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2009年10月25日

 子規の名句「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」をラジオで耳にしたからと言って、妻が柿を買ってくる。近所の園芸好きの庭に鉢に植えられた盆栽の柿があって、雨上がりで雫をたらしている。

食うほどの 大きさもなく 雨上がり

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2009年10月21日

庭宇宙

 モミジの木の根元に、星形の葉が一面に落ちている。まるで、星空を庭の地面に映したかのようである。気のつかないところに宇宙は広がっているものである。落葉があれば、当然枝には黄葉が残っている。晴れたり、曇ったりの朝で、朝日の当たり具合を見計らって、枝にあるモミジの葉の写真を撮ってみる。黄葉が自ら光を出しているようでもある。これは星の最後の輝きで、この後は地に落ちて、土の闇宇宙に飲み込まれてしまう、という宇宙の物語を、狭い庭で語ることができる。

星空の 足元にあり 庭宇宙

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輝いて 終焉迎え モミジ星

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2009年10月20日

落葉前

 散歩の道で見上げると、枯葉が枝にある。葉がほとんど無くなりかけていても、枝にしっかり付いている。枝にしがみつくあまり、葉は破れ、葉の形を留めていない。きれいな落葉で散っていく多くの葉があるのに、大空に向かってみっともない姿を晒している。何か、人間の晩節を汚す様を象徴しているかのようである。朴の葉は、大きな葉がバサッと落ちる。これだけ大きな葉になれば、指で穴を空けてみたくなる。庭仕事もせずに、子供じみた悪戯に興じている秋の早朝である。

晩節を 汚す如きの 破(やれ)葉なり

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朴(ほう)の葉に 我悪戯(いたずら)の 秋の朝

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2009年10月17日

秋の庭のガウラ

 秋も深まり、庭に咲く花の数も少なくなってきた。その少ない数の花に、細身で背丈のあるガウラの花があり、冷たくなってきた風に揺れている。見かけによらず、寒さに強い花のようである。色も白やピンクと色変わりのものが咲いていて、色が単調になってきっている庭に、少しでも彩りを増やそうとしているかのようである。花の色は退場するのと入れ替わりに紅葉が始まってきて、山桜、ナナカマド、カエデと色づきが始まっている。ガウラの白花は、雪の到来を連想させる。

紅葉に 負けじとガウラ ピンク

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白色は 雪の予感で ガウラ花

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2009年10月16日

ハナラッキョウ

 近所からやって来たハナラッキョウの一鉢(正確には鉢ではないけれど)がテーブルの上にある。これでも撮ってブログのつなぎである。

 蕎麦のつなぎみたいなもので、本来の食材の蕎麦のようなものではない。このブログも食材の頭出しみたいなところがあって、目的の料理は紙媒体にあるのだが、世に出すまでに時間がかかる。

 昨夜の勉強会で、歴史で人間がこれまでに生み出して来た紙媒体の書籍類の累計ページ数(こんな統計をどのようにして出してくるのか頭を捻るけれど)を、近年のブログのページ数が桁違いに抜き去ってしまった事実が、いかに紙媒体と電子媒体の世に出てくる速度の差があるかを再確認させられた。

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2009年09月25日

アップルミントの花

 ふと見ると、目立たない白い小さな花が咲いている。アップルミントの花である。ミント類に分類されるハーブの一種で、リンゴに似た香りがあるのでこの名前になっている。葉でその香りを嗅いだりしていたけれど、花には気がつかなかった。葉はハーブティーに用いたりするらしいが、試したことはない。花は穂状に咲いていて、真上から撮ると、雄しべの突起が触手のように伸びて、イソギンチャクが花になったようである。丈夫な花のようで、消えずに庭の隅に残っている。

気がつけば アップルミント 白き花

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触手出し イソギンチャクの 花姿

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2009年09月09日

庭の美の小宇宙

 放射状に延びる葉の中心に雨水が溜まっている。水の花が咲いたようである。カメラ(レンズ)が良かったらもっときれいな写真が撮れそうである。何気ないところに、面白い造形が顔を出すものである。アリウムの花が散って、実がついている。これも放射状の茎分かれの先に実が球の表面に並んでいるように見えて面白い。庭にある小宇宙で、アリウム星が爆発して、星を構成している実が飛び散っていく瞬間が固定されたようにも見えてくる。美の小宇宙はそこここにある。

雨滴花 咲き出す頃は 雨上がり

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アリウム星 爆発のあり 庭宇宙

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2008年11月09日

カンパニュラ

 テレビドラマ「風のガーデン」を視ている。東京、札幌、富良野と舞台がリンクして、ドラマは進行する。札幌では「よさこいソーラン」が話の展開に挿入され、そのロケが実際の祭り中にあったのをテレビで知ることになる。風のガーデンは富良野に設けられ、毎回の花の名前がドラマのタイトルとなる。「カンパニュラ」の回で、この花がホタルブクロの別名のある花であることを知る。ホタルを捕まえて、この花袋に入れて持ち帰ったことからこの花の名前がついたといわれている。

