2010年06月30日
近づいて見る芝桜
芝桜は花絨毯が目に入ってくることが多く、個々の花を観賞することはあまりない。でも、花絨毯に近づいて個々の花を見ると、花びらの形が桜に似ているのが確かめられる。色の方は桜色というには濃い色で、芝桜の絨毯が遠目に見事なのは、この濃い桃色や鮮やかな赤色によっている。花弁の基部に絞り染めで出来たような色の濃い部分がぼかしのようについていて、単調な色の花びらにアクセントを加えている。芝桜の花が消え、葉の緑の絨毯が現れる頃には、もう夏の到来である。
単調な 花弁布地に 絞り染め
花絨毯 織り出す色の 花弁なり
札幌岳の冷水(ひやみず)小屋
札幌岳は、豊平峡ダムによる人造湖の定山湖の東側にそびえる1293mの山である。豊平峡ダムへの道の途中にある登山口から、冷水沢川沿いに、最初はなだらかな森林地帯を歩き頂上を目指す。登山道が急斜面に入る手前の標高860mのところに冷水小屋がある。登山者が一服する地点にあり、北海学園大学ワンダーフォーゲル部が管理している。山小屋の入り口のところに鐘があって、「安如泰山の鐘」の名盤があった。小屋の傍の沢水は冷たく、その冷気で夏山登山の息抜きができる。
鐘の銘 安如泰山 一休み
沢水の 冷気身体(からだ)の 火照り抜き
2010年06月29日
朝日の中のヤグルマソウ(矢車草)
一般にヤグルマソウと呼ばれている花は、園芸種のヤグルマギクである場合が多い。ヤグルマギクの場合は花の形から矢車の名前が付いているけれど、ヤグルマソウの名前は葉の形からきている。矢車に擬せられた葉の上に花茎が伸び、小さな花がかたまって咲いている。花をマクロ撮影したものを見ると、個々の花の中央にある白い雌蕊の周囲に、長く伸びた、これまた白い雄蕊がある。先端が赤く、花びらのように見えるガクが、鉢の中から長く伸びた花全体をピンクに見せている。
蕊(しべ)白く ガクに赤あり ヤグルマソウ
朝日浴び ヤグルマソウの ピンク増し
形の奇抜なヤグルマギク(矢車菊)
矢車は鯉幟の柱の先についている飾りで、矢が組み合わさって車の輪のように見える。この矢車の形を連想する花の形であることから、矢車菊の名前がつけられている。確かに、花の中心に突き刺さる矢のような形の筒状花弁が、四方八方に広がっている。花の中心ではかなり複雑に花弁がからみ合っていて、花というより得体の知れない植物か動物のようにも見えてくる。それにしても奇抜な形の花で、どうしてこの形になっているのかわかるはずもないけれど、面白い花である。
花を見て 矢車浮かぶ 形なり
花の核 連想するは 異生物
2010年06月28日
札幌岳の花ーその2
札幌岳山頂からは羊蹄山、無意根岳、空沼岳、藤野三豊山などを眺めることができ、景観を目的に登山する人も多い。札幌岳は標高が1000mを越し、6月の下旬でも最後の雪が残っている場所がある。ということは、平地が夏の猛暑でも、山は雪解けの季節の場所もあるということで、結構春の花も見ることができる。
札幌岳登山ではラン科の花にも多く出会った。コケイランは登山道の下の方で見ることが出来た。
サイハイランもかなり目についた。
小さな白い花が葉の下に隠れるようにあるのがタケシマランである。
ノビネチドリが草むらに隠れるように咲いていた。
札幌岳の花ーその1
6月27日は札幌岳登山である。日ごろの運動不足の身体に鞭打って、やっとたどり着いた山頂の標識に1293(m)の文字があった。1000m級の山に登ったのは昨年の手稲山登山以来である。
山頂で焼肉の昼食会である。参加メンバーは筆者の他は大ベテランS氏、企画担当F氏、運転役N氏、その体力でポーター役のT氏、登山歴の長そうなSさんと友人のSさん、山頂で偶然合流のK氏である。皆さんそれぞれの目的を持っての登山である。筆者はひたすら花の写真を撮っていたので、以下にこの登山で見かけた花の写真をアップしておく。
ゴゼンタチバナ(御前橘)はよく見かけた。
カラマツソウは一株しか見なかったけれど、風情のある花である。
ギンレイソウ(銀嶺草)は葉緑素がなく、炭酸同化作用のできない花である。感じから幽霊草とも呼ばれている。
2010年06月27日
宮の沢川の源流近くのクリンソウ
地図を見ていると、西区の中の川の支流の宮の沢川に並行して道路が延び、手稲山の山裾の奥まで達している。宮の沢川の源流近くまで自動車で行けそうなので、この源流に向う道路に沿って自動車を走らせてみる。宮の沢屋内競技場、特別老人ホームを過ぎてすぐに道路は行き止まりになる。車を降りてみると、人家があり、沢水が流れている。大きな石に寄り添うように、赤の鮮やかな花が咲いている。クリンソウ(九輪草)の花のようである。夏至の前日で、もう初夏に入っている。
沢水の 流れの傍に 九輪草
九輪草 夏至日に咲いて 北の初夏
2010年06月26日
形の面白いオダマキ(苧環)
オダマキの花が庭のあちらこちらに咲いている。ミヤマオダマキと西洋オダマキがあって、前者は地面近くで花を開いているのに対して、後者は草丈が高い。オダマキは花の部分の造りが込み入っていて、見ていて面白く、写真に撮っても奇妙な形になったりする。中央の筒状のものが花で、撮影角度により花冠が輪のように浮いて写っている。外側の花弁のように見えるのはガクである。花の基部から距が伸びていて、後ろから撮った写真では、頭部の髪がカールしているように見える。
真上撮り 花冠の縁(へり)の 輪となりて
オダマキの 後部に髪の カール見え
微風に揺れるツボサンゴ(壷珊瑚)
