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2007年06月22日

了恵寺百年記念宝蔵館

 この寺の境内にあるコンクリート造りの資料館の宝蔵館を四代目住職の案内で見せてもらった時に、収蔵されているお宝には驚いた。無料でこれだけのものを見ることのできるところなのにほとんど知られていないところは秘境である。

 この真宗の寺は、高松にそのルーツがあり、一八九四年に渡道した初代住職が真宗興正派の最初の布教を行い、一九一〇年に了恵寺を建立している。寺名は初代と二代目住職の名前から一文字ずつ採ってつけている。

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 宝蔵館内のガラスのケースには中国の古銭や日本の古銭が並んでいる。殷、周、秦の時代の古銭が本物であれば、相当なお宝であろうと推測されるのだが、この方面の知識は皆無にお近く、それがどのくらい高価なものかは分からない。

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 目をひいたのは昔のタバコで、筆者が小さかった頃の家業がタバコも扱う小売業であったので、ガラスのケース内に並んでいる「光」、「ゴールデンバット」、「新生」、きざみの「ききょう」等は記憶の隅にある。満州国で製造されていた恩賜のタバコなどもあって、これは貴重品であろう。

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 北海道開拓の歴史に関わる錦絵もある。札幌本府の見出しも見える。組み絵になっていて、時代は右下から左上に流れるそうである。漫画のコマでは一般に右上から左下に時間の流れがあり、漫画に慣れているので絵で時間を追って説明する場合は漫画のコマ割りが普通だと思い込んでいる。しかし、二次元平面に一次元の歴史の流れを描くのは、下からでも上からでも、右からでも左からでもよいことになる。

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 これらお宝も見ごたえがあるけれど、境内には歌碑や句碑が多く設置されていて、歌碑、句碑巡りの同好の士なら石狩でははずせない場所であろう。その一つとして、碑面に「六蓄」文字が刻まれた歌碑がある。六蓄とは牛、馬、羊、鶏、犬、豚となる。普通に言う家畜で、六蓄に猫が入らないのは、猫は放っておいても餌を見つけてくるためだろう。一方、家畜の方は餌の心配をする必要がある代わり、人間に役立つ動物にもなる。

 この歌碑には「ふる里の 家の庭べに 相寄りし 深きいえにしを 思い出づつ」の歌が刻まれていて、作者は石狩市生振(おやふる)生まれの横田庄八である。また、「秩父蜂起の井上伝蔵(石狩では伊藤房次郎)が明治35年に詠む」と注釈のついた詩碑もある。これは石に刻まれた歴史の資料というところで、宝蔵館の展示資料の延長とも言える。

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