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2006年12月11日

石狩灯台

 著者が北大勤務時代に石狩の浜まで行って実験をしたことがある。電波で物を見る技術である電波ホログラフィーの研究をしていて、その関連で砂のなかに埋設された物体に地表から電波を照射して物体を映像化して判別できるか地表レーダ装置を用いて試してみようということになった。学生達を石狩の浜まで駆り出して行った実験はあまりよい結果が得られなかったと記憶している。

 この実験の時に石狩灯台を見に行ったのか、実験に時間をとられてそんな余裕はなかったのか、今となっては記憶がない。しかし、石狩浜の灯台は砂浜とハマナスの群生に囲まれた詩情豊かなイメージが頭の隅にあって、今回の秘境探検の対象にした。

 札幌からは新川通で小樽に向かい、国道337号線を通って石狩に入り、途中石狩川河口に発達した砂嘴(さし)部分を走る石狩街道を通って目的地に着く。灯台傍のパーキング場で車を止めて、灯台の付近に近づいてみる。日曜日のこともあって訪れる人も目立ち、夏が終わり、秋に入りかけている石狩の浜を楽しんでいる。木道の上からハマナスの赤い実を砂地のそこここに見ることができる。

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 石狩灯台の歴史は古く、一八九二年(明治二十五年)一月一日に最初の灯が点されてから数えると百十五年の歳月が流れている。この灯台は木下恵介監督の「喜びも悲しみも幾年月」の舞台にもなったことで有名で、カラー映画の始まりの頃で、灯台の外壁の白黒の縞模様が映画撮影のため赤と白に塗り変えられた。この配色が現在まで続いていて、訪れる人の目を楽しませている。

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 灯台は石狩川の河口の先端部分に建てられたらいいのだが、長い年月で砂嘴が発達して河口からかなり離れたところに位置している。灯台から石狩の砂浜に出てみると、海水浴の季節を過ぎても砂浜にテントを張ってアウトドアライフを楽しんでいる人を見かける。

 石狩湾を囲むように厚田村から浜益村の山並みを湾の彼方に遠望することができ、もうすぐここは日本海からの冷たい風と雪にさらされる季節を迎えることになり、石狩湾を取り巻く山々も雪化粧が施される。その時でも、石狩灯台は無人の石狩の浜から石狩湾を航行する船舶に光の信号を送っているだろう。 

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