花の英語名がcoral bellsで、漢字に訳して壷珊瑚にしたのだろう。壷(ベル)の形をして、珊瑚を連想する色からの命名である。葉は根生であるので、長く伸びた葉のない花茎に、花だけが整列して咲いている。この姿では、少しの風でも花が揺れる。加えて、草丈も高くはなく、花が横向きか下向きなので、花の中を撮るのが難しい。それでも花を覗き込むようにして撮ってみると、鮮やかな赤い花びらの壷の中に、黄色い雌しべが顔を出していて、珊瑚の中に潜む魚のようでもある。
微風にも 花を揺らして ツボサンゴ
近づけば 珊瑚に潜む 蕊(しべ)の魚(うお)
2010年06月25日
地の簪(かんざし)のアルメリア
いつも覗きにゆくブログが閉鎖予告を行っていて、その予告日が近づいている記事にアルメリアの花の写真が名前や説明無しで載っていた。我が庭にもアルメリアの花が咲いている。この花は群れをなして咲いているので、一つひとつ花を見たこともないのに、マクロ撮影した花は、小さな花の集合体である。この一かたまりの花全体が簪のように見えることからハマカンザシ(浜簪)の別名がある。浜の方は原産地の海に近いところに咲いていることからきていて、良い別名を持っている。
アルメリア 群れて咲く頃 夏至の過ぎ
庭飾る 地の簪や 花細工
爆発を連想させるアリウム
アリウムは爆発を連想させる花である。花の咲く前には、爆発で飛び散ることになる蕾が団子状になっている。開花時の最初の爆発では、個々の蕾が開いて火の塊となって広がるかのように、花が表面に集まった球体が現れる。やがてそれぞれの花が散り、実になっていく。この時が第二の爆発で、残った花丙の先に実がついている。ビックバンで蕾の初期宇宙から、星々が放出される宇宙創生の大爆発さえも連想できる。花が咲いても、実になっても、爆発を連想できて面白い花である。
爆発に 蕾団子で 備えたり
緑星 花爆発の 尾を引きて
2010年06月24日
風景社印P&ワンワン出版記念会
昨夕(23日)は札幌テレビ塔の2階(といってもかなり高い階)での宴会である。宴会の名前が長いので、つづめてほしいといわれた件は前のブログに書いている。そこで適当に返答しておいたのが表題の宴会名である。これでは何の事かはわからない。電話で略称を聞いた係りの人が「社印」を「社員」と取り違えて看板を用意していたので、これは直しておいた。直したからといって、意味が通じる話でもないのだが・・・
会場には花束が5つほど届いていた。全部「ワンワンの会社勤務⑤」の出版祝いの花束である。その中に「チョコウラン」の花があったので、アップしておく。ここでこの花に出会うとは思わなかった。
会の一番最初のご挨拶には北海道文化放送(uhb)の新蔵博雅社長にお願いした。新蔵社長には、既に制作して同社の来客へのサービスに使っている風景社印を手に持ってスピーチを行っていただいた。この風景社印のデザインは同社のキャラクター「みちゅ」を登場させている。日付も毎日変更する手の込んだ風景社印になっている。
司会のNさんは、これまでの一連の出版記念会のパーティで仕事をしていただいている。出版本の著者の故福本チョコ嬢のテレビ(uhb)取材でもリポーター役を務めたこともあって、司会をしていて胸に迫るものがあったか、少し涙ぐんだ場面もあったのには、びっくりである。後ろ姿の人物がこの本の訳者の福本義隆氏である。
この宴会の半分(以上)は、ブログ「ワンワンの会社勤務」の読者のオフ会で、存知あげていない方も多く、当方はホスト側に回ったので、宴会の様子の写真なども充分に撮れず、会の様子は出席者のカメラマンN氏のブログとぜんまい仕掛けのブログで見てください。
受付を担当していただいた、ウチダシステムソリューショインのUさん有難うございました。同社社長の山下司氏には乾杯の音頭をお願いして、今回は同社にお世話になりました。ブログ上でお礼を済ませてしまう手抜きで恐縮です。エイブルソフトの森成市社長にも締めの乾杯とスピーチのお礼と、その他ご出席の多くの方々にもスピーチしていただき、有難うございました。
2010年06月23日
風景社印プロジェクト・キックオフパーティ&「ワンワンの会社勤務⑤」出版記念会
札幌テレビ塔の宴会担当者から電話がかかってくる。案内を看板に書きたいのだけれど、宴会の名称が長すぎて、看板に書いても文字がきわめて小さくなるので、宴会名をつづめてほしい、とのことである。宴会名とは表題のもので、確かに長すぎる。この宴会は今夕(23日)に開催予定である。宴会のための資料や出版記念会の出版本を、チョコウランが見下ろしている配置にして写真を撮ってみた。
風景社印プロジェクトは、今のところ出版までの見通しが立っていない。そこで無理にでもキックオフ・パーティとなる。「ワンワンの会社勤務⑤」(福本チョコ、訳福本義隆、共同文化社、企画eシルクロード研究工房)の方は、昨日出版社から届けられたばかりである。B5、225ページのオールカラーで定価1000円で、このシリーズの最後となる5巻目である。
シリーズ第1巻目からの企画担当者でもあるので、「あとがき」部分を書いている。今回の5巻目では、チョコウランの写真を載せている。現在我が家で咲いている、この新種のランの花と一緒に「あとがき」のページの一部を撮ってみた。
このブログをご覧になった出席申し込み者で、本日の宴会を忘れている方は、出席をお忘れなく。また、このブログをご覧になって、この本だけでも購入したい方は、本日(23日)午後5:30~6:00の間テレビ塔2Fにお越しいただければ(そのような方がおられるとは思わないけれど)、本を入手できます。
ジンヨウイチヤクソウの咲く宮丘公園遊歩道
