2006年11月30日
小樽市青少年科学技術館
緑町にあるこの科学技術館は一九六三年（昭和三十八年）に開館し、本年（二〇〇六年）の暮れには閉館の予定である。二〇〇七年に小樽市交通記念館の場所に他の施設と統合し、装いも新しくして開館予定であるとインターネットに案内が出ていた。それなら、現在のものが無くならないうちに取材しようと出かけてみた。
開館は九時三十分で、それより少し早めに着いたけれど、館内に入ることができた。この施設は入館無料であるため、来館者の出入りに関してはうるさくなく、職員が来ていれば玄関は開いていて中に入れる。入館料無料というのは、この手の施設としては珍しい。
開館時になっても入館者は著者一人で、広くもない館内はがらんとしている。写真に写っている、手を叩くと音をセンスして光がつく装置は、手を叩いても動作しなかった。閉館を控えて、故障したものはそのままにしているのかな、と推測する（あるいはスイッチを入れていなかったかも知れない）。館内全体が古びた感じがするのは、閉館の言葉が頭にあるせいか。
その他光センサを利用して、空間を手で遮ると音が出て、手の置く位置により音階を選んで鳴らすことの出来る光ハープ、地震の模擬体験装置、空気の流れを利用して空中にボールを浮かばせる装置等々と動きそうなものを試しながら館内を一周する。
二階は天文コーナーで、太陽を回る惑星の模型があった。今年は国際天文学連合の組織でもめた挙句に、従来太陽系惑星であった冥王星を惑星の座から降ろしてしまった。その経緯と惑星の新定義の説明パネルがこの天文コーナーにもあった。
しかし、冥王星を惑星に含めて製作した太陽系の動きを見せる装置から冥王星を簡単には除けないようで、写真のように冥王星はここでは堂々と中央にある太陽を模した電球の周りを回っていた。新しい館がオープンすればこの古い展示装置は多分無くなり、その時は冥王星も太陽系惑星モデルには顔を出さないだろうから、これは閉館までの期間、秘境のモデルであり続けるだろう。
それにしても著者が館内をうろついているときに他に来館者はなく、ここは都会の秘境としての資格を充分備えていると感じた。
- by 秘境探検隊長
- at 00:23
comments
こちらの施設は数年前友人と遊びに行ったことがあります。
こじんまりとしたプラネタリウムなどが好きだったんですが、無くなってしまうんですね・・・。
もう一度行ってみたかったなぁ。
でも、新しい形で生まれ変わるということなので楽しみです！！
都会は建物や施設の変化が大きくて、そこらへんに都会の秘境として採り上げる要素がありそうです。
青少年科学館へ行かれたのでしたら、隣の勤労青少年ホームも是非観て欲しかったです。
小樽市の公共施設にはどれも秘境感が漂っています。
「小樽市の公共施設にはどれも秘境感が漂っている」との指摘は都市秘境の企画に影を落とします。もともと都市の秘境は意外性の要素を組み込んでいて、公共施設で普段は人が集まっていると思っている所が、実際は人が集まらず秘境空間になっている、というところがポツリとあってこその都市秘境なのですが、どこも秘境空間だらけなら最初の企画の前提が崩れてしまうことになります。
確かに小樽は観光客で賑わっている周りに、人の集まらない場所や施設があって、小樽の現在の都市の性格を現しているようです。秘境探検の遊び事を越えて問題は深刻なのでしょう。
どうも私は、“秘境＝人の少ないところ”と勘違いをしていたようです。その上、“小樽市の公共施設には人が少ない”と思っているようです。その結果、あまり深く考えずに“小樽市の公共施設にはどれも秘境感が漂っている”という表現をしてしまいました。すみません。
ところで、勤労青少年ホームを含め、小樽市には築30年を超えた施設がいくつかあり、どこも現役で頑張ってます。市民会館や文学・美術館、小樽市役所庁舎などが当てはまると思います。これらの施設には独特の雰囲気があります。
公共施設のような、誰でも無料でアクセスできる場所に意外性があり、考えさせられる対象があると秘境候補です。当方小樽市民ではないこともあって、なかなかそのような対象にぶつかる事がありません。情報があればよろしくお願いします。