2008年05月21日
JR江別駅前広場
一般に都市の駅前は都市の秘境と対極にある。大型店が郊外に進出して駅前の商店街がさびれていく話はあちらこちらで耳にする。しかし、JR江別駅前はその商店街が軒を接してつながっているというのでもなく、不規則な角度で分岐した道路が駅前広場から伸び、焦点が定まらない駅前の広場となっている。
GWの日曜日の正午近くの時間帯にこの広場には人通りがない。休日で駅前広場に沿った江別市水道局の庁舎が閉まっているのは分かるとしても、広場に面した商店もシャッターを下ろしている。広場の中央のあるレンガのモニュメントのある芝生にもその周囲にも人影がない。
このモニュメントは「ふれあいの滝」と命名されていて、滝をイメージして水が上から落ちている。デザインを凝らしたこのような都市の広場の造形は、周囲に人がいると引き立つのだろうが、見る人もいないと余計に都市の無人の状況を強調するようである。名前の「ふれあい」も、人がいなくては反語的ですらある。
広場全体の雰囲気を写真に収めようとパノラマ写真の撮影を試みる。写真を撮るのに少々時間がかかるのだが、その間にカメラに捕らえられるのは通り過ぎる自動車が二、三台程度である。写真に写り込む人影は依然としていない。人口12万3千人の都市の表玄関となるJR江別駅は、日曜日のこの時間には秘境感が漂うと感じるのは、筆者がこの都市に馴染んでいないせいであるためかもしれない。
行楽の季節を迎えてこの様子であるので、冬場の秘境感はもっと増幅される。駅を出て左側には千歳川方向に向かう道路が延び、この通りを少し進むと、かつては北陸銀行や郵便局の建物が集まった町の中心部であったところである。現在は冬には除雪は行われているものの人通りが途絶え、車の往来もほとんどなく、都会の秘境と表現してよい景観を呈している。
江別市の都市の産業構造が流通に依存して、ストックヤードなどを地域興しの柱に据える計画も耳に入ってくる。現代の流通は自動車に依存する部分が大部分で、鉄道の出番が見えないところで、この駅前広場が活気を取り戻す妙案は出てこないところが現実ではなかろうか。
- by 秘境探検隊長
- at 01:33
comments
江別の取材、着々ですね。
本の発刊が待たれます。
それにしても江別駅前の秘境傾向は著しいですね。
野幌市街の繁栄ぶりと対照的ですね。
江別は石狩川あっての江別の歴史がありました。石狩川が交通・産業を支える主役から降りてしまって、石狩川(支流の千歳川)の存在の空白化が、現在の江別駅前の漠然とした秘境化に結びついているのではないかと考えています。
野幌駅は高架になる前の仮駅の位置づけで、高架になったら駅前の再開発がどのように進むのか、近い将来ここもかなり変わるのではないかと思っています。