表題の花の名前を漢字で書くと、腎葉一薬草となる。漢字にすると命名の理由がわかってくる。葉が腎臓の形をしていて、一つで色々な病気に効く薬草であることを意味している。葉は常緑で、草丈が低く、花は花茎を葉の上に伸ばして咲いている。宮丘公園は手稲山の山裾にある公園で、遊歩道が広い公園内に延びている。しかし、この花を見ることができるところは一ヵ所で、花の季節に密かに咲いている。朝日が木の間から漏れてくる時間に、花のマクロ撮影を試みてみる。
朝日中 腎葉(じんよう)並べ 一薬草
下を向く 可憐な花を マクロ撮り
2010年06月22日
宮丘公園のサイハイラン
手稲山の山裾に位置する宮丘公園の「春の小路」と名づけられた遊歩道を歩いていると、道に沿って木の陰で少し薄暗いなった藪のところに、ピンクの花が咲いているのが目についた。サイハイランの花である。漢字で書くと采配蘭であり、花茎に鈴なりで花が咲いている様子が、戦国武将の手にあった采配に似ているためにこの名になった。葉は根生で、ラン科の花の特徴を見てとれる。マクロ撮影では、横向きの細長い花びらから柱頭が顔を出していて、花の盛りの勢いを見せている。
采配を 振るいたくなり 蘭の花
勢いの 花横向きで 盛りなり
札幌ふれあいの森のコケイラン
札幌市清田区有明地区で、札幌市と北広島市の境界近くを走る341号の北側に「札幌ふれあいの森」の公園が広がり、遊歩道が延びている。道道341号沿いに「ふれあいセンター」があり、その近くの遊歩道を歩いていて、道端のコケイランに気がついた。漢字名では小蕙蘭で別名ササエビネ(笹海老根)と呼ばれている。トケンラン(杜鵑蘭)とよく似たランで、コケイランは唇弁のところに斑点があるのでトケンランと区別できる。ここでこの蘭の花と遭遇するとは思いがけなかった。
ふれあいの 森に一株 蘭の花
唇弁に 斑点見えて コケイラン
2010年06月21日
ルピナスの万華鏡
ルピナスは夏に入る頃になるとよく目につく花である。昇り藤の別名があって、縦に直立して咲く花なので、大抵は横から花を撮る。この花を真上から撮ると万華鏡のように見える写真を「さっぽろ花散歩」(北海道新聞社、2010)に載せている。その写真を撮ってから1年経って、本の写真と重ねてルピナスの万華鏡を撮ってみる。年が変わっても、ルピナスの方は相変わらず見事な万華鏡を見せている。横から見ると、上え上えと咲いていく花は昇り藤の表現にぴったり合っている。
今年また 万華鏡見せ ルピナス花(か)
ルピナスは 初夏を迎えて 咲き昇り
宮丘公園のトケンラン
札幌は、平野部に発展した市街地が山裾まで広がってきている。西区の市街地が手稲山と接するところに宮丘公園があり、自然を残した遊歩道が延びている。雪の無い季節の散歩道に選んでいる。その遊歩道で、丸太で整備された人の歩く場所からわずかに外れたところにトケンランの一株が密かに咲いていた。トケンとはホトトギス(杜鵑)を意味し、この鳥にあるのと同じ斑点が花に見られることから命名されている。花は羽を持った妖精のようにも見え、飛ぶイメージの花である。
トケンラン 白き花見せ 遊歩道
妖精が 羽を広げて 飛ぶ如し
2010年06月20日
北欧館前の人魚姫の像
北5条手稲通が琴似発寒川を横切るところにレストラン北欧館があり、「パンの博物館」も名乗っている。北欧館の名前から、店の前にデンマークのコペンハーゲン港に設置されているアンデルセンの童話のヒロイン「人魚姫」の像のコピーが置かれている。本物の像は、頭部切断や爆破のご難続きである。今年(2010年)は上海万博のデンマーク館に展示のため、初めて国外に持ち出された。人魚姫の像の上には、スカンジナビア十字をあしらった北欧諸国の国旗が掲揚されている。
海面(うなも)無く ガラスに影の 人魚姫
像上に 北欧十字 国旗群
頭上のバニーガール
JR札幌駅から延びるメインストリートに沿って、商店が並ぶ街路を歩いていて、視線が上に向いた。そこに三日月をデザインした看板があって、よく見ると耳の長い、尻尾のついた女性が張り付いている。バニーガールらしい。月に兎をかけてバニーガールを配したのかな、と思ってみる。この看板だけから、これが何の宣伝なのかわからない。ひっきりなしに人通りがある街路の頭上にこんな飾りがあったとは、何か大発見をしたような感じになって、望遠レンズで拡大して撮ってみた。
雑踏の 頭上秘かに バニーガール
三日月と 兎娘に 青き空
2010年06月19日
イソツツジの彼方に望む樽前山のドーム
樽前山は活火山で、山頂の中心部にある隆起したドームの部分の標高を地図でみると1041mとなっている。このドームを囲むように外輪山が形成されていて、登山道が尾根伝いに延びている。現在、この外輪山の登山道からドーム側に立ち入りことが出来ない。外輪山のそこここに咲いているイソツツジからドームを望む角度で写真を撮ってみる。フォーカスの合わないイソツツジの向こうに、山肌から噴煙を吐き出しているドームが見える。イソツツジはエゾツツジの転訛の名前である。
樽前の 噴煙転化 イソツツジ
イソツツジ 蝦夷のツツジの 転訛なり
樽前山のコメバツガザクラ(米葉栂桜)
6月の中旬に樽前山に登ってみる。タルマイソウ(樽前草)の別名のあるイワブクロ(岩袋)が咲いている。イワヒゲ(岩髭)は名前の通り、岩に張り付いた髭のような葉に小さな花をつけている。見落としそうな小さな花にコメバツガザクラがある。厚い葉が米粒を連想させる形なので、この名前になっている。花も葉も三つ揃って、ガクがピンク色の可憐な花で、三人娘が揃っている感じである。花の咲いている場所にコケが密生していて、コケの絨毯の上で夏を迎えようとしている。
