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2008年08月31日

花よりケーキ

 藻岩山ロープウェイ駅を下った近くに洒落た日用雑貨や花を扱っている店がある。客はほとんど女性で、女性の相棒でも居ないと入り難い。店舗の外には花が並んで、園芸用品も売られている。カードに「赤岩花ショウブ」の花名があり、珍しい品種でなかなか手に入らない、との添え書きがある。店内には様々な小物が並んでいる。喫茶店も併設されていて、外にもテーブルが置かれている。花よりはケーキで、狭い庭ながら水の流れもあるテラスで、口を満足させる方を選択した。

赤岩の 花ショウブなり 珍品種

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花よりは 心惹かれて ケーキなり

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ヨウシュヤマゴボウ(洋酒山牛蒡)

 ヤマゴボウは山に生え、ゴボウのような根をつけることからこう呼ばれている。洋種は渡来植物であることを意味している。茎が赤味を帯びて伸び、何か洋酒を飲んで顔が赤くなったようでもある。花房が弾けて緑の実が顔を出し、これはヨモギ団子を連想させ、花より団子である。実は熟すると黒紫色になる。根には毒があり、中国では下剤として用いられて来ているそうである。花言葉は「内縁の妻」と出ていたけれど、これは根に毒を持つことに関係しているのだろうか。

紅茎は 洋酒飲んでか 洋種なり

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ヤマゴボウ 花の中より 草団子

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2008年08月30日

エゾヤマハギ

 花は小さいながら、しなう枝にいくつもの紫色の蕾と紅色の花がついている。ヤマハギの花である。接写の写真を撮ろうとするのだけれど、被写体が小さく風に揺れるのでなかなか難しい。撮影に意外と時間を費い、散歩道でこの花に捕まえられてしまっている。蕾から開花に従って紫から赤紫、紅色と変化していく色調が見事である。辺りに赤系統の色の無い夏の終わりの山中では、この花の色が周囲にアクセントをつけている。この花を見る頃、季節は夏から秋へと移って行く。

散歩道 捕まえられて ハギの花

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紫の 蕾(つぼみ)開きて 紅の花

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モエレ沼公園

 モエレ沼公園は大地に彫刻するというイサム・ノグチの構想に基づいて造られている。モエレ山や山の斜面の石段、プレイマウンテンと称されるピラミッド状の丘、いずれも大地を相手の造形作品である。鑑賞者は歩いたり、登ったりしてこれらの作品を体で感じ取ることになる。従って、モエレ山は登山の山ではなく観賞の山と考えれば、ハイヒール姿で石段を登る情景には違和感がない。プレイマウンテンは祈りか遊びか不明の山であるけれど、祈りの丘の頂上で娘が立って遊んでいる。

登山靴 ハイヒールなり モエレ山

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頂上に 立つ娘居て プレイ山

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2008年08月29日

三角山-大倉山遊歩道のトンボ

 三角山から大倉山への遊歩道を歩いているとトンボが飛んでいる。トンボは葉や木柵、木製踏み段に止まる。近づいても逃げるでもなく、写真を撮らせてくれる。写真の撮影時には気がつかなかったけれど、あとでパソコンに表示して見ると、トンボの羽の日に透かしてできた影が木柵に写っている。写った影で八枚の羽を持つトンボのようにも見える。トンボの透き通る羽と日光の作リ出すこんな効果の写真が撮れるとは思いがけなかった。夏もそろそろ終わりである。

柵の上 止まるトンボの 透かし影

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身だしなみ 我が身の羽を 写し見て

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水簾と飛天

 JR札幌駅近くはガラス張りのビルが目立つ。その一つの「アスティ45」ビルの地下1階の外側が吹き抜けになっていて、水簾がある。向いのビルのガラス張りを背景に涼感の演出で、夏の強い日差しを避け、ここで一休みのする人も見られる。日の当たる地上への階段部分の壁に「The Sky」と題された竹中敏洋のブロンズ像が取り付けられていて、飛天がこれから空に駆け上がっていくようにも見える。この像を近くから見ると、何かに挑むような表情で迫ってくるようである。

水簾(すだれ) 飛天の姿 彼方見え

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こちら向く 飛天の顔に 挑み見え

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2008年08月28日

大倉山

 三角山から大倉山には遊歩道がある。山と山の稜線に遊歩道が設けられているけれど、三百十一mの三角山と三百一mの大倉山はどちらも低山で、急峻な部分はほとんどない。夏も終わりかける頃の平日、この遊歩道で出会う人はめったにいない。大倉山の山頂辺りで大倉山シャンツェの施設に出ることができ、寄ってみる。こちらはリフトを利用して登ってきた大勢の観光客がいる。人と会わずにここまで来てこの人だかりには驚く。ここから眺める札幌の街の景観も驚きに値する。

