都市秘境シリーズ本の出版の嚆矢である「札幌秘境100選」に「札幌、江別、北広島市境界点」のテーマがあった。この点に立つと三市を瞬間的に移動できるという触れ込みでテレビ放送もされ、予想した以上に世間受けした。
二冊目の「小樽・石狩秘境100選」では「入り組んだ石狩-札幌市境界」を取り上げた。旧発寒川に沿って両市の境界が定められ、河川の改修により川の方が真っ直ぐになっても都市の境界は昔のままで、川の両岸に入り組んで奇妙な光景が見られる点を素材にして書いてみた。
同様な視点から今回も都市の接点とか旧河川に沿った市境界について面白そうなところがないかまず地図の上で探してみた。石狩川の捷水路工事で、旧河川に沿った市の境界が川の両岸に入り組んで残っている場所がある。そこに江別市、当別町、札幌市の境界点もある。では二市一町の境界を示す特別なものでもあるのかと行ってみる。
境界点は江別市の環境クリーンセンターの近くの石狩川の土手道の近くにある。しかし、土手道から石狩川までの河川敷には草地や林があるだけで、これといった変わったものはない。石狩川に沿った土手道を歩くと、江別市からいつのまにか当別町に入り、地図上では河川敷の一部は札幌市でもある。土手道からみた標識には一方が江別河川事務所、片方が札幌河川事務所と併記されていたので、この辺の事情を反映しているのだろう。
土手道に木の杭があって、当別川左岸基点の文字があり、当別町に入っていることになる。その標識にSPの文字が見え、これがSapporoの記号のようにも見るのだが、本当は何の記号なのかはわからない。
山林や河川敷の都市の境界に何か見るべきものを期待しても得られるものがないのは、考えてみると当然かもしれない。都市の境界は人の通るところや車の往来するところに印がある。特殊な道路として自転車道路があって、ここには札幌市と北広島市の境界の印が両面にそれぞれカントリーサイン入りで描かれていた。看板の両面を利用するのは経費節約の上からもよいことである。
マンホールの蓋には設置した都市のマーク(模様)が刻み込まれている。道路が二つの都市を横切っていると、近くに並んだマンホールの蓋が別々の都市のマークとなっていて、その間に都市の境界があることが分かる。例えば、厚別東通が北広島市虹ヶ丘から札幌市もみじ台に抜ける場所の歩道のマンホールは北広島市のものであることが分かり、そこから10メートルぐらいのところにあるマンホールの蓋には札幌市のマークがあり、車からは札幌のカントリーサインを行き先地名と一緒に見ることができる。