樽前で 三人娘 揃い咲き
米葉花 コケ絨毯で 夏迎え
2010年06月18日
樽前山花登山
樽前山の花を見て、写真を撮ってくる登山に連れて行ってもらう。Fさんの提案で、当方は初めての樽前山登山である。ガス(雲)がかかったり、一部晴れたりの天気で、あまり暑くもなく歩くのにはよい気温である。写真は先に行くFさんである。
当方は花の写真を撮るのに余念がない。
以下はこの花登山で新しく知った花の写真である。
イワヒゲは岩場に髭が生えているように見えることからこの名前になった。小さな可憐な花をつけている。
イソツツジはエゾツツジが誤ってこの名前になったそうである。樽前山のお花畑のいたるところに咲いていた。
イワブクロはタルマイソウの別名があり、名前の通り樽前山の固有種である。
ウコンウツギは森林地帯の終わるところ(7合目)から外輪山の上まで見ることのできる木花である。
マルバシモツケはようやく咲きだしたところである。
樽前山は高山植物を観賞するのに適しているのに加え、晴れていれば支笏湖や太平洋の眺望を楽しめ、人気の山である。札幌から車で1時間も走れば、この山の登山口まで行けるのだから、札幌市民は登山を楽しむのには良いところに住んでいるといえる。
JR滝川駅前広場の三裸婦像
JR滝川駅前の広場に裸婦像が置かれている。ブロンズ像は円形の花壇の中にあって、作品に対応して文字が花壇の壁に記されている。「理想」、「青春」、「情熱」とあり、これらの裸婦像の作品名のようである。作者名を探してみたのだが、作者名を見つけることができなかった。漢字の意味が裸婦像に投影されているのかどうかは、判断がつきかねる。しかし、青春の物思いや情熱を表すポーズ、さらに理想の追求を身体で表現しているといわれたら、そのような感じもしてくるのだろう。
青春の 思いと情熱 並びおり
前見つめ 理想に向かう ポーズなり
2010年06月17日
幼い時の祭りの記憶
祭りは、大人が小さかった自分と重ねて思い出すものである。歳を取ると、なぜ祭りが面白かったのか、理解できなくなっている自分を見つける。子供の時は何でも面白かったのだろうが、祭りは日常性からかけ離れていて、その印象が強く残るためなのだろう。その印象を強めるものは、露店でのささやかな買い物である。子供の興味を惹くものが台の上に乗せられ、幼い価値観で品定めに入り、お気に入りを手に入れた記憶が、祭りの背景を伴って、成長する頭脳に閉じ込められる。
品定め 祭りの記憶 強めたり
母娘 記憶の鎖 露店市
祭りに立つ露店市
北海道神宮の例大祭では境内に市が立つ。古道具、古着、靴、アクセサリー、食器、CD、写真、看板、玩具、エトセトラと何でも並んでいる。数億年前の化石なんていうものもある。ひやかしで見て行く客も多くて、売り方も心得たもので、商品の後方の椅子に座って客の動作を眺めている。なにか、売れても売れなくてもよい雰囲気で、露店を出していることを楽しんでいる感じが伝わってくる。ときどき真剣に品定めをする客が現れると、売り手も前に出てきて、商売に熱が入る。
客は品 売り手は客に 目を注ぎ
境内で 祭り加わる 市の人
2010年06月16日
穂多木神社の神事
北海道神宮例大祭は毎年6月の中旬の三日間にわたって行われる。その中日に同神宮に出向いてみると、境内に露店が並び、各種の行事が行われている。露店が並んでいる辺りに穂多木神社があり、今は存在しない北海道拓殖銀行の「北」、「拓」、「銀」の読み音「ほ」、「た」、「ぎ(き)」に当て字をした神社であり、同行の物故者を祭ってある。北海道神宮の例大祭に合わせてこの神社の神事が行われていて、神主や巫女が仕事をしている。お神酒を注ぐサービス中の巫女の写真を撮ってみた。
神事あり 穂多木神社に 巫女の居て
まぶしきは 神酒注ぐ巫女の 白装束
電通恒産札幌ビルのレリーフ
表題のビルは大通西5丁目にあって、大通公園を南に見る位置に建っている。札幌のビルは冬季の雪のこともあり、建物に構造的な出入りのない、箱型のものが一般的である。このビルは玄関部分に円柱を配していて、札幌にあるオフィスビルとしては異色である。ビルに入居している企業がYOSAKOIソーランの祭りに関係しているらしく、祭り当日、スタッフが出入りしている。つられて入ってみると、玄関のホール部分に開拓時代をモチーフにした、材木を曳く馬のレリーフがあった。
ビルの外 祭りの人の 流れ見え
レリーフは 馬で木を曳く 開拓期
2010年06月15日
祭りの地方車の上
YOSAKOIソーラン祭りでは、地方車(じかたしゃ)と呼ばれる音響装置を備えて歌い手を乗せた大型車が、踊りの隊列の先頭をゆっくり走り、踊りを先導する。地方車は本家のよさこい祭りに登場するものを、札幌のYOSAKOIソーラン祭りにも取り入れたものである。踊りが始まると、踊りの方に目が行くけれど、写真で見ると、地方車の上の歌い手の緊張感が伝わってくる。地方車には歌い手の他に撮影のためカメラを抱えている人、黒子の人と、裏方も車上で役目を分担している。
地方車に 踊り開始の 緊張感
歌い手は ここが山場と 熱唱し
赤れんが庁舎前の迫力の踊り
YOSAKOIソーラン祭りの会場は大通会場がメインであるけれど、JR札幌駅前広場や道庁赤れんが庁舎前にも踊りの会場が設けられている。道庁前広場の会場は特別舞台が設置されているのではなく、観客用の椅子が並べられているだけで、舞台がないので踊り手のすぐ近くで見物できる。踊りを間近に見て写真を撮ると、踊り手の表情が生き生きとして写るようで、踊りの迫力も伝わってくる。広い舞台での、一糸乱れぬ演舞も見事であるけれど、目の前での踊りというのも面白い。
