2010年10月31日
初雪と紅葉の恵庭荘
雪印種苗園芸センターの敷地内に「恵庭(けいてい)荘」という木造建築物がある。案内板を読むと、1893(明治26)年、札幌の呉服商「京屋」の主人が京都から宮大工を呼んで造らせたもので、その後この場所に移設されている。縁側から恵庭(えにわ)岳を望むことができるため、この名前になったとのことである。初雪が解けずに建物の前に残っていて、傍の木が色づき、その落ち葉で地面の雪に色を添えている。庭園側の芝生は雪で覆われていても、周囲の紅葉は見ごろである。
初雪に 紅黄(こうこう)落ち葉 色加え
庭園に 雪と落ち葉の 恵庭(けいてい)荘
花が白い萼片に付き添われたムッサエンダ・ルテオラ
豊平公園緑のセンターで見たこの木花には、花に寄り添うように白い葉状のものがある。これは萼の形を変えたもので、葉は別にある。ウスギコンロンカ(薄黄崑崙花)の別名があり、コンロンカの木花に似ている。白い萼片を、崑崙山を覆う白雪にみたてての命名である。コンロンソウと呼ばれる白い花があるけれど、こちらは草花である。木花の方の黄色の花があまり目立たないので、白い萼片が花の存在を引き立てるようにしてあるのだが、そうなっている理由はわからない。
白萼片 崑崙山の 雪見立て
白萼片 引き立てる花 黄花なり
2010年10月30日
房飾りのようなベニゴウカン(紅合歓)
ネムノキの名前は、この木の葉が夜になると閉じて、眠るようであることからきている。ゴウカン(合歓)は、男女が一緒になって歓び合う姿になぞらえての命名である。日本のネムノキの花は白に少し桃色が加わった色であるのに対し、豊平公園緑のセンターで見たものは、真紅の色をしていた。この色からベニゴウカンあるいはヒネム(緋合歓)と呼ばれている。原産地は北アメリカである。長い雄蕊が束になって伸び、ストラップか何かの紐の先につける房飾りのようである。
日中に 合歓見せず 葉の開き
紅色で 何を飾るか 房飾り
さっぽろ菊まつり
札幌の地下街で菊まつりが始まる。会期は10月30日(日)~11月3日(水)である。札幌の各地区でも菊まつりが行われていて、いつものブログ子の花の案内は、今回は菊まつりである。
札幌各地区の菊まつりのうち、豊平公園の緑のセンターで行われていた菊花展の、初日(10月26日)の写真を載せておく。
その他菊まつりの案内の詳細は「ようこそさっぽろ」のサイトでご覧下さい。
2010年10月29日
初雪に紅色を競うバラと紅葉
「霜葉は二月の花より紅なり」と詠われているけれど、二月の花(桃)と紅葉を一緒には見ることができない。紅色を比べるとすると、晩秋か初冬に残って咲いている花と紅葉である。初雪が本格的になって、地面の緑を覆った日に、雪印種苗園芸センターのバラ見本園に出向いてみると、ツルバラが数株花をつけている。周囲の木々は紅葉に色づいている。バラと紅葉の二つを比べて、より紅い色の判定は難しい。これは色の性質が異なっていて、優劣をつけるものではないようである。
初雪や バラと紅葉 紅競い
霜葉は 初雪加速 紅の色
雪の中の雪印種苗園芸センターバラ見本園
厚別区の国道274号沿いにこの園芸センターがある。初雪から本格的降雪となった10月の終わりに、バラは期待できないと思いながら、同センターのバラ園を訪れてみる。予想通り、バラ園は雪で覆われている。しかし、ツルバラのアーチのところに、バラが咲き残っている。バラは寒さに強い花のようである。雪原をバックにして、バラの赤さが冴え、造花と見間違うほどである。花の時期に百花繚乱のバラは見事なのだろが、初雪に咲き残っているバラもまた見応えのあるものである。
初雪の 覆い残して バラの花
雪原に これ造花かと バラの花
2010年10月28日
留萌沖の竜巻のテレビ放送
昨日の道新の一面記事に、読者の撮影した竜巻の写真が掲載されていた。日ごろ写真を撮っている者として、こんな場面に出くわして、めったに見られない天変地異の写真なんかが撮れて、新聞紙面を飾ることがないか、などと考えていた。
そんな時、NHK札幌の知人のS記者の話で、留萌沖で何かの取材中に偶然竜巻に遭遇して、同行のカメラマンが幸運にもその映像を記録できたそうである。そのビデオがテレビで流れるだろうとのことで、テレビ画面(NHK)を見ていたら、天気予報の直後に竜巻の映像が放送されていた。テレビの画面ではあるけれど、これをカメラに収めて、竜巻の写真が撮れたことにしている。
屯田兵清野専次郎の子孫
ブログ子某朝食会に顔を出している。ホテルでの朝食後、その道の専門家の話を聞く。今朝(28日)は北大教授の清野研一郎先生のお話である。
本題に入る前に、琴似に保存されている国指定の史跡になっている屯田兵屋の写真のスライドが写し出される。何かと思っていると、この屯田兵屋の説明板に、兵屋の主が屯田兵清野専次郎と書かれている。何と、清野教授はその子孫に当たるとのことである。これは驚いた。