山頂は この賑わいの 大倉山

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目のやり場 望遠接写 切り替えて

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2008年08月27日

ミズヒキ

 ミズヒキは山野草として藪のあるところで見かける。長い茎に赤い花房がついていて、花房は小さい。この花房から白い花が咲くので、紅白の水引を連想させることからこの名前がついたようである。細長い花なので接写が難しい。接写モードで、どれかの花房に焦点を合わせると他のものは焦点ボケになる。写真に写った、暗いところから伸びている茎に、一方から次第にはっきりしてくる花房は、手足の無い赤衣の達磨が、茎の道を歩いてこちらに近づいてくるシーンを連想させる。

ミズヒキは 紅白組みて 花の列

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茎道を 近づいて来る 赤達磨

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紅桜公園

 南区澄川に紅桜公園がある。位置的には地下鉄真駒内駅の背後の山林を越したところにあるけれど、真駒内駅から直ぐに通じる道もなく、地図の上だけで見ていた場所である。一度は見ておきたいと、定山渓方面へ行く機会を利用して寄ってみる。個人所有の公園のようで、園内にレストランがあり、結婚式場も隣接して建っている。

 園内を歩いていると茅葺の家が現れ、門のところにメニューの看板が出ているので喫茶店であることがわかる。せっかくなので入ってみる。建物まで短いながらも庭道があって、玄関横には小さな池があり、緋鯉が泳いる。

紅桜(べにざくら) 公園名で 茶店前

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茅葺に 誘われ入りて 喫茶店

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 玄関を入ると民家風の建物で、えぞ数奇屋造と呼んでいるらしい。木の実茶屋と呼ばれる喫茶店から茶室がつながっていて寿光庵と名づけられている。喫茶店の奥の方には湧き水を利用したミニ庭園が設けられている。メニューにあった抹茶セットを注文する。

抹茶飲む 数奇屋造りの 木の実茶屋

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 紅桜公園は北陸金沢からの入植した奥矢家が造り管理している。金沢市の兼六公園をお手本にして造園している。北海道開拓の苦労を記憶に留める意味から、園内には開拓資料館もあり、奥矢家が財を成した林業に関わる道具などが展示されている。

鋸(のこぎり)は 今に伝える 開拓時

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2008年08月26日

ヒロハヒルガオ

 散歩道の道端に咲いているアサガオに似た花を図鑑で調べるとヒロハヒルガオのようである。雑草と一緒に咲いていて、蔓が絡まる棒状のものもないので、地面近くに花がある。早朝の散歩で見かけていて、朝顔なら納得なのだが、昼顔とくれば昼に咲く花かと思うとそうでもない。夕顔は夜に咲き翌朝しぼむので名前の通りとは思うけれど、一般に昼顔と呼ばれる花は昼頃花を咲かせるものだろうかとふと疑問を覚えた。雑草とも言えそうな花だけあって、白一色のシンプルな花である。

道端が ヒロハヒルガオ 咲き舞台

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ヒルガオの 名前はあれど 朝に咲き

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石山緑地

 石山緑地はかつては札幌軟石の石切り場であった。札幌市はこの採石場を含む一帯を北ブロックと南ブロックに分けて公園に再生した。北ブロックが先にオープンしていて一九九三年のことである。続いて採石場跡のある南ブロックの公園化が完成している。南ブロックには石切り場の景観を生かしたり、札幌軟石を使ったモニュメントを配置したりして、独特な景観造りに成功している。

 スパイラルスプリングと名づけられた造形は、名前の通り渦巻き状の泉(流れ)で、その水が湧き出す部分に、螺旋状に上に伸びる塔が軟石で造られている。この石造りの渦巻き塔の彼方に硬石山の採石場が見える。豊平川を挟んで、昔の採石場の跡と現在の採石場が対峙している格好である。

 水場は子供達に人気がある。大人でも流れのある広場は気持ちが休まる。渦を巻いた水路には親子連れがいて、水遊びに興じている。この親子間の諸々の関係が、現実の渦巻き水路のように、どこか中心に向かって渦を巻いて流れ入っているようである。

 採石場跡の景観を生かしたネガティブマウンドと名づけられた石造りの劇場がある。この名前が何を意味しているのかははっきりしない。名前の意味がわからないこの景観は、異空間を造り出している。夏にはこの石舞台がライトアップされ、いろいろなイベントが行われると聞いている。

採石の 山肌見えて 渦石(かせき)塔

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流水や 母子の交流 渦を巻き

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意味不明 ネガティブマウンド 石舞台

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2008年08月25日

藻岩山

 藻岩山はアイヌ語では「インカルシベヌプリ」と呼ばれていて、その意味は眺めの良い山である。この山は札幌市民には随一の人気の山で、登山者も多い。登山を敬遠したい向きにはロープウェイがあって、乗りながら札幌の市街地から石狩湾までも一望に収めることができる。さらにロープウェイの終点駅と山頂を往復するバスを利用すれば五百三十一mの山頂に簡単に行ける。山頂にはキアゲハチョウが舞っていて、パノラマの景観から足元に目を移せば止まった蝶の姿が目に入る。