映える顔 主役の景観 かすみたり
迫力で カメラを退いて 踊り撮り
2010年06月14日
踊りの静と動の表情
YOSAKOIソーラン祭りでの踊り手の表情がよい。人間を撮ると、写真に固定される表情が一番面白い。踊りの動作が目まぐるしく変わるのにつれて、表情も変わっていく。踊りの流れの中で静と動の表情が交代する。一瞬、決めの動作があって、静の時の表情は恍惚と安堵のアンドのような表情である。これが激しい動きに変わり、顔も身体の筋肉の躍動に合わせている。内にある熱気を開いた口から放射しているようにも見える。人間好きなことをしている時の表情が一番良い。
恍惚と 安堵のアンド 顔に出て
吐き出すは 内なる熱気 熱き日に
大判に変わる花・ルナリア
花に関心が無かった頃、盛りの花と花が散った後の種子とが結びついていなかった。大方は、盛りの花に目が行っているので、その花の種子がどんなものかは気に留めなかった。しかし、逆の場合もあり、面白い種子の方が記憶に残っていて、種子を見て花の方が思い出せない。オオバンソウ(大判草)と呼ばれる花があって、種子が貨幣の大判のように見え、種子の方が記憶に残っている。ルナリアの名前のあるこの花を、大判草と知って盛りの頃見ると、裕福を感じさせる色である。
ルナリアは 裕福色で 大判草
花萎み 実は大判の 財残し
2010年06月13日
2010年の北大祭
毎年6月の第一週目には北大の大学祭がある。この時ばかりは、構内のメインストリートには学生が出す模擬飲食店が並び、北大の学生のみならず、学外者も押し寄せる。部員不足で解散の話も聞いていた応援団も復活したらしく、昔ながらの弊衣蓬髪で下駄のいでたちで、リヤカーを牽いて寮歌の合唱のイベントの宣伝を行っている。大学祭なので、各学部でのアカデミックな展示もあり、その宣伝の横断幕が目につく。大学で行われている研究成果の一部が、来学者に公開されている。
リヤカー牽き 弊衣蓬髪(へいいほうはつ) 応援団
呼び込みは 横断幕で 学部展
コンロンソウの見守る三角山
三角山は西区の市街地に近接する低山で、市民に人気の山である。天気がよければ平日でも登山する人を幾人も見かける。平日であると勤め人の姿はなく、代わりに年配者と先生に引率された児童が多い。春も盛りになると山野草も目につき、コンロンソウがそこここに顔を見せている。花の名前は中国の崑崙山に降り積もる白雪のように白い花を花茎の頂上に咲かせることを花の名前にしており、見事な命名である。三角山の頂上には、山名板があって、標高の311.07mが記されている。
崑崙の 白雪花の 登山道
三角山 数字示して 低き山
2010年06月12日
奇妙な形のクルマバツクバネソウ(車葉衝羽根草)
最初この花を見た時、花が終わって黒い実が生っているのかと思った。黒い実かと思っていたのは雌しべで、その周囲にある8本の黄色の棒状ものが雄しべである。雄しべの下にはガクが4枚ある。花びらは糸のような細長いもので、写真には写っていないので散ってしまったのだろうか。漢名では、輪生の葉が車の形に似ていて、花が羽根突きの羽根のようなのでこの名前になった。山道で見つけて、写真を撮って後で画像を大きくして見ると、奇妙な形の花であることを再認識する。
奇形なり ガクと蕊(しべ)のみ ツクバネソウ
触手出し カメラに迫る 異生物
北大植物園のハンカチの木
新聞で、ハンカチの木の花が見ごろとの記事を目にして、この木花を見に行ってみた。場所は北大植物園で、ローンのはずれのところに一本で立っていた。ハンカチの木とは良くいったもので、苞葉がヒラヒラとした布のように見え、ハンカチと形容してもさほど違和感はない。ただ、形容は別のものもあって、幽霊の木とか鳩の木とかもあるそうだ。確かに、木の上で白い衣をまとったものが揺れ動いていては幽霊にも見えるかもしれない。二枚の苞葉を白い羽に見立てると鳩である。
看板に ハンカチの木と 植物園
小鳩にも 幽霊にも似 布木花
2010年06月11日
セミの大合唱の真駒内保安林
地下鉄南北線は真駒内では地上を走り、フードに覆われた軌道が雑木林の横に延び、軌道は始点駅の真駒内駅で終わる。駅の西側に真駒内の街が広がり、東側は丘陵地になっていて、保安林が広がっている。この保安林の遊歩道を「身近な都市秘境を歩いてみよう」の講座参加者と歩いたことがある。平日であったせいか、行き逢う人には出会わず、春ゼミがうるさいほど鳴くなかを、チゴユリ、ギンラン、クルマバソウなどの山野草を観察しながら歩いて、都市秘境の一面を体験した。
セミの声 頭上に降りて 保安林
羽服を 緑に染めて 出かけ前
医療に関係したニワトコ(接骨木)
散歩道の道端に白い塊になって花が目についた。ニワトコの花である。低木で、この木は接骨木の名前があるように、接骨治療の際に用いられてこの名前になったとの説明を読んでみる。離れて見ると白い花なのだが、マクロ撮影の画像では花の中心に赤いものが見える。赤いものは雌しべなのだろうが、もう実になりつつあるようにも見える。ミヤトコは赤い実をつける。雌しべを中心に5本の雄しべがあって、花弁が落ちたか下に隠れているか、雄しべが花弁のようにも見えている。
接骨木 白き花房 医療の木
実の予兆 赤き雌しべに 雄しべかな
2010年06月10日
札幌最古のライラック