朝食会の帰り道、この兵屋に寄ってみた。生憎、兵屋は補修工事中で、覆いの中にあった。かろうじて、説明板の屯田兵清野専次郎のところだけ写真に撮ってきた。
清野先生のお話は、ご専門の再生医療に関するものであった。
奇妙な蕊のシコンノボタン(紫紺野牡丹)
鉢植えのこの花を最初見た時、これは草花だろうと思っていた。後で調べると、これは中南米原産の常緑性熱帯の花木である。パソコンに表示した花の雄蕊をみると、関節でつながった虫の足の折れ曲がった部分のようにも見える。虫を蜘蛛としたか、ブラジリアンスパイダーフラワーの別名がある。ノボタンは南西諸島や小笠原諸島にも分布しており、熱帯の植物である。熱帯の植物には変わったものがあり、それが北国で育てられていて、よく見ると奇異な部分に気が付くのだろう。
ノボタンは 熱帯木花 北で咲き
連想は 蜘蛛の足なり 奇妙蕊
2010年10月27日
手稲山山頂のマイズルソウの実
手稲山は標高1024mの山である。山腹にはスキー場やゴルフ場、遊園地が整備され札幌市民に親しまれている。山頂近くまでロープウェイがあって、これを利用すれば手軽に山頂に立ち、札幌市から小樽市、石狩湾まで見下ろせる。登山愛好家にも人気の山で、上の方はガレ場の登山道が続く山である。このガレ場をどうにか登って、頂上付近で休んでいる足元に、赤い実があるのに気がついた。マイズルソウの実のようである。葉のすっかり落ちた茎に実だけが残り、秋の陽に輝いていた。
ガレ場越え 休む足元 実の赤さ
鶴の舞う 姿も消えて 実が一つ
細工花のようなサンゴアブラギリ
初雪の日に、豊平公園内にある緑のセンターに秋の菊展を見に出向く。小規模な菊展の方を一通り見てから、同センターに展示されている植物を見てまわる。サンゴアブラギリと記された花があり、珊瑚に似た茎に花が咲いている。アブラギリは最初わからなかったけれど、これは漢字にすると油桐である。中央アメリカや西インド諸島原産のこの落葉低木の葉が、アブラギリの葉に似ていることからこの名前になったようである。鮮やかな赤の花が赤い枝についていて造花のようである。
初雪や 珊瑚花咲く 菊祭り
一目見て 細工花かと 珊瑚花
2010年10月26日
初雪
風車の形をしたチングルマの実
チングルマ(珍車、稚児車)とは、変わった名前である。この名前の由来は花にはなく、その実の形によっている。花後に雌蕊の柱頭がどんどん伸び、それが外側に飛び出してゆき、子供が遊ぶ風車の形に似てくる。そこから稚児車となり、チングルマと呼ばれるようになった。冬期閉園間近の北大の植物園で、最初この花の実を見たとき、この実をつけるのは草花かと思っていた。後でこれは落葉小低木であることを知る。花期は夏で、高山の雪渓の周辺に白い花の群落を形成する。
実の風車(ふうしゃ) 回ることなく チングルマ
チングルマ 花記憶無く 実の崩れ
2010年10月25日
一人の結社
小UFOのように写る雪虫
11月に入れば北大の植物園は冬期の休園となる。今年の植物園も見納めかと、園内の紅葉を見ることも兼ねて入園してみる。今年の紅葉は今一で、カメラを手にしても、撮ってみたい紅葉も目にはいらない。園内の道を歩いていると雪虫が飛んでいる。小さな羽虫で空中に浮遊するこの虫にフォーカスが合った写真が撮れても、風景の中ではゴミのような点にしかならないだろう。ただ、雪虫が動くので、写真に撮ると小UFOが空中に浮かんでいるようで、雪虫の存在を示してくれる。
雪虫が 漂う軌跡 小UFO
雪虫は 幹にかかりて 白き点
2010年10月24日
リスも忙しそう
植物園のアキザキクロッカス
冬期の閉園間近な北大植物園に出向くと、クロッカスとそっくりな花が所々に咲いている。クロッカスは春の花で、秋も深まった時季に咲くのはクロッカスなのかなと疑念を持っていた。花の案内の写真に、この花の名前がアキザキ(秋咲き)クロッカスとなっていて、合点がゆく。ハナ(花)サフランの別名があり、サフランの花が晩秋に咲くのに対して、クロッカスは早春に咲き、春サフランとも呼ばれる。これが秋咲きになれば、秋サフランで、名前からはサフランとの区別に困る。
クロッカス 秋に咲きたり 植物園
蕊の色 ここも秋色 クロッカス
2010年10月23日
秋晴れの手稲山登山
天気がよいので、明日(23日)は手稲山登山はいかがと前日にF氏からのメールである。この時期山には草花は期待できないけれど、毎日ほとんど運動もしていないので、運動不足解消も考えて、我が家の裏山(位置的にはそうなる)の1024mの山登りに行くことにする。