アイヌ語で 眺めよき山 藻岩夏

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展望は 足元蝶見 藻岩山

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真妙寺三十三ヶ所観音

 手稲富丘にある真妙寺に復元されたという観音像を見に行く。三十三ヶ所は西国三十三ヶ所巡礼にならっており、三十三ヶ所を巡るのが不可能な信徒に対する簡便方法として、一山、一寺に観音地蔵などを三十三ヶ所に配置して、これにお参りをすれば三十三ヶ所巡礼と同じ功徳を積んだとされた。

 札幌にもこの三十三ヶ所があり、その一つとしてかつて手稲にあった温泉旅館「光風館」の近くに三十三体の観音地蔵が並んでいた。「光風館」が廃業して、観音地蔵も散逸したところ、残ったものと復元したものを合わせて、真妙寺と手稲稲穂の祥龍寺に安置されている。

 真妙寺の建物の横に一列に並んだ観音像は確かに一番から三十三番までの順番がついている。観音地蔵はそれぞれ表情がある。最後の番号の三十三番目の観音地蔵などは、笑っているようにも、泣いているようにも見える。唇に朱を入れたと見えて、かすかに赤い塗料が唇に認められる仏様もあった。

笑うよう 泣くように見え 三十三(みそみ)仏

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唇に かすかに朱見え 観音像

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2008年08月24日

ナナカマドの仲間

 遊歩道に赤い実をつけた低木がある。図鑑で調べて正確なものに辿りつけないけれど、ナナカマドの仲間に間違いがないようである。ウラジロナナカマド、タカネナナカマド、ミヤマナナカマドと並んでいても、どれに一番近いのかは写真からなら判定が難しい。ナナカマドの一族は白い集団の花をつけ、それが赤い実に変わる。周囲が緑のところに赤い実の集団は目立つものである。しかし、赤い実は秋の訪れの前触を感じさせ、この実が秋を連れてやって来るかのようである。

属するは ナナカマド属 実の赤き

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曇り日に 赤さ誇示して 秋を連れ

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散歩道のネジバナ

 初めて名前を知ったせいか、最近ネジバナ(ネジリソウ)を目ざとく見つけるようになっている。早朝の散歩道に雑草に埋もれるようにしてあったネジバナを見つけた。今までなら見過ごすところである。名前を覚えるというのは森羅万象を認識する上で大した進歩なのだと理解する。それにしても路傍の草花という風情である。この花は縦に伸びているので、接写が難しい。八月も下旬になると早朝はもう肌寒く感じる。ネジバナが咲いている時期ももう終わりに近づいている。

足元に 顔を出したり ネジリソウ

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早朝に ネジバナ撮りて 肌寒し

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2008年08月23日

八剣山のエゾノヨロイグサ

 高さが四百九十八mと聞くと低山である。しかし、この山を登ると肝を冷やす。名前からして八剣山と凄みがある。この山を「札幌秘境100選」の一つの採り上げていながら、実際に登っていなかったので登ってみる。初めての山なので、案内役を頼んで、五名ばかりが集まっての登山である。

 岩場の登山道にはロープも渡してあり、これを頼りに登っていく。山頂付近に白い花が咲いていたので写真を撮る。下山後に調べるとエゾノヨロイグサらしい。山が低いので低地に生える花がこの高さのところにあっても不思議ではない。しかし、ここにこの花は、思いがけないものを見た感じである。岩場の道を登ってきて、頂上付近でこんな花に出会うと、もうすぐ頂上と手招きされている感じである。

 山頂からの絶景を満喫してから下山である。エゾノヨロイグサは、下山も気をつけて、と見守っているようである。登山も下山も足元の危なかしさに気をとられ、ゆっくり花の写真を撮っている余裕はなかった。しかし、岩場の尾根にこの大型の花が咲いていたのは、本当だったのかと、後で思い返している。

頂上へ エゾノヨロイグサ 手招きし

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岩場道 花の見守る 八剣山

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ワレモコウ(吾亦紅)

 最近歌にワレモコウというのがあってときどき耳にする。母を想う歌詞である。歌われているワレモコウとはどんな花なのか皆目見当もつかなかったのに、庭に咲いているという。細長い茎の先に楕円体の花があり、上部から小花が開いてゆく。ワレモコウの背後に写っているヒペリカムの実が明るい赤色なのに対して、ワレモコウは暗い紅色である。バラ科の花とあるので、通常のバラとの共通点があるかと観察する。花の名前は「我もこうありたい」から採られているとの説もある。

我もまた こう咲きたしや  ワレモコウ

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ヒペリカム 赤で紅(くれない) 吾亦紅(ワレモコウ)

