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2010年12月13日

五天山神社跡に取り残された狛犬

 西区の福井と平和の両地区に挟まれるように五天山がある。標高303 mの低山である。五天山はかつて採石が行われていて、採石後の無残な山肌を晒していた。この山肌に緑を取り戻そうと、札幌市西区唯一の総合公園造成計画のもとで採石跡に植林が行われ、芝生や水場が造られ、2009年には福井側に五天山公園が全面開園している。
 これと対象的に、平和側の山の半分は私有地で、山の入口のところに関係者以外立入禁止の看板が出ている。狛犬調査の関係者だと屁理屈をつけて、山道に入っていく。途中「五天山登山口」の石柱があり、かつては良く利用された登山道があったようである。この登山口から少し登ると、神社の境内が現れる。木の柱に「五天山神社」の社名がはっきり書かれている。木の鳥居があっても、社殿の方は板張りで塞がれていて、神社としては廃社ということらしい。

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 この神社の創祀は1936(昭和11)年で、大国主命のお告げがあったという話から、神社建立までに事は発展している。五天山とはインドの山からの命名という説を読んだけれど、はっきりしたことはわからない。神社は山の中腹にあって、地蔵も並んでいて、寺の境内の雰囲気でもある。神社の奥の院ということで山頂に祠があり、こちらに狛犬がいる。
 以前、夏にこの山頂の狛犬を見に行ったことがあり、山頂に至る道は歩いて支障を来すものではなかった。しかし、師走に入った今回は、この登山道はあちらこちら倒木で塞がれ、登山道も落ち葉で隠れ、荒山という感じである。家も道も、人手が加わらなければ荒れるものである。頂上に着くと、ビニールシートで覆われた祠の両脇に狛犬がいる。
 狛犬は小ぶりではあるけれど、気性の荒らそうな貌付きをしている。特に阿形のほうは、歯をむき出して今にもとびかかってきそうである。山頂に捨てられたせいで、野犬になってしまったようである。祠のビニールのシートが除かれことはないようで、以前訪れた時と同じ状態である。

山頂に 取り残されて 野犬なり

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狛犬は 見えぬ祠を 護りおり

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 せっかくここまで来たので、シートの隙間から中を覗くと、軟石造りの祠である。ご神体のようなものは無く、祠の中はがらんどうである。神社のマークなのだろう、天の文字を五つの勾玉が囲んだデザインである。このマークは他に見たことはなく、この祠にしか残っていないとすれば、神社が無くなると自動的に消えてしまう運命である。なかなか凝ったデザインのマークなので、どこかに残せると、歴史の引っかき傷ぐらいにはなるだろう。

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  • 2018年08月23日 23:00
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