メンバーは9月の空沼岳登山の時と同じで、企画兼運転手のF氏(行きずりの登山者から、ブログで顔を知っていると声をかけられていた)、山の大ベテランのS氏(ブログ子より約十歳は年上なのに壮健である。食用になるキノコにも詳しい)、ポーター役のT氏(健脚である)、紅一点のIさん(健脚である)にブログ子である。平和の滝にある広場に自動車を停めるが、土曜日で良い天気のこともあって、パーキングの広場は満車状態である。平和の滝の登山口から登山の開始である。
今年の紅葉は夏が秋までずれ込んだせいか、あまり良くなく、写真を撮る上では条件が悪い。それでもよさそうなアングルで紅葉の写真を撮ってみる。今回は全山が色づくといった表現からほど遠い。
このルートでは、登山道の上の部分はガレ場になっていて、ブログ子はここら辺でバテ気味で、グループの先頭からかなり遅れてしまう。この状況で写真を撮る余裕もなく、ガレ場で目の前のあったナナカマドの実と思われる赤い実を撮っただけである。
花は思った通りほとんど姿を消していた。ただ、頂上付近にヤマハハコが咲いているのを目にした。この花は寒さに強いのか、秋が深まっても咲いている。
頂上付近にあるケルンの横で、いつもの通り焼肉の昼食会である。天気も良く、札幌を囲む山々を見ながらのビールはうまかった。しかし、このビールは効いて、下山時は足がもつれて(疲れていることもあるのだが)、休みながらの下りで、又先頭グループから遅れることになった。
多分、今回で今年の登山は終わりだろうと思うけれど、それなりに山に行く機会が持てて、同道の皆さんに感謝である。
草に霜の花が咲く秋の朝
朝が冷え込む季節になった。朝の陽が直接当たらない野草の上に白いものが見える。写真に撮ってパソコン画面で見ると氷の粒のようで、これは葉に上に降りた霜らしい。さらに画像を拡大すると、氷と水滴が混じっていて、霜が溶け出し始めているのだろう。芝桜も葉だけになっていて、葉の縁の方に霜が集まっている。空中の水分が葉の縁で氷になり易く、一度氷になるとそこから氷が成長し始めるためだろう。花の後に残った葉を、白いレースで縁取りして飾っているようである。
朝撮りに 霜の花咲き 秋野草
花後の葉を 氷のレース 縁飾り
2010年10月22日
札幌市・大田広域市姉妹都市調印式
22日は標題のセレモニーがパークホテルであって、招待で出席した。今回の姉妹都市提携は5並びである。札幌は日本で5番目の規模(人口)の都市で、大田市も韓国で5番目の都市である。
札幌市の姉妹都市はアメリカ・ポートランド市、ドイツ・ミュンヘン市、中国・瀋陽市、ロシア・ノボシビルスク市に次いで大田市は5番目の姉妹都市である。
大田市の旗にデザインされている花マークは5弁である。ただし、大田市の市花はモクレンで、モクレンは6弁なので、これはモクレンではない。大田市のマークは、特に特定の花をデザインしたのではなく、大田広域市の5つの区を表した花マークのようである。
後一つくらい5が出てこないかと捜しても今のところみつからない。それはともかく、調印にこぎ着けたらあとはgo(ゴー、5)である。ただ、この姉妹都市の最初のきっかけになった、札幌と大田両市のIT企業関係者の顔が見られなかったのは物足りなかった。
調印式では札幌市の上田文雄市長と大田市の廉弘喆市長が市旗を交換した。
調印式後に歓迎レセプションがあり、開会前にミニコンサートが行われていた。ブログ子は北海道新聞の「朝の食卓」の執筆者の朱福龍駐札幌大韓民国総領事と俳句(爪句)と時調(韓国の短い定型詩)談義をほんの少し行った。朱総領事はこの時調について「朝の食卓」に原稿を書いたと言っていた(11月掲載)。ブログ子も爪句に関して書いた原稿が、10月25日付けの道新朝刊に掲載される予定である。
雨滴を抱えたミセバヤ
花の名前は「見せたい」という古語からのものである。ベンケイソウ(弁慶草)科の多年草で、盆栽や庭の花として育てられているのを見かける。花を拡大して見ると、5弁の花弁の内側で、先端が赤い雄蕊が雌蕊を囲んでいる。花全体が薄桃色で、気品を感じる。花の雄蕊が支えになって、小さな花が花の大きさの雨滴を抱えている。葉の厚さが写る角度で撮った写真には、葉の厚みが写っていて、多肉植物であることがわかる。花に加えて、これらの葉も観賞の対象になっている。
ミセバヤの 蕊が支えて 雨滴かな
ミセバヤは 多肉植物 葉の厚み
2010年10月21日
韓国・大田市との姉妹提携
地下鉄大通駅のコンコースを歩いていたら、大田広域市・札幌市姉妹都市提携のポスターが目に留った。大田市が最初に書かれていて、韓国の大田市で行われる姉妹都市の提携調印式かと思っていた。
大田市の先端産業常設展示場がテクノパークの札幌市エレクトロニクスセンターにあって、これから札幌都市秘境の着想を得ていて、その前に大田市には企業人と一緒に技術交流のようなことを行っていた経緯があるので、浅からぬ関係のある都市である。
