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これまで爪句に登場してきた墨絵は、その都度感銘しておりますが、今朝の一枚の下の絵には目が釘付けになりました。まさに「目が点」です。
背景の少し薄い茶色がかった色合いが全体を一段と引き締めており、見た瞬間の感想は、中国の張継作の有名な漢詩です。
好きな漢詩ですので全文を記載させていただきます。
月落ち烏啼いて霜天に満つ。
江楓の漁火愁民に対す。
姑蘇城外寒山寺。
夜半の鐘聲客船に至る。
この光景は暁を詠んだのか又は夜半であるかとの論議に昔から決着が付いていないようです。
私としては「夜半の光景」に軍配を挙げるのが妥当と思っておりましたが、今朝の一枚の絵から、今後この漢詩は「夜半の光景定説」を覆し「暁を詠んだ」と決めたいのですが、如何でしょうか。
寒山寺の有名な詩は、私も諳んじられます。夜半か暁かとなると、私も判定がつきません。ただ、詩中に夜半と出てくるので、ここはやはり夜半だろうと思います。
色の無い墨絵の世界は、絵画でも写真でも、色の有る世界とは又別の、心に訴える世界だと感じています。白黒となると心象世界に近づくせいかもしれません。