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2008年08月22日

バッタ塚

 札幌市指定史跡の手稲山口バッタ塚を見に行く。北海道開拓時代にイナゴ(蝗-トノサマバッタ)による蝗害は甚大なものであった。石狩の砂浜では春先にイナゴの卵を集めて、畝状にして砂を掛けて処理した。その跡が新川の河口近くにバッタ塚として残っている。バッタ塚の地層を切り出したものを見ると、バッタの卵が埋められた部分の土地は黒ずんだ層状のものとなっている。海岸に近いせいか、八月の中旬でも早やススキが穂を出し、トンボが飛んで秋の気配である。

ここはもう 秋の気配の バッタ塚

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砂浜の 蝗卵(こうらん)埋め地 ススキ生(お)う

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ルリダマアザミ(瑠璃玉薊)

 ルリタマアザミは花のつぼみの時には棘状の突起が球状になっている。球状に揃った棘のつぼみは、指で触ると指を刺す。この棘状のものが成長してきて、一つひとつの花になって開いてくる。この花模様が、模様の入ったガラス(瑠璃)球を連想させ、花の名前になったのだろう。夏に咲く涼感を伴った花である。蜜もあると見えて、小さなアブが蜜を吸っている。寒さに強い花で、高温多湿な地方では育てるのに注意が必要とのことであるので、北海道向きの花なのだろう。

瑠璃玉の 棘が開いて アザミ花

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アブ止まり ルリタマアザミ 蜜の壷

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2008年08月21日

盆踊り

 盆踊りの写真を撮るため、住んでいる町内会主催の盆踊り会場に出向いてみる。狭い広場に櫓が組まれ、盆踊り歌がスピーカから流れている。しかし、踊り手が少ない。特に浴衣を着て踊っている子供がいないので、雰囲気が出ない。そこで、もっと大きな会場を探して行ってみる。北海道神宮の駐車場の盆踊り会場にはそこそこの人数の踊り手がいて、浴衣姿の子供の写真を撮ってみる。屋台も出て盆踊り会場の雰囲気はあるのだが、賑やかという感じからは遠かった。

駐車場 踊る足元 白い線

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櫓より 屋台明るく 盆踊り

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ガウラ

 ガウラは背が高いので庭の隅にあっても目につき、存在感を示す花である。伸びた茎に四枚の花びらの花がところどころについたように咲いている。色は、白やピンクで、園芸の花というより野の花の趣きである。ガウラは別名ハクチョウソウ(白蝶草)とも呼ばれる。茎が高く、細いので風が少しでもあると花が揺れ、遠目に白い蝶が飛んでいるようにも見える。朝の散歩道に鉢植えのガウラの花が咲いていて、アスファルトの道まで身を乗り出して蝶の飛ぶ演技をしてくれる。

庭の隅 背高き花の 存在感

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白き蝶 舞うかと見えて 散歩道

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2008年08月20日

飛ぶトンボの撮影

 以前、「札幌秘100選」でカラカネイトトンボの写真を載せようとトンボ撮りに挑戦したことがある。使用したカメラが手の中に納まるコンパクトデジカメで(デジカメのせいにしておきます)止まっているトンボさえもよく撮れなかった記憶がある。
 そこで一昨日覗かせてもらった「ぜんまい仕掛け」のブログに何と飛んでいるトンボの写真が出て来たのにはびっくり仰天である。タイトルも「トンボ“撮り”」とはうまい。このタイトル使用の許諾を得ないで使わせてもらって、トンボ撮りのテーマでブログを更新しました。
 「せんまい仕掛け」のブログにはHBCのHanaテレビの秘境めぐり番組や秘境本の紹介も載せていただいています。このブログ毎日更新の力の入ったもので(当方と同様ブログホリックですね)、閲覧に値します。一度ご覧あれ。

トンボ撮り

 手稲山口にあるバッタ塚の写真を撮りに行くと、もうハマナスの赤い実が大きくなっている。そこにトンボが飛んでいて、秋の気配である。バッタ塚よりトンボの写真を撮ることに時間を使う。飛んでいるトンボを採る腕と根気はないので、枝先に止まったトンボに近づいて何枚か撮ってみる。トンボに焦点を合わせた写真にぼけたハマナスの実が写っている。赤トンボはカメラを近づけると身構えて、一瞬で飛び立とうとしている。赤トンボの色は秋を感じさせる色である。

トンボ撮り ハマナスの実の 横にあり

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飛ぶ構え 身を赤く染め 秋の色

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ジャコウアオイ(麝香葵)

 庭のあちこちに咲いている薄い花びらの花の名前を調べてみる。ムスク・マロウでジャコウアオイ(麝香葵)の別名もある。葉にかすかに麝香の匂いがするのでこの花の名になった。葉をちぎって匂いを嗅いでみると香りがある。しかし、元々麝香の匂いを知らないので、麝香の匂い似ているかどうかについてはなんともいえない。葉の形は鹿の角に似ている。ハーブの一種で、宿根草で毎年咲いているから寒さに強い花のようである。花に筋が入っていて、桃色や白の花がある。

