2007年04月30日
入り組んだ市境界
地図を見ていると、発寒川に沿った札幌市と石狩市の境界は激しく入り組んでいる。これは行政区の境界を原始河川に沿って定めたのが、河川の改修が行われ、行政区が札幌市と石狩市となった後でも境界は昔のものが引き継がれたためであろう。札幌市と北広島市の間もこのような入り組んだ境界が地図に描かれている。
では、このような入り組んだ市の境界では地図の境界通りの管理が行われているのだろうか。例えば、ここは札幌市、ここは石狩市と主張する標識みたいなものが立てられているのだろうか。もし、そうなら道路に沿ってそれが並んでいるのは面白い光景であると現地に調査に行くことにする。
選んだ場所は、地図にある札幌側は屯田町、石狩市側は花川東の発寒川に隣接して遊水池のところである。ここは水辺のふれあい広場という公園になっている。遊水池は二つあり、地図では第一遊水池は石狩市に、第二遊水池は札幌市側に属している。小さな橋が発寒川に架かっており、これは石狩市側に組み込まれている。公園が二市に分かれているとすれば、管理も大変ではなかろうか、それぞれの市の標識が公園内にあるのだろうか、と思っていたところ、現場で目にしたものは予想外のものだった。
ふれあい広場の発寒川縁には遊歩道兼自転車道があって、前述の橋のたもとには標識が立てられている。どの標識にも札幌市の文字が入っている。地図では石狩市になっている場所が札幌市の管理下にあるようだ。管理上からこの方が自然であろうと思えた。が、不自然な点も目についた。橋のたもとに異様に標識が多いのである。その一本、一本に札幌市の文字が入っている。その数は十本にも及んでいる。人のほとんど通らないこの小さな橋のたもとに、ここは札幌市であると強力な意志表示を行っているようである。
では橋を渡って地図上でも石狩市側には石狩市の名前のついた標識のひとつもない。この対比は際立っていて面白いけれど、滑稽でさえある。市が地図上の境界に添わないで実質的管理を主張する努力は、地図上の境界を現状の河川に合わせて描きなおせばそれで済むものを、それが簡単にいかないためなのだろう。
地図問題はさておいて、遊水池や発寒川には朝から釣り人が集まって来ていた。フナや時には鯉が釣れるそうである。橋の上から見下ろした川は濁っていて、魚影は見られなかった。見上げると、川上の方向に未だ雪を頂いた手稲の山並みが4月の青空に映えていた。