調印式はポスターだけしか知らなかったけれど、大田市に一緒に行って、大田市のベンチャー企業のエマシス社と提携を行った経緯のある札幌のクリプトン・フューチャー・メデァ社のI社長が気を利かしてくれて、札幌市にかけあってくれ、明日の調印式にかろうじて参加できることになった。
大田市との交流のあったIT関係の企業人等には、姉妹提携や調印式の連絡が十分に行き届いているのだろうか、と少々気がかりである。
金糸の雄蕊のキンシバイ(金糸梅)
キンシバイを最初草花かと思っていたら、これは木花である。小低木であるため、草花と間違いやすいけれど、幹が生きていて毎年花が付く。インターネットで、北海道を除く日本各地に植えられている、との記述を目にするけれど、我が家の庭では咲いている。名前の金糸は、長い黄色の雄蕊を金糸になぞらえたためである。梅の方は花の形が梅の花に似ていることによっている。花が若い時は花弁が重なっているのが、開花が進むと花弁が分かれ、その5弁も秋には別れる準備である。
花若く 重なる花弁 金糸蕊(しべ)
秋深く 花弁別れの 咲き姿
2010年10月20日
フォックスフェース
花を見たことのないベニシタン(紅紫檀)
このバラ科の低木が庭の隅にあって、秋から冬にかけて紅い実を付けている。実の方は目に付くのだが、花を見た記憶がない。注意して見ていなかったせいかと、この地を這うような低木に花が咲いていたかどうか、しきりに考える。実が枝いっぱいに生っているからには花盛りがあってもよいように思っても、やはり花の記憶はない。家人に聞いても花は見ていないという。花に関する疑問は残るものの、花が少なくなった時期に、紅い実の鈴なりは充分に花の代役を果たしている。
実はあれど 花記憶無く ベニシタン
秋深く 花に代わりて 庭飾り
2010年10月19日
白髭のあるシラヒゲウメバチソウ
鉢植えにされたこの花が、本格的な秋を迎える時期に咲いている。ウメバチソウ(梅鉢草)は、花が梅鉢の家紋に似ていりことから命名されている。これに白髭と修飾語が付くのは、花弁が裂けて髭のように見えるためで、ウメバチソウの方は花弁が裂けることはない。花の咲き始めの頃は、雄蕊と雌蕊が寄り添うようにしているのが、開花が進むにつれて、雄蕊は外側に向かって広がり、雌蕊は白い柱頭を出して子房を膨らませる。花弁の裂け方も進行して、白髭の形容詞通りになってくる。
花の中 蕊が身を寄せ 半開き
全開で 蕊の離れて 髭の花
日高昆布の試食会
昨日(18日)は市内のホテルで行われていた、「日高昆布フォーラム」の試食会に顔を出してみた。フォーラムとあるように、講演会がメインなのに、話を聞かずに(満員で入場制限があったこともあって)昆布を使った料理の試食と、昆布商品をチェックしてきた。
昆布を使った商品はほとんど食品であったけれど、昆布ネクタイというのがあった。どんな時に使うのか分からなかったけれど、これは面白かった。
昆布のネクタイ
昆布を詰めた箱が並んでいたけれど、裏側はハガキのようになっていて、宛名を書いて投函すると、ハガキのように配達してくれる。箱の中には日高昆布が30g入っていて料金は300円で、これに140円の郵便料金がかかる。さて、これを送る人はいるだろうか。それにしても色々な商品を考えるものである。
2010年10月18日
爪句集9集目初校
草丈が花名になったサンジャクバーベナ
花の写真でも撮ろうかと園芸店に立寄ると、同伴者が花を買ってしまう。出費ではあるけれど、只で写真を撮らせてもらうのも気がひけるので、これはまあ良いかと思っている。秋も深まり、立ち寄った竹沢花木園で目についたのがサンジャクバーベナである。柳花笠の洒落た和名もある。花名のサンジャクは三尺で、今はもう使われなくなくなった尺は約30cmである。三尺で約91cmで、この花の草丈からの命名なのだろう。購入した花は背筋を伸ばして、雨上がりの秋の庭を飾っている。
屹立(きつりつ)す バーベナの丈 三尺なり
雨の客 小さき花に 跡残し
2010年10月17日
ようこそさっぽろ・平岡樹芸センター
ブログ子の最近の仕事(ボランティア)の花案内で訪れたのは、平岡樹芸センターである。紅葉はこれからで、今一のところである。この時期の同公園の様子のリポートは「ようこそさっぽろ」のサイトでご覧下さい。
綿毛ボールに変化するノゲシ
ノゲシはタンポポに似て黄色い花を付ける。花が終わると、綿毛の付いた種子を整然と配置し、ボール状になっている点もタンポポに似ている。綿毛が密集すると、綿毛ボールの中の種が見えないほどである。この綿毛が、風に乗ってノゲシの種を運ぶことになる。どのくらい遠くまで飛ぶのかは、風次第なのだろうけれど、場合によってはかなり遠くまで飛びそうである。タンポポやその他のキク科の花の綿毛との飛び比べを観察するのも面白そうで、研究の対象にもなりそうである。