花に筋 ムスクマロウは ハーブなり

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葉をちぎり 麝香の香り 確かめて

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2008年08月19日

カサブランカ

 カサブランカの言葉を聞いて、映画を連想すれば映画通の人、ユリの花が頭に浮かべは花好きの人、といった喩えがある。映画の方で言えば、モロッコにある都市のカサブランカが映画の舞台で、この都市名は「カサ」=「家」、「ブランカ」=「白い」に由来して、白壁の家が並ぶ街である。一方、ユリの花のカサブランカは普通には白い花であるけれど、桃色の花であったりして、映画の題名をイメージしていると名前に違和感がある。白い花の雄しべはソーセージのように見える。

桃色で カサブランカは 白い家

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白い皿 盛られた料理 ソーセージ

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HBC Hanaテレビ番組から

 8月18日のHBCのHanaテレビ番組で、札幌近郊の都市秘境が紹介されました。白石墓地のウッドサークルは、どうしてあの円形の植栽があるのか、取材後も結局分からずじまいで終わっています。テレビのテロップにあるように宇宙人に関係する、と言う事ではないのは確かですが、TVを視た視聴者も疑問ばかりが残ったかもしれません。

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 小樽の消火栓は真面目な話なのですが、うまく秘境仕立てに編集してあります。これは都市生活の啓蒙番組になったと思います。

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 ほくでん総合研究所のマリモ栽培は真面目な研究成果の紹介です。都市秘境の条件の意外性をクリアしているテーマで、一般市民には意外性が大きかったと思います。取材した立場では面白いものでした。

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 マリモを市民に配るアナウンスが番組でなされて、今年は9月20日の10時前にほくでん総研に並ぶ市民が増えるのではないかと予想しています。画面に並んでいるリポーターはHanaテレビのパーソナリティの卓田さんと小橋さんで、番組放送のスタジオでコメントしていました。

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 丁度盆祭りの最中であった達磨寺の巨大数珠は、テレビで紹介され宣伝になったと思います。こちらも巨大数珠を見にゆく人が増えるのではないかと思っています。

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 番組の中で「札幌秘境100選」、「小樽・石狩秘境100選」の本の映像が出たので、これが宣伝になり本の売り上げ向上につながることを期待しています。年内には今回番組で取り上げられたテーマも含めた「江別・北広島秘境100選」を出版するべく準備中です。

2008年08月18日

Hanaテレビ秘境番組

 本日(8月18日)のHBCのテレビ番組のHanaテレビに「札幌近郊秘境100選」が紹介される予定です。番組のプログラムを転載します。

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 番組では写真の木立の紹介があるはずです。ヘリコプターで上空から撮影する予定を聞いていますので、その映像も放送されるのかな、と予想しています。

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 手にしたマリモも番組に出てくるはずです。マリモは陽に当たると水面に浮いてくるのを発見しました。

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サギソウ

 鷺草(サギソウ)とはすぐに口に出るこの花の名前である。それほど花の形が飛ぶ白鷺に似ている。ラン科に属する花で、鷺と見立てられる花弁の部分が他の花弁から分かれて飛び出している様子は、ランの花に見かける花弁が色々な形を作っている形態に共通するものである。それにしてもこの花は鳥の飛ぶ様に似ている。周囲の茎が木立のようで、木立にぶつからないように飛んでいるようにも見える。鉢の中に二つ咲いた花はつがいのようで、同じ方向に向かって飛んでいる。

白鷺の 茎の木立を 避けて飛び

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白鷺は つがいで飛行 鉢の中

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2008年08月17日

北大の四季

 爪句集「北大の四季」出版の準備をしていて、冬、春、夏を経過して、これから秋に入る。四季にわたる北大構内の景観が主体になるのだけれど、やはり写真に写った人物が面白い。ただ、これまでの写真と原稿を整理していて、本にした時のプライバシー侵害(肖像権侵害になるのだろうか)が気になっている。写真に写っている人達の了解を取っている訳でもないので、ブログとか本に了解無しに(了解のとりようもなく)載せてよいものなのだろうか、の判断に迷う。例えば、今回のような写真と原稿である。豆本なので写真は小さく、大学祭時の写真なのでまあ良いか、と思う一方で気がかりな点もある。この点についてブログを見た方のコメントがほしいところだけれど、ROMの皆さんからのコメントを期待しても無理だとは知ってはいるのだが・・・

女子学生

 大学祭のようなイベントで学生の顔が生き生きとするのは、やはりそれが楽しいからだろう。勉強時にはこの笑顔は期待できない。本物のピエロはどこかペーソスを秘めた笑いを演出するけれど、この女子学生達の演じるピエロは底抜けに明るい。女子学生が並んで宣伝している屋台の看板にMr.チュロスとあって、チュロスがわからなかった。インターネットで調べるとスペインの揚げ菓子の食べ物である。食べてみるにも、この雰囲気では買ってみる勇気はなかった。

