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2011年03月31日

雪を被ったフキノトウ

 積雪が解けて、土の出た崖にフキノトウが顔を出している。このまま雪解けが進んで春に突入すれば、フキノトウは春の使者の一番手の名誉を不動のものにできる。しかし、物事そう簡単には進まない。春先でも雪は降る。直ぐに解けてしまう雪でも、フキノトウに被さり、薄緑の色を消してしまう。フキノトウの上に残った雪が花のようである。朝の気温が低いと、雪の布団の無くなった表土中の水分が凍り、霜柱が土を持ち上げる。フキノトウは霜柱との戦いも必要となってくる。

降る雪の 隠す緑が フキノトウ

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寒き朝 雪の花咲き フキノトウ

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2010年04月20日

雪解け後のチオノドクサ

 この花の名前を聞くとドクサが毒草を連想して、最初響きの良くない花と思っていた。しかし、これはギリシャ語でチオノ(chino=雪)とドクサ(doxa=誉れ)を表していると知ると、好感が増す。英語名はこの意味の通りglory of the snowである。和名の別名はユキゲユリ(雪解百合)で、名前の通り、雪が解けた空地にぽつんと咲いていたりする。薄い水色で、雪解水か春の空の色を表しているようでもある。春の花咲レースで一番手を争うように顔を出してくる花である。

枯葉から 顔を出したり 雪解百合(ゆきげゆり)

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花の色 雪解け水に 春の空

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2010年04月19日

雪解け水の凍る山道

 今年(2010年)は雪解けが遅い。4月の下旬に入る頃、街路の雪が解けても、散歩道に選んでいる山道には雪が残っている。雪解けも、早朝の弱い陽では一時止まっている。前日にでも解けた水が凍りついて、路面が氷で覆われていて、その中に枯葉が取り込まれている。氷の中に閉じ込められた大昔の木の葉の化石のようにも見えてくる。この道の雪解けも進行して、後1週間もすれば雪も消えてしまうだろう。枯葉もどこかに飛ばされ、新緑で枯れ木も新しい装いに衣替えである。

弱き陽に 雪解け水の 凍りたり

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雪解けの 凍てつく朝路 枯葉かな

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2009年10月10日

ニオイハンゲ

 変わった花があるのである。近くの園芸(サツキ)好きの人の庭で見た花は、カメレオンのように、口から長い舌を出している。花の名前はニオイハンゲというらしい。まったく奇妙な花である。

長き舌 ニオイハンゲは カメレオン

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2009年09月07日

夏の落し物

 風が強かった翌日の散歩道にドングリの実が落ちている。緑が残っている実があちらこちらに散らばっている。2、3個拾って公園のベンチに置いて写真を撮ってみる。夏の落し物である。夏も終わりになると、落とし物は茶色に変化してくる。この色は秋の前触れの色である。落とし物を拾い集めるのはリスの役目で、歩いている近くの藪の中で音がすると、リスが木の上に姿を現す。大抵はエゾリスである。冬眠しないこのリスは、せっせとドングリの実を今から集めているのだろう。

写真撮る 夏が落とした 緑の実

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実の色は 秋の前触れ 早き朝

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2009年06月09日

シシウド属の花

 六月に入った山道に背丈があって、白い小さな花の集まりを放射状に広げた花が目につく。花図鑑で調べても、似たような(微妙に異なる)花が並んでいて、そのどれに当てはまるのか判断がつかない。インターネットで検索して、シシウド属の花らしいことだけはわかる。花の名前など正確にわからなくても、花がそこに咲いていればそれだけでよいのではないかという考えのある一方で、名前がないと物は存在しない、という感じ方も一方にはあって、名前がわからないのは悩ましい。

知り得るは シシウド属と 放射花

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フラッシュの 光を返し 暗き朝

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2009年06月01日

仏炎苞のあるマムシグサ

 散歩道で目に留まった特徴のある花である。マムシが鎌首をもたげたような形からマムシグサの名前がついている。マムシの鎌首に見たれられた部分は仏炎苞である。同じ仏炎苞を持った花でも、白くて水芭蕉と名前がつくと人気の花になるのに対して、マムシグサと名づけられたのが不運である。名前から花の印象は随分異なってくる。この名前を知らなければ、花とは思えない面白い草である。仏炎苞に守られるように肉穂状の花序があり、実は秋になると赤い粒状になって密に並ぶ。

マムシ草 この名なければ 優雅花

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白き花序 仏炎苞が 緑染め

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2009年05月26日

エゾオオマルハナバチ

 山道の木花の横を通ると蜂の羽音が耳に入ってくる。黄色いラッパ状の花の間を蜂が何匹か行き交っている。周囲にサクランボの白い花もあるのだけれど、どういうものか蜂はこの木花だけにまとわりついて蜜を吸っている。よほど甘い蜜でも出すのだろうか。ただ、この木花は何かわからない。蜂の体毛は黒、白、茶でエゾオオマルハナバチのようである。近年野生化が問題になり、駆除対象になっているセイヨウオオマルハナバチは尻のところが白いので、この蜂ではないようである。

音止めて オオマルハナバチ 蜜を吸い

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三色の 作業服着て 蜜集め

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宮丘公園のツツジ

 ツツジはシャクナゲ、サツキなどと同類の木花である。長生きの木で、八百年から千年も生きる例があるというから驚く。ツツジは花期が長い花である。宮丘公園にところどころ植栽されているツツジは、4月の下旬から蕾をつけ、5月に入ってから本格的に咲き出す。植樹後、年月があまり経っていないようで、見事という言葉から遠い。しかし、目だってきた木々の緑に急かされるように、蕾も開いてゆく。重なって咲くツツジが次第に散っていくと、北国にも本格的な夏が訪れる。