北大植物園の宮部金吾記念館の前に一本のライラックの古木があり、毎年花を咲かせている。このライラックは札幌で最古のライラックである。このライラックの横に説明板があって、それによれば、1890(明治23)年頃、現在の北星学園の前身に当たるスミス女学校の創始者のサラ・スミスが、故郷のアメリカから持ち込んだ母樹からの苗木で育てられたものである。母樹は現存していないため、この木が北海道で一番古いライラックで、この木からさらに多くの木が育てられてきている。
スミス女史 残すリラ花 女学校
最古の木 明治の香り 今続き
名前の由来の不明なハルサメソウ(春雨草)
花の名前が春雨となった理由をネットで調べてもわからない。雨と花の関係なら季節であり、春雨の降る頃に咲いている花ぐらいにしか思い当たることがない。ユキノシタ科の花で、葉の無い花茎に花が互生でまばらに咲いていて、白い花びらにピンクの蕊が可憐さを際立たせている。ヨーロッパアルプスに分布する花で、高山のお花畑を彩る花の雰囲気を充分に備えている、常緑の多年草である。日本では園芸種として売られていて、丈夫な花で、人気があるらしく、時々見かける。
命名の 理由わからず ハルサメソウ
可憐なり ピンクの蕊(しべ)に 白5弁
2010年06月09日
秘境散策講座9回目
早いもので、4月から始まった「身近な都市秘境を歩こう」講座も本日(6月9日)で9回目である。今回は地下鉄真駒内駅に集合してから、駅の東側に広がる健康保安林の散策から始まった。天気も良くて、さながら森林浴といった感じである。春ゼミがうるさいぐらい鳴いていて、セミの抜け殻も木の幹に残っている。保安林内では山野草や木花があって、その撮影会のようになる。
木花はほとんど見かけないところ、名前がはっきりしない木花があったので、撮ってみる。
山野草はチゴユリ(稚児百合)、クルマバソウ(車葉草)、マイズルソウ(舞鶴草)が目についた。白いスズランに似た花があって、これは後で調べるとランの花のギンラン(銀蘭)であった。写真のジンヨウイチヤクソウ(腎葉一薬草)はその場ですぐ名前が出てきた。これは花がなく、実だけがあった。
保安林から抜けて、慧照寺のハスとスイレンを見に立ち寄るけれど、花は未だで、水の入ったカメの中には葉が浮かんでいるだけであった。この寺のハスの花は拙著「さっぽろ花散歩」で取り上げているので、寄ってみた。
次に澄川開拓記念碑を見る。石段を登り、山之神、熊之神、豊受姫神等の碑を見学する。佐藤昌介揮毫の碑が説明板に書かれてあったのだが、その碑ははっきりしなかった。
澄川開拓記念碑から、さらに精進川に沿って北に歩いて、澄川公園に入り、崖の斜面にある公園で、開拓民の彫刻のある拓魂碑を見る。その後地下鉄自衛隊前駅に行き今回の講座は終了である。ほぼ2時間歩いたことになり、日ごろの運動不足解消の一日であった。
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山道のノビネチドリ(延根千鳥)
住宅地のはずれからつながる山道を散歩道にしている。道の周囲には立ち木と笹薮があるだけで、これといって目に留まるものが無い。あるとき、山野草に詳しい人とこの道を歩いていたら、ノビネチドリの花が咲いているのを教えられた。知識があると珍しい花を目ざとく見つけるものだと感心した。ラン科の花で、根が横に延び、花が小鳥の飛ぶ姿に似ていることからこの名前になった。散歩道にこういう花があると、足がそちらに向くことになり、同じ花なのに毎回確かめてみる。
確認は ノビネチドリの 散歩道
飛ぶ鳥を 花に求めて 接写なり
2010年06月08日
江部乙神社のウワミズザクラ
江部乙神社の屯田魂と彫られた碑の横に、初めて見るのではないかと思われる木花が目についた。穂状の白い花が沢山枝についている。近くで境内を掃除している人に木の名を聞いてもわからない。後で調べるとウワミズザクラで、漢字では上溝桜である。昔、この木からの材の上に溝を彫って、これを火にくべて亀甲占いを行ったことから、漢字の上溝が当てられ、これが訛ってウワミズとなった説がある。花の蕾の塩漬けを杏仁子(あんにんご)と呼んで、食用にする地方もある。
穂状花 風雪の年 飾り来て
上溝が ウワミズ転訛 桜花
チャリ鉄の菜の花畑巡り
拙ブログは爪句豆本用原稿が多い。そのため写真2枚に爪句をつけ、200文字程度の文章が続く。爪句集1冊では100テーマなので、1日1テーマを書いて、約3ヶ月で原稿が揃うことになる。ブログ=爪句作品メモ、といったところである。
作品であるから、出来上がるまでの過程の諸々は省く。しかし、作品はないけれど、諸々の過程が書かれたブログもある。むしろ、それが普通で、その方が流し読みでは面白い。で、拙ブログの爪句作品が出来るまでの過程を少し書いておく。
写真を撮るためには移動しなければならない。歩いて、自転車で、車で、電車で等々とある。この移動の過程をブログで見せてくれるのもある。列車をメインにすれば「鉄チャン」や「鉄子」のブログになる。当方のような年齢では「チャン」や「子」は気が引ける。いや、「子」というのははじめからないか。
そこで又造語である。自転車と列車の組み合わせで移動するので、チャリンコ+鉄道=チャリ鉄というのがよかろう。で、今回だけはチャリ鉄・ブログである。
江部乙まで菜の花を撮りにいったのは日曜日である。日曜日に祭りがあるとか、人が居て絵になるとかの理由よりは、土日限定の一日散歩切符(2200円)が使えるからである。安く移動できるのは何にもまして魅力的である。
しかし、普通列車しか使えない不便なこともある。田舎の駅で降りると、次に停まってくれる普通列車が数時間後だったり、一日数便だったりする。ただ、このようなローカル列車は人が少なく、携行バックに入れた自転車を車内で堂々と椅子席の横の置くことができる。これが混んでいる列車なら入口付近のデッキ部分で肩身を狭くして立っていることになる。
