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2007年10月08日

野幌森林公園の土アケビ

 土アケビはラン科ツチアケビ属の多年草である。栄養は自前で作らず、全て腐葉土から吸収する腐生植物である。夏から秋にかけてバナナのような赤褐色の実をつけ、この実がアケビの実に似ているため土アケビの名前が付けられている。この土アケビをひょんなことから見つけることができた。

 昨年(2006年)野幌森林公園内にある瑞穂の池につながる遊歩道を歩いていると、先方が当方を知っている人に出会った。何でもこの辺りを時々散策しているというのである。話が公園内の植物に及んで、土アケビの話が出てきた。珍しい植物で、教えられた辺りを探せば見つかるだろう、とのことを聴いたけれどこの日は見にいくことはなかった。

 日を改めて土アケビ発見を目的にしての探しに出かけた。教えられた辺りで確かに土アケビと確信できる写真の実をつけた植物を見つけた。炭酸同化作用を行わないため、周囲の植物のように緑色がない植物で、緑の草木に混じってかなり変って見える。

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 土アケビは花も咲くということで翌年の春にまた出かけてみるのだけれど、昨年見つけた辺りにはそれらしい花は発見できなかった。土アケビは消えてしまったのだ、と思ってそれ以上探すことはしなかった。
 夏も終わって紅葉は始まっているだろうかと、森林公園の遊歩道を歩いているとまたまた先方が当方を知っている人に出会って、土アケビの話になった。今度は実の成っている場所に連れていってもらった。それはどうも昨年見た土アケビのあった場所のようで、多年草であるので同じ株のものであるようである。しかし、実をつけた土アケビは少なくなっている。今年は土アケビの不作の年なのかも知れない。
 この実は乾かして強壮剤、強精剤として用いられることがある。それを知って土アケビの実を持って行くとは考えられないけれど、このままでは、この場所の土アケビは早晩消えてしまうようにも思えた。野生の珍しい植物はどこかに移して保護しても意味がないだろうから、公園に入り込む散策者のモラルに頼るよりしかない。大方は自然のままにしておこうとは思っているのだろうけれど、心無い者も居るのは世の常で、散策路の脇にある土アケビの存在も危ういものがある。

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