学祭は 笑顔のピエロ 主役なり

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チュロスとは 揚げ菓子と知る 大学祭

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窓際のRGB

 キッチンの隅の花挿しに、季節に応じて庭の花が投挿しにされている。置物の小鳥が花の間を行き来して話を伝えているようでもある。ここにマリモが加わった。このマリモは「江別・北広島秘境100選」の本のテーマに関連したテレビ番組で、「ほくでん総合研究所」をテレビ局が取材したときに、案内役を努めたことから貰ったものである。テレビ取材のテーマは電力会社の研究所でのマリモ栽培である。ヒペリカムの赤(R)、マリモの緑(G)、小鳥の青(B)で色の三原色RGBが窓際に並んでいる。

アジサイと バラを取り持つ ガラス鳥

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キッチンの 隅に新参 マリモかな

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2008年08月16日

オオバンソウ(大判草)

 種が小判か大判のような形をしている鞘に入っているものがある。日が当たる鞘の表面を見てもわからないけれど、日に透かして見ると内に種が黒くなってある。日の光で黄金色にも見える透かした鞘の中の種は、財布の中の小銭を連想する。この花(種)の名前を正確に知るため、インターネットで検索してみる。最初は「銭」に関係するかと「草」と一緒に検索しても出てこない。次は「小判」かな、とトライして駄目である。では「大判」かと検索するとこれが当たりであった。

日に透かし オオバンソウの 種の見え

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日に黄金(こがね) 財布の中の 小銭なり

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三角山頂上のキアゲハ

 標高311mの三角山に登る。北一条通の山の手三条付近に登山口の一つがあって、ここから登山道に入る。この山は都会の低山で、頂上からの眺めが良く人気がある。しかし、真夏の平日なので登山者は時々見かけるぐらいである。三十分ぐらいで頂上に着く。頂上から東方向に札幌の街が展開している。頂上にはキアゲハ蝶が舞っているのだが、写真を撮るにもなかなか止まってくれない。説明板や岩に止まったところを撮ったけれど、ファッションショーのモデルのようでもある。

山頂に 舞うキアゲハの 止まり待ち

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石舞台 蝶がモデルの ファションショー

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2008年08月15日

ツユクサ

 ツユクサの咲いている時間は短い。それは朝露のように短いことから露草の名前が当てはめられたという説がある。一緒に咲いている花が順番を追って散って行き、後の花が先の花を見取るなどといった余裕はなく、朝一斉に咲き午後には一斉にしぼんでしまう。英語の名前でもDayflowerで、一日花である。道端によく見かける花で、紫色の気品の高さにしては路傍の雑草である。花びらを指で挟むと紫の色がつく。手をこの花の色で染めて遊んだかすかな記憶がある。

朝咲くも 露の時間の 路傍花

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一日と 時間区切られ 共に咲き

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学内ビアガーデン

 北大も変わったもので、近年は構内で夏にビアガーデンが開かれる。車の運転のこともあって、遠くからビアガーデンの様子を眺めるだけである。マサチューセッツ大学総長が北大創基百周年に記念植樹を行ったと記された標柱も入れて、ビアガーデンの写真を撮る。総長名のある大学は、クラーク博士が初代学長を務めたマサチューセッツ農科大学が前身で(現アーマスト校)、北大がお手本にした。ビアガーデンの方は芝生に座りながらのビール飲み会といったところである。

ビアガーデン 創基百年 文字の見え

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学府内 時代に押され ビアガーデン

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カップル

 カップルは様々である。しかし、カップルを形作る男女は似た雰囲気を出している。構内の池の睡蓮が見頃の時期には、多くの見学者が訪れる。そのなかには若い男女のカップルも居て、池の睡蓮を見るよりお互い何か話している。池の向こう側には年配のカップルも見え、歳の功も加わって、これまた似た者同士という感じである。時を超えてカップルの男女は似た雰囲気を醸し出している。夏の夕刻、切り株に腰を下ろしているカップルはシャツのペアルックで外見からも似ている。

池挟み 新旧カップル 時を超え

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切り株が 茶店の椅子で 日暮れ時

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2008年08月14日

もぢずりの花

 百人一首に河原左大臣の歌「みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに」というのがある。ここで「もぢずり」は「陸奥国信夫(郡特産の摺り染め布」だそうで、後世「文字摺り」と書かれたものは元は「捩(も)ぢ摺り」で、乱れた模様を意味していた。このことからネジリ草あるいはネジバナの別称として「もぢずり」が伝わっている。ネジリ草の花は桃色なのに、近所に山野草の愛好家が居て、突然変異らしい白花のネジリ草を見せてくれた。

もぢずりと 和歌に由来の ネジリソウ

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白色は 乱れ初めたか 変異花

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達磨寺

 HBCのHanaテレビの都市秘境探訪の取材協力で、北広島市にある達磨寺に行きました。丁度盆祭りの当日で、ステージが出来て、カラオケ競技が行われていました。久しぶりに田舎の祭りという雰囲気を味わいました。

