2008年06月30日
石狩川のディンギーヨット
江別ヨットクラブという団体があって、会員は石狩川で川ヨットを楽しんでいるらしい。ホームページ(HP)にアクセスすると、6月の末には石狩川での初心者の講習会があるとのことで取材を申し込む。
このHPにはヨットについての簡単な説明がある。ヨットは外洋で航行するキャビン付きのセイリングクルーザーと川や湖を主体にして楽しむディンギーヨットに分かれる。ここでディンギー(dinghy)とは小さな船の意味らしい。ヨットの走る原理の説明もある。小型のヨットなので、船体を自動車に積んで移動できる利点があり、川や湖が近くにあれば手軽に楽しめる。
石狩川のヤツメウナギ漁を邪魔しないようにとの配慮で、6月~8月の3ヶ月ヤツメウナギ漁の禁漁期間中が石狩川でのヨットのシーズンとなる。ヨットは江別市河川防災センターの倉庫に保管されている。シーズンが到来すると倉庫から取り出され、川まで運ばれる。この日は2名の初心者が居て、ヨットの試乗に適当な場所ということで、ヤツメウナギ漁の船着場までヨットを自動車に載せて移動する。
ヨットの船体が自動車から降ろされ、マストが取り付けられ、セール(帆)が張られる。見ていると二、三十分で準備完了である。メンバーの一人が携帯電話で警察と消防署にヨットの練習の旨を知らせている。これは、ヨットが転覆して消防車に通報が行っても、川で溺れている訳ではない事を事前に知らせておくためとのことである。さらに、前もって江別漁業共同組合にヤツメウナギの漁場でヨットを走らせることの許可を取っておく。
陸地からヨットの写真を撮るだけでは満足できず、乗せてもらうことにする。センターボードという板をヨットの中央部分の船底の隙間から水中に下ろす。これはヨットが風で横流しにならないようにするためのものである。そもそもヨットが風上に進むことが出来るのは、帆のふくらみに沿って流れる気流が生み出す揚力を利用していて、センターボードがなければ風で横向きになってしまう。
風を捕まえ、風向きの左右方向45度外の範囲で進路を制御しながら進む。つまり風上に向かっては45度方向に進路を変えながらジグザグに進む。この帆の張り具合、舵の取り方はヨットに同乗のクラブのメンバーの方にお願いして、川の中のヨットから写真を撮るのに専念する。風と波の感触だけの世界が広がり、ヨットは秘境の空間をつくり出している。