花と種子 顔を並べて ノゲシかな
風の打者 綿毛ボールを 狙い打ち
2010年10月16日
大通公園に咲くホップの花
サッポロビール会社の協力で、大通公園の花壇にホップが植えられている。ビールに使うホップの花は雌株の球花と呼ばれているもので、球花の中にある「ルプリン」と呼ばれる小さな粒状のものが使われる。これがビールの苦みと香りを作り出している。ホップの花は夏に入ると咲き始め、夏の終わりには摘み取られてしまうので、ホップの花を見る機会が得られない。大通公園のホップの花は秋が深まっても、大都会の秋空の下でツルの枝に下がっていて、じっくり見ることができる。
秋進み 空を見上げて ホップ花
ホップ花 ツルに下がりて 球花なり
葉の雨滴の連想ゲーム
雨後に庭を歩いてみると、雨滴が葉に残っている。葉の形によって、その上にある雨滴の形も配列も変わってくる。それらが何に見えるかは、一人で行う連想ゲームである。地面近くにある三枚葉は、クローバーかカタバミの葉だろうか。その上の雨滴の中央部分が黒く映っていて、目玉が並んでいるようにも思える。細長い葉の上に、一列になっている雨滴は何を連想するとよいだろうか。一車線の道路に自動車が渋滞していて、それを上空から眺めたところ、などと当てはめてみる。
三つ葉上 黒目が二つ 並びおり
一車線 雨滴車の 渋滞路
2010年10月15日
白雲をバックにした白雲木
白雲木はエゴノキ科に属する木で、エゴノキとそっくりな白い花をつける。平岡樹芸センターでこの木を見つけた時は秋も半ばで、花は既に実になっていた。白茶色の実の外側の殻が割れると、中にドングリに似た実が詰まっている。高木のため、見上げるようにして垂れ下がる枝に生っている実を写真に収める。落葉樹で、樹芸センターの他の紅葉と交じって、この公園の秋を盛り上げている。白い花は無くても、秋空に白雲があって、それをバックにして白雲木の実と洒落てみた。
白茶の実 黒実の潜み 白雲木
名にならい 白雲背にし 実の下がり
お辞儀咲きの花ラッキョウ(辣韮)
ラッキョウはネギ属の植物で、ラッキョウ漬けなどで食用に供される。生薬としても用いられる。食用より、花を観賞する園芸用のものが花ラッキョウと呼ばれる。花ラッキョウの蕾は上を向いていて、花が開くと長い蕊を花の外に出して下を向いて咲く。まるでお辞儀をしているような咲き方である。花の季節が終わりに近づいていても、花ラッキョウの方は鉢の中で咲いていて、秋の花のようである。花ラッキョウが散る頃は、コスモスも姿を消し、花の季節は完全に幕が下りる。
蕊(しべ)垂らし 花辣韮が お辞儀咲き
辣韮花 雨滴を留め 咲き休み
秋景色を作るコムラサキ
紫の小粒の実がたわわに生った低木が目につく。コムラサキで、コシキブの別名がある。コシキブとは小式部で、小に対する大の位置づけのムラサキシキブ、つまり紫式部の花木がある。コムラサキと同じような紫の実をつける。紫式部の花木名でも、源氏物語とは関係がなく、ムラサキシキミと呼ばれていたものが、この木の名に転訛したらしい。コシキブは園芸種として改良が進められたようで、観賞に値する実が枝に並んでいる。この実が見られる頃、秋は本格的になっている。
庭先に コムラサキあり 秋景色
小式部と 文学匂う 花木名
2010年10月13日
雑草扱いの帰化植物-ゼニバアオイ(銭葉葵)
帰化植物の雑草に仕分けされる植物であるけれど、花は園芸種の趣である。園芸種として渡来したものが、逸失して雑草の仲間入りをしたのかもしれない。葵の名前があるように、常緑の葉で、その葉が銭の形をしているのでこの命名になったのかと思ってみても、葉の形から銭の形を連想するのは難しい。雄蕊と雌蕊の判定がつかず、細長い布を舞わせたように中央から伸びているのは雌蕊のつながり部分だろうか。雄蕊はその周囲の白いものと思っているけれど、確信は持てない。
どこを見て 銭の形か 葵の葉
花の中 雄蕊雌蕊の 区別難
秋の青空の下の紅いミナヅキ
花の名を漢字で書くと水無月で、旧暦の6月(水無月)に咲き始めることからきている。ユキノシタ科の中低木で、咲き始めは白い花である。全部が装飾花で、白いアジサイかと思ってしまうほどである。ノリウツギ(糊空木)を園芸種に改良していて、公園などに植えられているのを目にする。秋になると花が色づいてくる。平岡樹芸センターにはミナヅキの木が多く、紅葉の季節には紅く色づき始めたミナヅキが、他の木々の紅葉と競うかのように、秋の青空の下で咲いている。
ミナヅキは 秋メール便 赤封筒
赤変化 青色貸さず 秋の空
2010年10月12日
球形落ち葉のようなシャボン玉