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 写真では子供達が本堂に座って何かをしていますが、何をしているかを知りたい方は8月18日(月)午後4:00~のHanaテレビで放送予定(オリンピック放送で翌週になるかもしれません)ですので、ご覧ください。

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2008年08月13日

百日草

 菊科の花で、もともとはメキシコ原産の外来種である。夏の盛りに花をつけ、花もちが良いことからこの名前がついている。花の寿命が長いことから「浦島草」の別名がある。学名Zinniaはドイツの植物学者の名前から採られ、花言葉は優美である。色は赤、黄色、白と異なったものがあり、隣り合わせで咲いていたりする。同じ花でも色でそれぞれの個性を主張しているようである。丸くまとまった花は胸に挿す造花のようでもある。仏花としてもよく利用される。

黄色赤 色で個性を 主張して

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胸に挿す 造花にも見え 百日草

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夕日

 夕日の頃になると構内の全てのものが赤味を帯びてくる。歩く人も木も建物も一様に夕日を浴びて、赤さが強調されるものは一段と輝く。夕日の赤さは写真に撮ると薄れてしまい、夕刻の情景は実物の色合いと輝きを写真で残すのが難しい。日が西の空に傾くに比例して木や建物の影が長くなり、地面を覆う影の部分が増してくる。木の重なりの隙間から漏れてくる日の光が地面に帯状に走り、その日の光の帯が急速に消えていくと夜のドアが開き始める。昼と夜の交代劇である。

足も木も 暮れる光で 赤味さし

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日は西に 影長くなり 夜のドア

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2008年08月12日

ヒマワリ

 ヒマワリは生長する時に太陽を追いかける。しかし、大輪の花を付ける頃にはこの動きは止まる。太陽の軌道方向に向いた背の高いヒマワリが並んで立っている様子は、人が顔を日に向けて日光浴をしているようにも見える。重なる花弁に目を奪われるけれど、中心部の花の下で種が成長していて、花が枯れると種の塊が取り出される。ヒマワリの種からヒマワリ油が取れる。ヒマワリの花を見ていても種が花の下で成長しているとは思えず、花は種から目をそらせる役目のようでもある。

並びたり ヒマワリ人(びと)の 日光浴

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花、目ひき ヒマワリの種 潜みおり

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羊ヶ丘水源涵養林遊歩道

 北海道農業研究センターの年一回の市民への施設開放日に、バスで羊ヶ丘に広がる広大な圃場や牧草地を見学するサービスに便乗した。途中、希望者はトド山入口でバスを降りて、観光スポットの羊ヶ丘展望台まで歩いてゆけるとのことで、水源涵養林の中の道を歩いてみた。トド山とはトドマツが多かったのでこの名前がつけられたそうである。緑の濃い林の中の道は、我々の他には親子連れが歩いているだけである。道の先の羊ヶ丘展望台には大勢の観光客が訪れていた。

親子連れ 林の道で 歩を留(とど)め

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道の先 羊ヶ丘の 観光地

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2008年08月11日

ビアガーデン

 札幌の夏の風物詩は大通のビアガーデンである。ビールメーカ各社がビアガーデンに店を出し、売れ行きを競う。ビールの小樽をテーブルの上に置いて、この樽から客が自らジョッキに注ぐやり方はこれまでも目にしている。しかし、今年初めてタワーピッチャーにお目にかかった。確かにタワーと表現されるだけあって、背の高いピッチャーがテーブルの上に立っている。飲む勢いが増すとこのタワーピッチャーが林立して、短い北国の夏を惜しむように話しは続いていく。

話題なり タワーピッチャー この高さ

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テーブルに 樽載せ注げば 生の粋

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ミニ浴衣

 浴衣を膝の上あたりでバッサリ切ってしまったものを着ているのに初めてお目にかかった。奇をてらうため、浴衣を自分で裁断したのだろうと思っていると、ミニ浴衣として売られているのをインターネットでみつけた。それにしても、浴衣の情緒を殺しているこの格好はいただけない。歩行者天国の道路の中央で、ミニ浴衣の娘が立っているけれど、その役目がわからない。店の宣伝ならチラシとか名刺を配るだろうに、その動きもない。ミニ浴衣の宣伝をやっているのだろうか。

夏情緒 バッサリ裁断 ミニ浴衣

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この娘(こ)らの 役目不明で ミニ浴衣

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2008年08月10日

祭りの始まり

 祭りはこれからという時には本番前の気合と息抜きが同居する。祭り衣装に身を固めた踊り手の一団が、札幌名所になった飲食店街のところで準備に余念がない。編み笠を被れば、入店しようと飲食店の引き戸に手を伸ばした時の気合と同様、祭りの戸に手を掛けた緊張感が出てくる。祭り見物に来た客は、歩行者天国が始まった路上が祭りの人混みで埋まる前にそぞろ歩きである。店開きをした路上の風鈴売りに近づく客の表情に、品定めする気合とリラックスが入り混じる。

