2006年11月20日
祝津恵美須神社
祝津(しゅくつ)漁港の傍に恵美須神社の名前が地図に書かれている。海に近い神社なので、海の神様の恵美須(恵比寿)様を祭ってある神社であるのは合点が行く。でも、かなり小さな神社のようである。秘境の神社に組み込めるかどうか、調べに行くことにする。
小樽の手宮から祝津につながる454号線に面してこの神社の新しい朱塗りの鳥居がある。気をつけていないと車なら見過ごしてしまう鳥居である。車から降りてこの鳥居をくぐってみても崖に突き当たるだけで、本殿が見あたらない。はて、本殿はどこかと見渡すのだけれど本殿の写真の掲示ばかりで、実物は目に入らない。
ここは鳥居しかのいのかとあきらめて帰りかけるようとして、崖の上につながる崩れかかった獣道みたいなところを試しに登ってみる。すると石作りの鳥居と枯れた雑草に埋もれたような感じの写真の本殿が忽然と姿を現した。著者の姿を見た野良猫が本殿から素早く姿を消したけれど、猫よりは著者の方が驚いた。
この神社は江戸時代に遡り、一八六三年(文久三年)の建築物で、正面の幅が一間で、屋根が流れるように造られていて、一間流れ造りと呼ばれている。神社は荒れた感じでも、小樽市最古の神社建築物として有形文化財に指定されている。
本殿の横には幹が三本に分かれた写真の桑の古木があって、説明板には樹齢二百八十年と記されている。開道百年記念銘木として指定され、一九九四年(平成六年)には小樽市が保存銘木として指定している。同じ狭い境内にこれも小樽市の保存銘木のいちいの大木がある。
この神社からは祝津の漁港が見下ろせて、神社の位置からしてこの神社が大漁祈願の神社であったことを証明している。鰊業が盛んであった頃には、この神社は現在のように打ち捨てられた感じではなかったろうにと思いながら、道なき道を下って祝津漁港近くの道端に止めてある車まで戻った。この神社は確かに秘境の神社に入れてよいと思った。
- by 秘境探検隊長
- at 06:15
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