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2010年12月23日

軟石の里で石碑が並ぶ石山神社

 南区石山はその名前が示唆するように、かつて札幌軟石の産地であった。その石切り場跡が公園に変身で、石山緑地となっている。緑地内には、石切り場跡の切り立つ岩の壁を背景に、札幌軟石で野外劇場のように造られ、ネガティブマウンドと名付けられた一画もある。この緑地横を通る道路から豊平川に並行に延びる平岸通に出て、少し西の方に行くと道路の南側に石山神社の境内がある。
 札幌軟石の採石のため道外からやって来た職人達が、1885(明治18)年作業の安全を祈願して大山祇神を祀ったのがこの神社の創祀とされる。1910(明治43)年には現在地に移っており、近隣で祀られていた天照大御神、豊受大神、豊受姫神、八幡大神、春日大神等が合祀されるようになった。1927(昭和2)年現社殿が完成し、1969(昭和44)年天照大神のみを本殿で祀る祭神としている。他の祭神は石碑で祀られ、境内の一画に置かれている。札幌軟石製と思われる鳥居の向こうから、午前中の冬の陽が差してくる。

採石の 記憶を残す 鳥居かな

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 社殿の前に一対の狛犬が置かれている。首回りの巻き毛や尾のデザインが意匠的で、力強い造形である。尻尾はきれいな渦巻き状になっていて、アンモナイトを連想させる。阿形犬の前脚の二の足部分にある模様は、巻き毛より牡丹の花をデザインしたように見え、これも意匠的である。毛阿形も吽形も天を向いていて、かなり高い台の上にあるため、貌を見上げる格好になる。したがって、表情が見えない点が惜しい。台座の部分に奉納年の明治33年の年号が見える。

連想は アンモナイトで 尻尾なり

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天を向く 阿形前足 牡丹見え

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 鳥居の横手に多数の石碑が並んでいる。一番大きな石碑には「山乃神」の文字が見える。石山神社の起源となるご神体と言われている。台座のところに「山乃神石山組中」の文字が刻まれている。この大きな碑の台座のところに、小さな狛犬の置物がある。この土竜(もぐら)ぐらいの大きさの焼き物の狛犬で、大きな軟石製のご神体の碑を護っている図となる。

山乃神 護る狛犬 土竜(もぐら)大

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 「山乃神」碑の前に四角柱の碑があり、正面真ん中に天照皇大神、右に八幡大神、左に春日大明神の祭神の名前が刻まれている。この碑の右には三角の山形の「山の神」碑、左側には「稲荷大神」碑がある。いずれもこの神社の祭神となる。神様の碑の他に、忠魂碑や招魂碑があって、石碑の多い境内である。

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