カンパニュラ テレビドラマで 名を知りて

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花袋 ホタル入るか カンパニュラ

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2008年10月24日

風雨の日

 夜半から風雨である。朝窓の外を見て、この天気ではどこかに行く必要もないと、落ち着いた気持ちになる。しなければならない仕事もあるのだけれど、これは自分の都合に合わせればよいことなので、気分的には朝からだらだらしている。窓の外の写真などを撮って爪句をつけてみる。風雨に曝(さら)された残りの黄葉も、散り足を早めている。葉が散ってしまった裸の木は木の裸体でもある。室内の裸婦像(像名は「ジーンズ」であるけれど全裸像にしかみえない)の樹木版である。

風雨日は 庭木を撮りて 句作なり

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秋風雨 庭木葉落し 裸木なり

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2008年10月21日

暖秋のコスモスと白菊

 コスモスが残り少なくなって咲いている。白菊は今が盛りと集団になって人目を惹いている。花に主役も脇役もないけれど、ピンク色の大柄の花が白い小さな菊の花に取り囲まれるようにしてあると、何か主役を演じているようにも見える。今年は暖かい秋で、雪虫もこの陽気では出たり引っ込んだりである。しかし、もうすぐに晩秋から初冬に季節は移っていき、初雪のニュースも流れるだろう。コスモスの白い花と白菊を見ていると、その白色が雪の季節の前触れのように感じられる。

脇役と 主役の区別 色でつけ

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暖秋も 白色目にし 雪予感

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2008年10月14日

黄葉と雲

 見事な秋の黄葉や紅葉には、視線が吸い取られる。色づいた木の背後にある秋空、特に雲が秋の景観には欠かせない脇役、いや場合によっては主役である。緑の葉を煮ていくと黄色になり、それも焦げるほどまで煮て、その湯気が立ち上ったようにも見える雲が上にある。秋の空は油断ができず、今まで雲ひとつない空と思っていたら、いつの間にか雲が沸いていたりする。朝空にかなり厚い雲がかかっていると、色づいた山や街の地上の秋色を雲が吸い取っているようにも感じられる。

焦げ黄色 葉を煮た湯気の 立ち上り

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地の秋を 朝空雲が 色吸いて

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2008年10月11日

散り際の花と紅葉

 木の葉は散り際に色を変える。炭酸同化作用という木の生命維持機能を受け持つ葉の役目を終えたことを、色が変わることで周囲に宣言して散っていく。一方、花の方は色が薄くなっても花の元の色を残して散っていく。花であったことの誇りを持ちながら終わりを迎えるように。人の散り際は、色の変わる葉のようであるのか、色を保ったままの花のようであるのか。花も葉も秋の季節のあわただしい走りに付き合って伴走しているようで、一日毎に変化をみせながら散っていく。

花真似ず 散り際の葉の 色変わり

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花も葉も 秋の走りに 伴走し

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2008年10月09日

落ち葉

 庭木で一番先に見事な紅葉を見せてくれるモミジの木がある。傍に同じ種類のモミジがあるにもかかわらず、この木だけが赤い服を着て、一足先に秋モードへ対応である。庭の落ち葉を掃き片付ける人の方も、偶然か上着が赤いものになっている。緑が薄くなった地面に落ち葉が散乱しているのを見ると、秋がここまで進んでいるのかと認識を新たにする。落ち葉を撮る自分の影が、朝日で地面の上に長く伸びる何気ない風景に、足早でやって来る枯葉の消える季節の予感がする。

落ち葉掃く 上着紅(くれない) 染まりたり

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影予感 落ち葉消え季節(とき) 近づきて

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2008年10月08日

雨上がり

 イヌサフランは秋に花だけが咲く。葉の方は春に花を付けずに出て来る。何か花と葉が別居しているみたいである。葉に毒があり、葉が似ている山菜のギョウジャニンニクと間違えて食べられ、事故があったりする。花に雨滴の残りが残っていて、雨上がりの秋のさわやかを演出している。花の上を見ると、こちらは紅葉の赤色の葉の先に雨雫が落ちそうになってかかっている。この時期、一雨毎に気温は低くなって行くようで、紅葉の赤色の度合いが気温の温度計のようにも思える。