江部乙の無人駅舎は人が居ないせいか、かなり広く感じられた。ここで携行バックから自転車を取り出して組み立てる。ふと見ると、駅舎内に鏡がある。自転車と鏡に映った出発前の己の姿のメモ代わりの写真を撮っておく。しかし、どうして駅舎内に大きな鏡が据付られてあるのだろうか。
江部乙の菜の花畑は丘陵地にあって、自転車でアップ・ダウンを繰り返して走行するのは、体力のなくなったチャリ鉄にはきつい。菜の花畑の傍の道路には自動車が停まっていいるけれど、自転車はみかけない。この広い菜の花畑巡りを自転車で行っている人にはついぞ出会わなかった。菜の花畑で我が愛車の記念撮影である。
この日は江部乙で停まる普通列車の本数が少なかったので、中空知の中核の駅の滝川まで自転車で戻る。向かい風が強くて、30分ぐらいで着くかと心積りでいたのが、倍の1時間ほどかかってしまった。
チャリ鉄なので、当然列車からの写真も撮るのだけれど、窓を少し開けた隙間から写真を撮ると、写真が傾いている。こんな写真の山が、ハードディスクに溜まっていて、利用された数点をのぞけば、チャリ鉄の栄光と苦難の写真メモが、消されて無くなるまで眠っている。
2010年06月07日
山の名前
江部乙の菜の花
滝川市江部乙地区に食用菜種(菜の花)が作付けされたのが1994年であるので、それほど古い話ではない。それが今や全国一の菜種の作付け面積を誇るようになっている。食用の菜種油を生産するのに加え、近年では菜の花畑を観光用に利用しようとしていて、「菜の花まつり」のイベントも行われ、期間中は見物客で賑わう。作付けされている菜種の品種は「キザキノナタネ」で、名前の通り鮮やかな黄色の花が畑一面に広がっている。写真の絶好の被写体で、どこを撮っても絵になる。
映える黄は キザキノナタネ 名に恥じず
江部乙の 丘陵に敷く 黄絨毯(きじゅうたん)
菜の花畑の見える江部乙駅
菜の花まつりが行われているというので、普通列車で江部乙駅まで行って降りてみた。列車から降りた客は当方一人である。祭りに行く客は特急の停まる滝川で降りて、駅から祭りの会場にバスで行くらしく、普通列車しか停まらない江部乙駅で降りる客はいない。プラットホームの彼方の、菜の花畑の黄色い絨毯が目に飛び込んでくる。この景観を写真に撮ってから、無人駅舎に入ってみる。当然ながら人っ子一人居ない。日曜日の朝であるせいか、駅舎の外にも人も車も姿はなかった。
江部乙は 菜の花祭り 旅客なく
降りて見る 菜の花畑 無人駅
2010年06月06日
洒落たデザインのマムシグサ(蝮草)
漢字で書くと蝮草とは、恐ろしげな名前の植物である。草の茎の部分が、蝮の肌に似ていることからこの名前になっていて、仏炎苞の部分も蛇が鎌首をもたげた感じである。花序の先端がつるりとした坊主頭のようで、それが仏炎苞の中にある。名前に反して、緑と白の洒落たデザインの外套をまとった麗人のようにも見える。雄株と雌株があり、雄株に入り込んで花粉をつけた昆虫は脱出口から出られるのに、雌株にはそれが無く、虫の死骸が内に溜まると知ると、また不気味に感じる。
名に反し 洒落たデザイン マムシグサ
麗人が 外套まとう 姿なり
カワコモノ・フルドウグの店「コバコ」
自転車で移動する際に、自分のテリトリーだろうと思っているところに、見かけない店を見つけた。こんな店があったろうか?ドアのところには「コバコ」の店名がある。ともかく狭い店内に入ってみる。
アンティークの店かなと思っていると、そうではなく、使用された皮製品や使われなくなった古道具を、新しく飾りや置物に作り変えて売っている店である。開店して一年も経っていないとのことで、道理で目にとまらなかった訳である。
さらに開店の時間が土・日の12:00~18:00であるから、ますます気がつかない。平日が閉店なのは、店主(女性)が別の仕事をしているためらしい。OLが土・日に趣味の店を開いている雰囲気である。
この場所でのこの種の店なら客はほとんどいないのではないかと思われる。でも、面白い店なので、気長に続けてほしいものだと、少々宣伝のお手伝いである。店のある場所は西区西野5条5丁目13-10で、カワコモノ・フルドウグの店「コバコ」である。
2010年06月05日
西岡水源池遊歩道の連理の枝
白楽天で知られる白居易の有名な詩「長恨歌」の一節に「願わくば 天にありては比翼の鳥となり 地にありては連理の枝とならん」がある。玄宗皇帝が亡き楊貴妃を偲ぶ場面で、夫婦の関係を別々の根から成長して枝の部分でつながる木に喩えたものである。比翼の鳥と同様、あり得ないと思っていたら、西岡公園の水源池を一周する遊歩道の西側のところに「なかよしの木」の看板が掲げられて連理の枝があったのには驚いた。ミズナラの木で、どうしてこんなことになるのか謎である。
驚きの 連理の枝見 水源池
なかよしの 木を見て浮かぶ 長恨歌
遅い春のライラック
今年(2010年)は春が遅く、札幌のライラック祭りが終わった頃から本格的に花が咲き出している。青空の広がる日も少なく、青空の下でのライラックの写真を撮る機会が得られない。青空とライラックの開花が揃った、6月の初日に、自宅庭のライラックを撮ってみる。ライラックは房になった花全体を見ているけれど、近づいて花の一つひとつをよく見ると、細長い花の基部の先で花冠が4裂になっている。花の咲く頃この木に近づくと良い香りがして、春を匂いでも伝えている。
青空を 待ちて撮りたる リラの花
細い筒 4裂になりて 匂い花
2010年06月04日
JR小樽築港駅傍のセイヨウミヤコグサ