庭の紅葉も色づきが始まっている。紅葉の紅色の濃さ鮮やかさは、その年の気温の低下の進行具合に左右される。さて、今年は見事な紅葉を庭で見ることができるかな、と先急ぎで紅くなった葉で占ってみる。庭の幼児は、陽の光で7色を見せ、風に乗って飛んで行くシャボン玉を目で追いかけている。セッケン水の幕が薄いシャボン玉は、壊れてしまうのも早く、写真に撮るのが難しい。それでも、秋の大気の中で、球の落ち葉が舞っているかのようなシャボン玉を撮ってみる。
先急ぐ 紅葉(べにば)占う 錦秋(にしきあき)
幼き目 追う球落ち葉 シャボン玉
日本人名の学名のシモバシラ
平岡樹芸センターに隣接する山野草の店に立寄った時、垂直の花茎に花の並んだシモバシラを見せられた。シモバシラは霜柱を意味していて、この白い花が出ている様子が霜柱に似ているのかなと思って、花の購入後にインターネットで調べてみる。冬になっても根から水の吸い上げが続き、茎の導管を通っている状態でこれが凍りつき、導管を突き破って氷の花のようになることからの命名のようである。学名はKeiskea japonicaで、植物学者の伊藤圭介から名前が採られている。
花の名の 霜柱かな 咲き姿
学名は 日本人名 シモバシラ
2010年10月11日
雨滴と朝日が作る光の花
雨上がりに、草花に残っている雨滴は、注意して見ると見応えがあり、写真撮影の好被写体である。スギナであろうか、葉の無い茎だけに見える草に小さな雨滴がついて、朝日に輝いている。まるで、粒状の光の花が咲き出して、そのうち消えてしまう一日花のようである。マクロ撮影の写真をパソコンで拡大して見ると、エノコログサの毛の部分にも細かな水滴が並んでいる。この草は既に種子を持っているけれど、種子から伸びた毛にまた水滴の種子が出来ているみたいである。
陽の作る 一日花が 茎に咲き
毛の先に 微小実の生り 雨上がり
写真うつりの良いイヌホオズキ
役に立たないとか、見るに値しない意味の修飾語を花の名前につける時、イヌ(犬)が用いられる場合がある。イヌホオズキやイヌタデである。犬も迷惑な話であろう。イヌタデは確かに雑草の部類に入る草花で、これといって役に立つ植物ではない。有毒の植物でもある。ナス科の植物で、ナスの花を小さくしたようで、花粉の詰まった葯が黄色く、写真うつりが良い。近くに赤い花の小さなタデも咲いている。こちらは赤色が鮮やかなので、色のくすんだイヌタデとは違うようである。
葯のあり イヌホオズキは ナスの花
小ささを 競いて花の 交差かな
2010年10月10日
紅花大文字草の上の雨滴
紅色の目立つ花の上に雨滴が残っている。花の方は「大」の文字もはっきりしなくなっている、紅花大文字草である。文字の形が崩れているのに合わせるかのように、雨滴の方も花びらに合わせた形で、球形のきれいな形が見られない。紅花の品種も紅色に差があって、濃いものから薄い桜色のものまである。雨滴の方は色が無く、花びらの色を素通しにして見せてくれる。雨滴の形も花びらに合わせていて、水の持つ、相手次第で形を変え、存在を極力見せないところを再確認する。
大の字も 球も崩れて 紅の花
紅色を そのまま見せる 雨滴かな
2010年10月09日
爪句集豆本プチ出版祝賀会
日の出時に大木となるウド
日の出の写真を撮るのは時間との勝負みたいなところがある。日の出は数分で終わり、日の出時の空の光の変化も日の出の前後のわずかな時間内で終わる。大きく育ったウドの彼方の空に陽が顔を出してくる。ウドの花と実の小さな球が集まった塊がシルエットになっている。シルエットのウドの近くに比べるものもないので、ウドの大木の表現のように、大きな木にも見えてくる。朝日のカメラへの取り込み方を調整してみると、ウドが輝いて、まるで氷りついた木のようでもある。
日の出時 ウドの花実は 影絵の木
朝日浴び 白く輝き 氷の木
2010年10月08日
秋の大通公園
爪句集「爪句@思い出の都市秘境」が書店に並ぶ日なので、大通まで出向いて、「リーブルなにわ」と紀伊国屋書店オーロラ店を覗いてみる。オーロラ店の方には並べられていたので、写真を撮る。この写真ではどこに爪句集豆本があるのか分からないといわれるのも当然で、もっと近寄った写真は、共著者のお一人のAsiaの占い師さんが撮って掲示板に貼り付けたものがあるので、そちらをご覧ください。
オーロラ店から地上の大通公園に出ると、紅葉が始まっていて、青空の下で赤が冴え、見応えがある。公園には大きなドームのテントが設置されていて、これは札幌国際短編映画祭の会場で、ホワイトロックシアターと呼ばれていた。
このテント劇場は無料であるので、入場して今年の参加作品を鑑賞する。映画祭は、今年で第5回目となり、10月6日から11日まで行われている。主催者のK氏も、気を遣う一週間だろう。
2010年10月07日
今朝の始まり