イヌサフラン 別居の花に 雨雫

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赤の先 雫のかかり 雨上がり

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2008年10月06日

秋の花

 十月に入れば朝は寒くなる。赤いキクの花が集団で咲いていると、燃える火を連想する。しかし、手をかざして暖を取るまで連想は広がらない。コスモスも秋の花で、コスモスと同じような系統の色のキクが一緒に咲いていると、お互い競い合っているようでもある。花の競い合いは、見る方は歓迎である。元々コスモスは外国から来て、日本に定着した花である。花びらや葉が細かく集まっているキクに比べて、大柄な花びらで葉の少ない茎が伸びているコスモスは外国原産の感じがする。

赤き色 火の連想や 寒き朝

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コスモスが キクと張り合う 季節なり

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2008年10月03日

曇り日の秋の色

 秋も深まって、朝日が当たれば輝くだろう秋の色も曇り空では色はくすんでいる。しかし、デジタルカメラの性能はたいしたものである。日の光が弱くても、自動的に調節してそれなりの写真にしてくれる。この時期鬼灯は葉が少なくなって、実覆う殻の橙色が目立っている。紅葉(もみじ)は気温が急速に下がるとそれに比例して赤色が鮮やかになる。曇り空なので赤色の彩度は落ちるけれど、それでも「二月の花より紅」の譬えは実感できる。天気が回復したら再度撮影してみよう。

鬼灯(ホオズキ)の 橙色(とうしょく)目立ち 秋深く

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曇り空 紅葉の色の 彩度落ち

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2008年09月29日

萩の花

 夏に比べて日の光が弱まるせいか、秋の色はそれぞれが周囲と溶け合っているようである。写真を撮って見ると、空の水色で下塗りをして、その上に薄緑の葉、紅色の萩の花を描いている絵画のようでもある。空、葉、花がそれぞれの色をあまり主張しないで風景の全体の色合いを出している。垂れ下がった萩の花は弱い風にも揺れている。揺れる萩を、一瞬だけ写真に静止させる作業を行ってみる。花の形が蝶形で、秋も深まり蝶の姿が消えてしまったところに、花の蝶が群れている。

下塗りは 空の水色 紅で萩

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風揺らす 一瞬を止めて 萩の蝶

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2008年09月27日

柏山人道橋

 JR千歳線の平和駅は貨物列車の操車場になっている。従って、駅舎は小さくとも駅構内は広い。この広い構内に、人が渡るための跨線橋がある。地図上で測ると三百mほどある。この跨線橋は柏山(かしわやま)人道橋と名前がついている。跨線橋の上から東の方角を見ると、新札幌駅に隣接するホテルの高いビルと、さらにその向こうに野幌森林公園の百年記念塔も見える。目を転じて西の方向には、貨物列車の先に藻岩山や手稲山の札幌を取り囲む山々まで見通せる景観が広がっている。

大気澄み 百年塔も 彼方見え

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柏山 秋空高く 操車場

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2008年09月22日

ジャガイモの収穫

 地上に出ている葉や茎の部分はほとんどなくなって、地中にジャガイモの実があるのが期待されるところまで季節は進んだ。春に植えたジャガイモを実際に掘り出してみて、最初の期待が大きなものであったり、小さいものであったりする。掘り出したジャガイモを袋に移し換えると、ジャガイモを新居に引越しさせたようである。秋も深まってきて、庭のコスモスの花もまばらである。夏の初めにはジャガイモの白い花が咲いていたのが記憶にあって、目の前で収穫された実と重なる。 

ジャガイモの 土から袋 新居なり

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収穫時 ジャガイモの花 重なりて

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2008年09月21日

朝焼け

 朝焼け空が広がる。カメラを取り出して朝の一瞬を写し撮ろうとする。周囲の絵になるものがあれば朝日に重ねたいのだが、適当なものが無い。ここは庭の花を持ち出すしかないと、朝日の中にある花を探してみる。白いフェンスの傍に紅いガウラの花が揺れていて、朝日が飛び火して咲いているように見える。輝く朝日も、顔を出す位置や大気の冷気から確実に秋の陽である。赤いバラの花も朝日の中で咲いている。バラはやはり夏の花で、秋の朝日の中では、咲き残った感じが強い。

朝焼けの 陽の飛び散りて ガウラ花

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朝焼けも 秋の陽になり 咲き残り

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2008年09月18日

闖入者

 仕事をしている机(実のところ食卓の一部でもある)の上を見ると小さな虫がいる。服にでも付いて家の内に闖入してきたのだろうか。仕事の手を止めて、傍にあるカメラで接写を試みる。相手が活字大では、接写モードでも大きくするのには限界がある。小さい割には結構足早である。カメラのレンズを向けて追いかけると、パソコンや外付けの機器の上を動き回る。ムシだからPCのバグを連想して、いい加減のところで止めにする。しかし、この虫は何という虫なのだろうか。