JR小樽築港駅の南口の傍に小林多喜二住居跡の碑があって、碑から国道5号までの歩道の横に草むらのような場所がある。そこに黄色の花が咲いていて、歩道まではみ出してきている。セイヨウミヤコグサである。セイヨウ(西洋)がつくのは外国からやってきた種類を意味している。日本古来のミヤコグサもあり、漢字の草名は都草で、都の近くに咲いていた花の説がある。根から伸びる茎を血管にみたてて、脈根草が訛ったという説もあるけれど、花の感じは都草の方が合っている。
ミヤコグサ 都の優雅 花に秘め
歩道まで はみ出し咲いて 築港駅
西岡公園で変化する水芭蕉
春先に水芭蕉を見に西岡公園に出向いてみる。水源池に流れ込む月寒川が雪解け水で溢れ、その上に伸びる木道の上から見えるものは、枯れた葦が折り重なって広がる湿地である。咲き始めたばかりの水芭蕉が目に入るけれど、群生というには程遠い。春も本格的になった頃、再び西岡公園を訪れてみると、水芭蕉の花はなくなり、巨大な葉が広がっている。同じ植物とは思えない。大きく成長した水芭蕉の葉は、西遊記に出てくる、火炎山の火を消したという芭蕉扇を思い起こさせる。
西岡で 春を探して 水芭蕉
巨大葉で 連想するは 芭蕉扇
2010年06月03日
桜山遊歩道のチゴユリ(稚児百合)
地下鉄の真駒内駅の東側に広がる丘陵地帯は桜山と呼ばれ、健康保安林の中に遊歩道が延びている。この遊歩道を歩いていると、草丈15cm程の白い花が目についた。頭を垂れるようにして咲いている。チゴユリである。可愛いい花の風情を稚児に喩えて、この名前になっている。一つの株に一つの花なのだが、まれに二つの花が同じ茎に咲いていたりする。花弁は6枚で、花弁の間から花粉のついた黄色い雄しべが顔を出し、雄しべ電球とランプシェードを連想し、その品評会である。
稚児同士 語る相手と 同居なり
チゴユリは ランプシードの 品評会
2010年06月02日
小樽築港での都市秘境散策
身近な秘境を歩こう講座も6月2日でもう8回目となり、この回は小樽の港にある科学技術の研究施設等の見学会となりました。JR小樽築港駅集合で、ここから歩いて小樽築港臨海公園の傍にある、北海道立総合研究機構(道総研)の地質研究所・海洋科学研究センターにゆきました。所内で、この研究センターが行っている研究についての講義を受けました。この施設は、今年の4月から北海道の研究所から、地方独立行政法人に組織が変わっています。
研究センターの仕事の説明の後、所内を見学で、研究成果のパネルの説明などがありました。所内からは近くにある商業施設のウィングベイ小樽の観覧車が見えます。ただし、この観覧車は動いてはいませんでした。
研究センター見学後は、近くにある「おたるみなと資料館」に行き、館内を見学です。札幌農学校二期生の廣井勇が、コンクリートブロックを積み上げて小樽の北防波堤を造った事跡の展示やビデオを見ました。この北防波堤は土木学会の土木遺産の指定を受けています。現在でも100年以上前に作られたコンクリートブロックのサンプルの破壊試験を行っています。
資料館は国土交通省北海道局の施設と併設になっていて、その建物の屋上から小樽港を見ることができました。資料館は南防波堤の付け根のところにあり、南防波堤はケーソン方式で造られており、斜路方式でケーソンを海に押し出す工法は廣井の弟子に当たる伊藤長右衛門が考案したものです。ケーソンを造る施設は生きてはいますが、現在ケーソンは造られていません。
小雨模様で、小樽港の写真は今一です。
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仮特定のコデマリ(小手鞠)
日課の朝の散歩道で白い花を見つけた。小さな白い花が一塊(かたまり)になっていて、この塊がいくつも並んでいる。コデマリかシモツケの仲間の花のようである。コデマリも含むバラ科のシモツケ属は種類が多く、ネットで検索すると、同じような花の画像が出てくる。素人には正確な花を特定ができず、正確を期さねばならないことでもないので、コデマリにして、名前については決着させる。よく見ると、雄しべが長く伸びて、マクロ撮影では花弁の椀に入った麺のようである。
コデマリと 花名を定め 仮安堵
花びらの 椀に入りたる 蕊(しべ)の麺
2010年06月01日
都市秘境の雰囲気の彫刻
時計台通の西3丁目にあるビルのヘアサロンの横に、壁に埋め込まれるようにして「光の門」の作品名の彫刻がある。しかし、この彫刻は人目につかず、その存在は知られていない。札幌市のほとんどの野外彫刻を網羅していると思われる「札幌散策 野外彫刻を楽しむ小さな旅」(札幌市観光文化局文化部市民文化課著、2010)にも載っていない。制作者は望月菊麿で、ネット情報では1945年生まれで、神奈川県中郡大磯町にアトリエを持っている。大都会の秘境の彫刻の雰囲気である。
ビル壁の 洞窟にあり 光門(ひかりもん)
作品は 視線の外で 過ぎる人
猿の顔に見えないサルメンエビネ(猿面海老根)
エビネはラン科の植物である。これにサルメン(猿面)の修飾語がつくのは、花の形が猿の顔を連想するのがその理由である。しかし、どう見れば猿の顔に見えてくるのかわからない。両腕を広げた、スカート姿の人の形の方がよほど似ている。赤い顔の猿、という説明で、花の赤い部分にフォーカスを合わせた写真を撮ってみるけれど、耳を広げた赤い像の頭には見えても、猿の顔には見えない。逆さまにして見るのかと、写真の天地を入れ替えても猿の顔は現れず、考え込んでしまう。
どこにある サルメンエビネ 猿の顔
顔探し 焦点合わす 赤花弁