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2007年12月18日

消えたヤツメウナギ漁

 江別市工栄町を石狩川に沿って走る国道337号線があり、国道と平行に石狩川の土手道がある。土手道から河川敷方向は緑地として整備され、その向こうに石狩川が流れている。この石狩川に沿ってヤツメウナギの漁場と漁のための舟寄せ場がある。

 ここを訪れたのが雪の降る季節で、係留されあるいは陸に揚げられているヤツメウナギ漁のための舟を見ることはできなかった。ただ、ヤツメウナギ漁に用いられる漁具の「どう」が雪の中に放置されているのを見ることができた。この「どう」は植物のカヤで作られていて「カヤどう」とも呼ばれている。

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 ヤツメウナギ漁は1900年に石狩川のこの辺りで始まったといわれている。新潟県信濃川の漁法が取り入れられたため、「カヤどう」に使われるカヤは新潟から取寄せて作られてきている。1950年代半ば石狩川でのヤツメウナギ漁は最盛期を向かえ、全国漁獲量の6割を占めたといわれている。

 ヤツメウナギは主に食用のため捕獲されている。加えて、加工品、医薬品にも利用されていて、江別や石狩の特産品であった。そのヤツメウナギが石狩川の河川改修の影響を受け激減して2004年から禁漁になって現在に続いている。「カヤどう」も働く場所がなくなって陸に放置されている状況にある。

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 この秘境探検でヤツメウナギ料理を食してみようと密かに思っていたことは、現状では実現が難しい。この状況に地元のヤツメウナギ関係者や一般市民がただ手をこまねいている訳ではなく、関係機関や団体が資源の回復の試みを模索している。恵庭市にある道立水産孵化場でも人工的な孵化技術の開発などの研究を行っている。

 昔、石狩川にはチョウザメも生息していたのが、チョウザメにとっての石狩川の環境悪化により、絶滅している。ヤツメウナギもその二の舞にならなければ良いと思っているけれど、果たして人工的資源回復が功を奏するかどうか。おおよそ8年経ってヤツメウナギが成魚になって川に戻ってくると言われていることを考えると、放置された「カヤどう」がヤツメウナギ漁のため石狩川に沈められる状況を目にしながら取材して、この秘境レポートに載せることは今のところ見込みがない。

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