2007年05月31日
穴滝と小樽の水
小樽の勝納(かつない)川に沿って酒造りの工場が並ぶ。それは勝納川を生み出している奥沢の水源からの良い水が得られるためである。この勝納川の源流を地図で辿ると穴滝で川が始まっている。穴滝がこの川の水源らしい。インターネットにも滝の写真は出ている。しかし、一人で行くのは気後れのするところである。
穴滝探検を頭の隅に留めておいていたところ、予想しなかったところから助っ人が現れた。小樽市の広報課と水道局である。広報課、水道局、穴滝がつながる線が初めは分からなかったけれど、それは山歩きに手にしたポットボトルの水にあった。それについては後述する。
道道679号線を天神地区を抜けてさらに進む。穴滝の新しい標札が木の幹にくくりつけられているところで、道は鉄製の横木で遮られる、解錠しなければ進めない。そこは水道局の管理の範囲なので解錠してさらに車で進む。かつては小樽から赤井川村に行くにはこの道路しかなかったという山道を車で揺られて行く。途中山菜採り兼山歩きの年配の婦人連中に出会ったから、女性は元気である。
穴滝への標識もないところで車を止めて、長靴に履き替えいよいよ沢歩きに入る。途中花期を過ぎた水芭蕉、エンレイソウ、エゾリュウキンカなどの花が目に入る。雪渓の残りもある。倒木をくぐり、小川を渡り、岩を登りの沢行きを15分ばかり続けたろうか、穴滝に到着である。
ここがどうして穴滝と呼ばれるのかは、滝に来てみて分かる。滝の傍が大きな洞窟状になっていて、滝水が落ちてくるのをこの洞窟内から見ることができる。それほど大きな滝ではないけれど、水が落ちていくのを滝の近くから見ることができるので、清涼感がある。ただ、この洞窟に一人で入って、この滝を眺めると、清涼感に凄みが加わるだろう。パノラマ写真も撮っておく(拡大したパノラマ写真は こちら まで)。
この滝で広報課の課長さんが筆者にペットボトルを持たせて写真を撮る。ラベルには「小樽の水」とある。何とこれは小樽市水道局が売り出している水なのである。これが前述の穴滝、市の水道局、広報課を結ぶ線なのである。穴滝を水源にした美味しい小樽の水を水道局が作って、広報が宣伝を受け持って、消費者に認知してもらう、という筋書きである。
これは出来たシナリオである。穴滝では若いモデルの女性でも立たせてコマーシャル写真でも撮るべきで、自称都市秘境探検家の筆者の出番ではないとは思ったけれど、ここまで連れてきてもらったからには、当方も「小樽の水」の宣伝に一役買おうと、滝を背景にしたペットボトルの写真をここに載せておく。