2009年10月22日
道立埋蔵文化財センター
10月21日(水)の都市秘境散策の講座は、江別市にある表題の施設の見学である。JR大麻駅から歩いて、同センターまで行く。今回の世話役は同センターの倉橋直孝氏で、同氏からこの施設の概要を説明してもらう。
見学対象は、このセンターのバックヤードで行われている、埋蔵文化財の整理や修復作業の現場である。今回は、黒曜石、骨、土器の3テーマで見学させてもらった。黒曜石については、鏃や斧を作った後に残された破片をつなぎ合わせて、もとの原石の形を復元する作業が行われている。
どの石塊からの破片かを判別して、これを組み立てると、加工前の黒曜石の復元に成功するものがあり、その例を見せてもらった。気の遠くなる作業である。
黒曜石の破片は、一つひとつがデータとしてラベル付けされ、コンピュータに記録されている。その記録のパソコンの画面を見せてもらった。以前このセンターを取材して記事にした拙著「江別・北広島秘境100選」がパソコンの傍に置かれてあった。帰り際、この本の署名を頼まれ、ちょっと作家気分になって署名である。
動物の骨から、かつて北海道で捕れた魚や動物を推定する作業が行われている。あごの骨の小片から、全体(魚)を推定する。壁に大きなひらめの骨格図があって、その顎の骨であると、重ねて見せてくれた。骨のような有機物は、酸性土に埋っていると、消えてしまうので、資料として残るものが少ないとのことである。
土器の復元は、土器片から行うことになり、膨大な数の土器片から同一の土器のものを選び出し、これを立体的に復元していく。これも又根気の要る作業である。土器の表面の模様を、魚拓ならぬ、土器片拓にして記録する作業も行われていた。復元した土器の小物やアクセサリーと思われるものが、実際どのように使われていたのかを推測していく考察過程に、古代へのロマンを感じる。
このようにして復元された埋蔵文化財のごく一部が、一般の見学のために展示されている。こちらは何時行っても見学できる。
今回の見学は、普通にはなかなか覗くことのできない、秘境の作業現場で、興味深く、面白ものであった。今回の見学で説明等を行っていただいた関係者に、この欄からお礼申し上げる。
- by 秘境探検隊長
- at 00:16
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