらったのでカフェオレを注文して、小学校時代の卓球台のテーブルにカップを置いて、東南アジアの国にでも来た気分になる。

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 ガラスの作品の制作現場を覗くと、榎本氏と思われる人が作品作りに余念がない。炉の中に吹き棒を入れ、棒の先のガラスのかたまりが赤くなるまで熱し、これを取り出して息を吹き込み形を作っていく。作品の良し悪しが決まるのは瞬時の勝負である。集落があるのかな、と思えるこの地に制作の場を構え、終日瞬時の勝負のガラスの作品作りに没頭するのは、ガラス造形に魅せられてためなのだろうと思ってみる。

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 ギャラリーの窓からはかつて校庭であったろう広場が広がっている。客で来ている子供達が秋の日を浴びて遊んでいる。この校舎をとり巻く周囲の山が紅葉で満たされる季節はすぐそこまで来ている。

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