2010年12月24日
保存樹林の中の大谷地神社
道道3号の南郷通が厚別川を越え、道央自動車道の下をくぐる手前の小高いところにこの神社の境内がある。かつて路線のあった国鉄旧千歳線跡がサイクリングロードになっていて、南郷通とサイクリングロードに挟まれるように境内がある。南郷通から石段の参道を登って鳥居をくぐり、社殿に達する。
境内にある「わたしのあしべつ100」の説明によると、大谷地地区は(明治18)年に入植が始まり、(明治27)年には14戸の集落が形成され、厚別川のほとりに小祠ができたといわれている。この祠を前身として、明治33)年有志17名で大谷地神社が創建されている。大谷地神社と呼ばれるようになったのは昭和21年からで、現在の社殿は昭和49年に造営されている。祭神は神社の入口のところにある看板に大きく記されていて、大国魂大神、大名牟遅大神、少彦名大神で、これは北海道神宮の祭神と重なる。
狛犬の護る大谷地神社社殿
神明造の社殿の前に一対の狛犬が参拝者を見据えるように置かれている。阿形は大きな口を開けていて、年月のなせるせいか、上の牙が一本欠けている。口も大きいけれど、鼻もどっしりと顔の中央に座っていて、迫力のある造りである。形通りの口開け阿形に対して、吽形の方は口を閉じているというより、歯を剥き出している。これは「い(伊)~」の発音の口唇である。阿形に対する伊形(いぎょう)の、新しい形式の狛犬の分類に入れるのはどうかな、と思ってみる。
年経れば 牙も欠けたり 阿形犬
この形 伊形(いぎょう)に見えて 吽形犬
これら一対の狛犬は西岡八幡宮のものと良く似ている。両神社の狛犬は同じ石工か石材店が製作したものではないかと思われる。ただ、製作に関する文字が見当たらないので、見た感じでの推測である。
この境内にはトウヒ、トドマツ、カラマツの林があり、札幌市の保存樹林に指定されている。境内から北側を見下ろすと、南郷通にはひっきりなしに車が往来していて、国道12号、道央自動車道が近接する交通の要衝の地であるのが実感できる。
南郷通と反対側の南側は、境内の下をサイクリングロードが走っているのを見下ろせ、紅葉の時期には見事な眺めを楽しめる。北星学園大と短大のキャンパスがこのサイクリングロードの南側にあり、さらにその南側に大谷地の森公園がある。
境内横のサイクリングロードの紅葉
- by 秘境探検隊長
- at 13:26
comments
コメントを入力してください
「伊-形」は秘境探検隊長ならではの「感動叙述」とか「比喩表現」の新しい形態であり、余人には到底及びも付かないひらめきの所産でもあると思います。
日本語としては「イ-行」が万古不易と思っておりましたので、「伊-形」で全く違和感は無く異議なしです。
むしろ時代と共に変化している当用漢字の加-減などより余程スッキリしていると思います。
但し、今日のこの爪句を見ていない向きは、今後「伊-形」を見て「異形」とか「伊貌」などとの漢字変換見過ごしとして捉えると思いますので、それでは探検隊長の名誉にかかわる懸念ありです。
今日のテーマは、狛犬シリーズに新たな叙述表現誕生の1ページと思います。
確かに日本語の50音の並びは「あいうえお・・・」で覚えていますが、古くは「いろはにほへと・・・」ですよね。すると発声の最初と最後は「い(伊)」と「ん(吽)」となりますか。狛犬の口の形が発声の最初と最後とすれば、古い発音順に倣えば伊形、吽形でもよい事になります。これは異見です。伊東さんのコメントで、時々新知見が得られます。
コメントを入力してください
追記です
いつもコメント投稿前には何度も確認しているのですが、今回も酷い舌足らずでした。
今回、狛犬の「吽形」について、私も口唇の印象が「アイウエオ」の並び順で、最終の「ン」ではなく、2番目の「イ」を思い浮かべました。
「阿形」と「吽形」との2点に限定せず、3点に拡大し「中間の形相もあり」の意味です。
つまり、秘境探検隊長と私の理解は一致していたのですが記述の未熟さを
反省しております。
イロハ50文字の並びは「色は匂えど散りぬるを、わが世誰ぞ常ならむ……」は、50文字の一文字だけ使って組み立てた空海の涅槃経の「諸行無常……」からの名作と記憶しておりますが、これとは別に、作者不明ですが「鳥鳴く声す夢覚ませ見よ明け渡るひんがしの…」の名文があり、アイウエオとイロハニホヘトの日本語にさらに映像と爪句で構成されている秘境探検記は「IT」分野では古今東西に誇る日本語ならではの稀有の形態と思います。
「いろはにほへと・・・」の日本語の全音を、重複せずに詠み込む歌は見事ですね。実際のところ作者は誰なのでしょう。空海というのは、本当かな、と思っています。空海以前には音の並びはどういう順番だったのでしょうか。やはり母音の「あいうえお」が最初にきているのでしょうかね。阿吽の口の形は吐く息、吸う息を表現しているという方が確からしいです。