闖入者 接写に切り替え 仕事止め

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ムシなれば バグの連想 機器の上

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2008年09月17日

朝顔

 朝顔は中国からの渡来花で、その実は漢方薬であった。実は「牽牛実(ケンゴシ)」で、花は「牽牛の花」と呼ばれた。七夕の時期の花であるので、上手い具合に花の名前を季節の風習に当てはめている。こんな花にまつわる逸話もあり、朝顔は夏の花かと思っていると秋口まで咲いている。写真の撮り方なのだろうが、花の奥から光が出ているようにも見える。正面を避け、横から撮ると編隊を組んで空中に向かって飛んで行く飛翔体を連想させる。飛ぶ先の空は秋の空である。

朝顔は 花の内から 光出て

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飛翔する 朝顔編隊 秋の空

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2008年09月16日

色づく南蛮

 気が付くと南蛮の実が大きくなって垂れ下がっている。そのうち又気が付くと実は緑色から赤色に変化している。まるでお色直しを行って、アッピールしているようである。しかし、夏の間は緑のものが多くて、赤に変化するものは少数派である。それが、秋を迎える頃には赤が多数派になっている。南蛮は赤い色の方が辛さを想起させる。秋モードに合わせての流行(はやり)の色は、いつの年でも赤に決まりである。南蛮の赤を指す言葉もないので、造語気味の「辛し赤」としている。

夏盛り お色直しを 試みて

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秋モード 流行(はやり)の色は 辛し赤

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2008年09月15日

サラシナショウマ(晒菜升麻)

 林の下の暗いところに白い花が咲いている。サラシナショウマの花である。漢字名から若菜を茹でて水に晒して食用にすることからこの名前がついている。ショウマの方はこの名前のつく花の仲間を指していて、ショウマそのものが特定の花の名前ではない。サラシナショウマは個別の花が集まって穂のようになって咲く。個々の花は、開くと雄しべが放射状に広がる。蜜があるせいか大型の蚊が花に止まって動かない。秋に入り野の花が少なくなった頃にこの花の白さが目立つ。

晒すのは 花ではなくて 若菜なり

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暗き場所 サラシナショウマ 蚊が休み

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2008年09月13日

コスモスとナナカマド

 夏は未だ去っていないと思えるけれど、秋がそこまで来ていると感じるあいまいな季節にあって、秋を強く感じさせる花はコスモスであり、木はナナカマドである。コスモスは夏から目に付く花ではあるけれど、やはり秋の花である。視界の下の方に鮮やか紅色や桃色のコスモスが咲いている。コスモスの上の方に目を転じるとナナカマドの実が赤く色付いている。この地上の赤系統の色の彼方に青く高い秋の空が広がっていて、これらの色の取り合わせが秋の到来を確信させてくれる。

赤き実と 紅のコスモス 秋を告げ

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花も実も 色で出番の 秋の入り

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2008年09月12日

梅干

 庭で梅干を朝日に晒す。陽を当てると梅の皮が軟らかくなるのだそうである。一つひとつ手でつまんでザルの中に置いてゆく。梅干の香りが鼻を刺激すると、それだけで口の中に唾が出てくる。それにしても梅干は発明である。白米のおにぎりに梅干を入れて海苔で巻いたものがあれば、これで昼食は十分である。ハンバーグとおにぎりの勝負なら、おにぎりに軍配を上げる。年寄りの嗜好だといわれるとそんな気もするけれど、お米にも梅干にも太陽のエネルギーが詰まっている。

朝の陽が 軟らかくして 梅の皮

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梅干の 香り鼻入り 唾出て

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2008年09月11日

カタツムリ

 「デンデンムシムシカタツムリ…」と歌われているカタツムリは、ナメクジのような身の部分が殻を背負った虫の総称である。ただし、カタツムリの殻は身体の一部で、これをかなりの部分損傷してしまうと死んでしまうのだそうである。殻が身体の一部であることは、カタツムリの柔らかい部分の色や模様が殻に反映されているので納得する。のろのろと歩くとき、長い二本の触角を伸ばし、この触覚の先が目になっている。潜望鏡を上に伸ばして辺りを警戒しているようにも見える。

お洒落なり 身の色合いを 殻にして

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伸ばしたる 触覚先の目 潜望鏡

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2008年09月07日

赤トンボ

 トンボの写真を撮ろうと近づくとさっと逃げられてしまう。相手は複眼の持ち主で、視界が広く、近づく人とカメラをすばやく目でに捉えてしまうのだろう。トンボの視覚は物体の動きの認識に重きを置いているようなので、止まっているトンボに悟られない程度に間合いをつめてゆくと、間近までカメラを持ってゆくことができる。ラベンダーの花が散った後の葉と茎の部分に赤トンボが止まると、華やかな赤色が加わる。目玉の焦げ茶色の部分も、落ち葉と調和する秋の色である。

複眼に カメラ写るか 赤トンボ

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花散りて トンボ色添え ラベンダー

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