朝刊に鈴木章先生のノーベル化学賞受賞の記事が大きく出ていた。北大の卒業生が、母校にノーベル賞受賞者が居ないと肩身が狭いといった意味のことを言っているのを耳にしていたので、北大関係者には朗報である。畑違いなので、業績については新聞記事で読むぐらいしか知らないので、特にコメントする知識も持ち合わせていない。
今朝は朝から晴れていて、近くの山道の散策である。昨夜の雨なのか、草が雨滴を抱いて、輝いている。身近な景色の中にも、見どころはあるものだ。
遊歩道が落ち葉で覆われる季節に入っている。もうすぐ周囲の木は、葉の衣装を脱いで裸になる。寒さに合わせて身につけているものを脱ぎ捨てるとは、動物とは逆の行動様式である。
再度目を惹くスズランの実
スズランの白い花が春に顔を出すと、小さな花でも存在感が大きい。やがて、花が散ると、スズランの葉に目をやることはなくなる。秋になり、葉も枯れてしまった状態のスズランに何気なく目をやると、茎に赤い実を付けているのに気づく。そして、スズランは再度見る人を惹きつける役者である。スズランの実は急に赤いものが出現する訳ではなく、花が終われば、秘かに緑の実を膨らませている。しかし、この緑の実には気づかず、急に赤い実が生ったように錯覚することになる。
赤き実で 再度目を惹く 役者なり
白き花 夏の緑の 球となり
2010年10月06日
朝日の中での藤の実撮り
藤棚に小さなヒョウタンに似た実が下がっている。藤棚にあるので、これは間違いなく藤の実である。藤はマメ科の花で、咲いている花はマメ科の特徴のある蝶形である。生っている実も、インゲン豆の実にも似ている。鞘の中に種子が詰まっているのだろう。朝日とこの実を組み合わせた写真を撮ろうと試みる。当然ながら、実の方に焦点を合わせると、朝日は形を失う。光の取り込み方でも、朝日に重きを置くと、実は暗い影になる。実を明るく撮ると、朝日は消さねばならない。
垂れる身は 朝日の中で 秋モード
光撮り 朝日を消して 実を生かし
朱色で書いた花大文字
ダイモンジソウ(大文字草)は白花が一般的である。好事家には紅花も好まれるようで、紅いダイモンジソウが鉢に咲いている。花弁が紅色でも、花の中心の雌蕊の黄色は白花と変わらない。野生のダイモンジソウで赤みのあるものを交配させて、紅色の濃い品種を作りあげたのだろう。さらに花弁を増やした八重咲きのものもあるけれど、こうなると大の文字が認識できなくなり、園芸熱が高じて手の加え過ぎである。紅花の方は、大の文字を書いて、朱で添削されたような感じである。
鉢中に 大の字書いて 朱添削
紅色は 雌蕊届かず 黄の残り
2010年10月05日
花案内人のブログ更新
「ようこそさっぽろ」の花案内人のブログが更新されている。今回は百合が原公園の花と彫刻案内の記事を書いてみた。本ブログの記事を目に留めた方は、札幌観光の公式サイトも覗いてみてください。
札幌は花のシーズンもほとんど終わり、紅葉と室内(温室)の花を見る季節に移行している。
積もった雪に見えるナツユキカズラ
このツル性の木花の名前に漢字を当てはめると、「夏雪葛」となる。夏に入り、白い花が枝を覆って咲き出す。その様子が、雪が積もっているかのようで、夏雪の表現となる。店舗に接して花の売り場のある、洒落た店がある。その入口のところの木造の白い壁をこの花が覆っている。夏雪が的を射た表現であることを確認する。秋に入っても花は咲いていて、札幌なら本当の雪がやってくるまで咲いているかもしれない、と思えるほどである。店先の花の売り場は早々と閉鎖の予告である。
夏の雪 白壁覆い 秋に入り
ツルに咲く 葛白雪 間近撮り
2010年10月04日
変わった名前のツキヌキニンドウ(突抜忍冬)
この木花の名前は変わっている。「突抜」とあるのは、花に近いところの二枚の葉がくっつき、その接着部分の中央から枝が出て花を咲かせるためである。「忍冬」は常緑のスイカズラ(吸葛)の別名で、文字通り緑の葉で、冬に耐え忍ぶことからの命名である。蔓の枝の先に10個前後のラッパ状の赤橙色の花がある。この形から、トランペット・ハニーサックルの別名がある。道を歩いていて、この木花に初めてのように出会い、木の上の音のないラッパの演奏会を見ているようである。
蔓枝が 葉を突き抜けて 忍冬花
音の無き ラッパの演奏 秋の空
赤の目立つオオベンケイソウの花
オオベンケイソウ(大弁慶草)は渡来の多肉植物である。秋に入ると花をつける花房は大きい。観賞用として育てられていて、庭に植えられていると、目立つ花である。花の名前に弁慶がつくのは、葉を切り取って土に挿すと、根がでてくる元気なところを、弁慶になぞらえているためである。赤い小さな花が花房に集団になって咲いているところをマクロ撮影してみる。雄蕊が花弁より長くて、花の外に飛び出していて、これも弁慶のように元気が良いことを表しているようである。