春急(せ)かせ 蕾開きて ツツジ花

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ツツジあり 足の止まりて 朝山路

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2009年05月23日

林の道のマイヅルソウ

 花の名は鶴が舞う形に似ていることからきている。花柱の部分が鶴の首と頭、二枚の葉が広げた鶴の両翼というわけである。覚え易く、具体的花の形も浮かんでくるので、良いネーミングではなかろうか。花はクス球が下から順次割れていくように咲いている。密生して咲いているところを見ると、根が伸びてそこから新しい茎が地上に出て伸び、葉をつけ花が咲いていくのではなかろかと思っている。しかし、研究者でなく、図鑑にもその説明はなく、はっきりしたことはわからない。

花と葉で 舞う鶴なりや マイヅルソウ

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クス球の 割れて咲きたり 林道

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2009年05月20日

西野市民の森のオオカメノキ

 西野市民の森の散策路を歩いていたらこの低木に咲く花に出会った。周囲の大きな花は飾り花で、内側の小さな花はそれぞれ星型をした両性花である。カンボクという似た花があるけれど、葉の形がハート形で先端が尖っていて、葉脈がはっきりしている特徴が図鑑にあるオオカメノキと一致しており、間違いないだろう。漢字名の大亀の木は葉の形から命名されたようで、確かに亀の甲羅の形をしている。林の開けた場所にこの木花があると、そこは文字通り華やいだ空間に感じられる。

花飾る 飾り花あり 両性花

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葉の形 大亀の木の 名の由来

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2009年05月15日

春の山道のクルマバソウ

 山野草の名前を新しく覚えるのが難しい場合がある。名前を知った時には覚えていても、そのうち忘れる。花の咲く季節に覚えていても、季節が過ぎて一年後に見ると名前が出てこない。その点、山道で小さな花をつけているこの山野草は覚えやすい。八枚の葉が車輪のように見えることから車葉草の名前がついていて、これなら忘れない。可憐というのはこの花の形容詞としてピッタリである。近づいて見ないとよく見えないほどの小さな花が、寄り添うように茎の先頭に咲いている。

車葉は 覚え易き名 春小道

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可憐なり 小さき花の 寄り添いて

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2009年05月12日

崖道のベニバナヤマシャクヤク

 山に自生しているヤマシャクヤク(山芍薬)を偶然目にした。登山道でもない、ちょっと危険そうな崖道を恐る恐る登っていたところで遭遇して、めったに見ることの出来ないものを見た気持ちである。12段目の看板が倒れてあり、この高さで12段なら、頂上は13段かと思っても、崖に寄って眺め下ろし段数を数える勇気はなかった。頂上のすぐ下でも、頂上に出るのは無理そうなのであきらめる。帰宅して花の図鑑で調べると、花に色があるのは、ベニバナヤマシャクヤクと知る。

崖道で シャクヤク美人 人誘い

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勇気無く 13段目 確かめず

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2009年05月10日

ヒトリシズカ

 花の咲く様が、静御前が一人舞う姿を思い起こさせることから、この花の和名になった。光があまりあたらない林の小路に咲いていたりする。多年草で毎年同じ場所に咲いている。花の咲き始めは、周りの4枚の葉が花を包むようにしていて、まるで舞いの始めに衣装で顔を隠すようにも見えてくる。開花が進むと葉も広がり、穂状の花序に幾本もの腕のように見える棒状の花びらが伸びていて、千手観音に化身した静御前が舞っているようにも見える。フタリシズカの名前の花もある。

舞い始め 衣装で隠す 白い顔

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静御前 千手観音 舞姿

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2009年05月03日

咲くのを急ぐ山桜

 普段は平凡な風景でも、桜の季節には写真を撮りたくなる景色に一変する。散歩道から見下ろすと、早々に咲き出した山桜の彼方に我が家の屋根が見える。望遠レンズを装着して、花をつけた桜の枝の間に我が家の屋根を配して写真を撮ってみる。春の訪れは庭にもあり、近くから桜花と我が家を重ねて撮ることもできる。満を期して咲いてくる桜花は、陽気の一日を逃さず、その日のうちに一斉に花が開く。春の進行と競争して咲き急ぐ山桜には、何か理由があるのかと思ってしまう。

枝間より 我が家の屋根見え 桜花

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春陽気 開くを急ぐ 桜花

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2009年05月02日

コブシ

 自身にも周囲の木にも緑が戻ってこないうちに、コブシの花が咲き出してくると、冬の終結宣言を書くための白紙を見ているようである。木々の色が乏しい春先には、いやおうなく目立つ木花である。木いっぱいに花をつけるのもあれば、花の数が数えるほどしかないものもある。いずれにしても、それぞれに春を告げる役目を果たしている。山道を歩いていて、頭上にコブシの花があると、カメラのシャッターを切っている。コブシ咲く北国の春は、雪が白い花に変化したかとも思える。

花紙に 冬終結の 宣言文

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枝に積む 雪の変わりて コブシかな

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エゾエンゴサク

 漢字名は蝦夷延胡索で地下の塊茎から漢方薬の延胡索が作られるので、中国伝来の漢方薬から花の名前がついた。落葉広葉樹林で、春先木の葉が出てこない前に木の下に群れをなして咲くケシ科のスプリング・エフェメラルである。遊歩道の道端にぽつりぽつりと花をつけているのを写真に撮ってみる。筒状から先端が開いてくる水色の花びらはちょっと複雑な形である。木の葉が茂る頃は地下で眠りに入る。茎部分は漢方の他に食用にもなるといわれているけれど、食べたことはない。

道端の エゾエンゴサク 春息吹

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花部分 いかなる形 目を凝らし

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