秋の庭 ベンケイソウの 赤さかな
弁慶の 元気の良さで 蕊の伸び
2010年10月03日
朝日の中の白花ホトトギス
花のホトトギス(杜鵑)は、花弁の模様が鳥のホトトギスの胸毛のパターンに似ていることから命名されている。白花ホトトギスは花弁が白く、命名の基になったパターンが消えてしまっているので、ホトトギスの元の意味が無くなっているとも言える。ホトトギスの花の特徴の、花の中央で伸びた雌蕊が3裂し、それがさらに先端で分かれている。雄蕊は雌蕊の柱頭より少し低いところにある。白花が秋の朝日に映えて、模様の無い白花の魅力をアッピールしているように感じられる。
白花弁 隠れ蓑なり ホトトギス
花陰に 朝日漏れ来る ホトトギス
秋の石狩浜灯台
夏には、海水浴客や観光客で賑わっただろう石狩浜が、初秋にはどんな景観になっているか見にゆく。海浜の花も何か残っているかと、少し期待して出向いてみる。観光客はものの見事に姿を消している。石狩浜灯台が見える木道を歩きながら、目に入ってくる明るい色は、ハマナスの実の赤さぐらいである。北からの潮風に吹かれるせいか、ここは秋の訪れが早いようである。砂地を埋めるススキやアキグミの低木は、もうすぐ雪に覆われることになるのを知っているかのようである。
灯台の 居残る浜を ススキ埋め
秋色に 赤白点描 浜灯台
2010年10月02日
シルバー春秋
標記の雑誌の創刊号が送られてきた。出版元は「百合が原企画」である。来年4月に予定されている2号に、寄稿を依頼されているためである。
この雑誌は共同自費出版という触れ込みで、作品を投稿した場合に掲載料を支払う。誌名にシルバーとあるように、中高年者対象で、年齢制限があって55歳以上である。
ブログ子も時たま爪句集を共著の形で出版しているけれど、これは共同自費出版ではない。まあ、共著者に何冊か余分に購入してもらうことを期待はするけれど、その購入代金は出版費用全体からみれば僅かな金額である。
その爪句集8集目の「爪句@思い出の都市秘境」も来週には出版の運びで、札幌の主要書店で取り扱ってもらえることになっている。
朝日の中でコスモスが演じる舞台
日の出の太陽とコスモスを重ねて撮ろうと試みる。目には、近くのコスモスの大きさぐらいにしか見えない太陽でも、強烈な光の塊である。この光をまともにカメラに取り込むと、明暗の差がつき過ぎて、朝でも周囲は闇となる。コスモスの花弁を光の遮光幕にして、花弁も太陽の光も同時に表現してみようとする。花弁が太陽による影絵のように映る。朝日とコスモスの作り出す、束の間の光のドラマの開始である。重なったコスモスは、朝日の中で演じている二人の主役のようである。
コスモスが 影絵を見せて 朝ドラマ
ライト浴び 主役二人の 舞台なり
字形を表すダイモンジソウ(大文字草)
この花の名前は、花弁の形が「大」の字に似ていることからきている。確かに花弁の長さが異なり、長い花弁を「大」の字の長いストロークに合わせると、花形にこの字を重ねることができる。ユキノシタ科の花で、白い花弁が目立つ。マクロ撮影の写真には、黄色い雌蕊を囲む雄蕊の先に、赤い頭があるのがわかる。白、赤、黄色の色の取り合わせは、小さくても鑑賞に値する。傍らにミズヒキの赤い花があると、これらの色の組み合わせがより際立って、小さな空間での花見である。
「大」の字を 花弁でなぞり 文字の花
ミズヒキが 赤を加えて 大文字
2010年10月01日
2度も見た同じ種類の幼虫
賑やかに咲くセンニンソウ
センニンソウ(仙人草)はセンニンソウ属の花である。この属には、カザグルマ(風車)や外国産のクレマチスの花があると知れば、これらの花からセンニンソウの輪郭が見えてくる。蔓に咲く花で、4枚の白い花弁のような萼があるけれど、本当の花弁はない。雄蕊が伸び混み合っている上に、花も集団で賑やかに咲いている。山奥に一人で居る仙人の風情とはかなり異なる。もっとも、仙人の名前が付いたのは、この花の花後に現れる髭状のものが仙人の髭に似ていることからきている。
萼の上 雄蕊集まる 集会所
賑やかに 蔓に下がりて 花仙人
ナナカマドと秋の空
ナナカマドは、葉の緑が残っているのに早々に色づいてくる。その赤い実は、秋の到来を告げる使者である。ナナカマドの上に広がる青空は、もう夏空ではない。そこに白い雲があると、間もなくやって来る雪を連想させる。雲も夏空にある、盛り上がるような力強いものではなく、柔らかくて周囲に拡散してしまいそうな感じである。ナナカマドの実の赤、葉の緑、空の青で、R・G・B(赤・緑・青)の光の三原色の加算混合で雲の白になる、と写真を見て物理の法則が浮かんでくる。
ナナカマド 赤で飾りて 秋の使者
雲の白 RGB(あぁるじぃびぃ) 加算なり