編み笠を 被れば祭り 戸の開き

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風鈴を 品定めする 開店時

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ブルーベリー

 庭のブルーベリーの低木に黒柴色の実が沢山成っている。春に白い花をつけ、花から薄緑色の実に変わり、次第に赤味がかって、夏の盛り頃に熟して黒柴色になる。熟した実を口に含むと甘さが口内に広がる。実は木全体で一度に熟してくるので、小さな木でも摘み取るのに手間がかかる。寒さに強いようで、雪に埋もれて枝が折れたりしなければ毎年実をつける。目に薬効のある実だと聞いているけれど、さて本当かと思いながら、庭に出ると口に含んで甘さを楽しんでいる。

赤実から 熟実に変わり 夏盛り

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口の内 甘さ広がり 目の薬

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2008年08月09日

祭りの準備

 祭りの前には準備がある。すすきの祭りは日が落ちた頃から本番を迎える、夕刻から祭りの準備が行われる。ススキノのメインストリートは歩行者天国になり、これから繰り出す準備の神輿の近くで炭火を持った女性が道を横切ってくる。熱い炭火なので防熱用の手袋をはめているのだけれど、片方の手だけである。素手の方が熱くなると見えて、途中で炭火を下ろして手袋の交替である。屋台での食事の提供のためだろう。屋台の店員は祭りに合わせて浴衣姿で店開きの準備である。

手を換えて 炭火の熱を 防ぎたり

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店員も 浴衣で出番 夏祭り

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2008年08月08日

狸まつり

 札幌を代表する商店街の狸小路は、商売の上では苦戦しているようである。狸小路は線の商店街である。これに対して郊外型のショッピングセンターは面に広がるし、JR札幌駅の商業施設は上に伸びる立体型である。昔のような小路に延びる商店街に客足を向けさせるのが困難になって来ている。この状況への対策として、夏には「狸まつり」と称して狸の巨大風船を浮かべ、大きな短冊を下げ、客を呼び込む苦心をしている。上に浮かぶ大きな狸は客の目を惹きつけている。

頭上には 客足増やす 苦心あり

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客の目を 飛んでる狸 惹きつけて

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2008年08月07日

タチアオイと蟻

 道の脇に植えられているタチアオイは背の高い大きな花で、目に付けばカメラを向けている。写真を後でよく見ると蟻が花の周りに張り付いたりしているのに気が付く。蟻に我が身を投じて想像すれば、何々殿とでも称される豪華な建物の内に敷かれた赤絨緞を歩いているような感じではなかろうか。歩道側にはみ出しているタチアオイは通行人の邪魔をしている。しかし、タチアオイの花の内を行ったり来たりしている蟻にとっては、タチアオイは自分達の道路になっている。

葵殿 蟻が歩くか 赤絨緞

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よく見れば 蟻の道なり タチアオイ

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2008年08月06日

ネジリ草

 庭にネジリ草があるというのが朝一番の話題になった。良く見ると茎の下の部分は真っ直ぐなのに、花が付き始める部分あたりから茎が二つに分かれて捻れ状態で上に伸びる。捻れた茎に桃色の小さな花が螺旋状に並んで咲いている。れっきとした蘭の仲間に属する。この花を見ての連想は遺伝子情報を伝えるDNAの螺旋構造である。DNAの構造図を時折目にするためである。ネジリ草のDNAも螺旋構造になっていて、目にする草の形がやはり螺旋であることに象徴性を感じる。

朝一番 妻の見つけた ネジリ草

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連想は DNA(ディエヌエイ)の 螺旋なり

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2008年08月05日

HBCラジオ生放送出演

 HBCラジオに「カーナビラジオ午後一番」という番組があり、8月4日の午後の生放送に出演しました。テーマは札幌の都市秘境探検で、「ミュンヘン大橋」と「新善光寺」からです。放送開始直前に電波のトラブルがあって、スタッフが中継車の屋根に登っての対応です。その状況は掲示板に書いておきました。

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 この番組のHPがあり(http://www.hbc.co.jp/radio/carnavi/index.html)この放送の内容が掲載されています。その画面を転載します。

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写真に一緒に写っているのが、お相手役のパーソナリティの大森氏です。

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タンポポと花火

 タンポポの種が綿毛をつけ茎の先に球状であるのと、夜空に一瞬見える円形の花火は形の上では近親者のようである。それを言うなら、球状のものは皆親戚同士になるのだが、タンポポは時間をかけて綿毛が飛び散って後には茎だけが残り、花火の方は一瞬に火花が四方八方に飛び散って消えてしまうところが、時間の進み具合を合わせると似ている。CGでタンポポが花火に変化して、花火が夜空に散って、それが綿毛に変わっていくシーンなど作れると面白そうである。

タンポポの 綿毛夜空に 飛び散りて

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朝の陽に 花火の広がり 凝固して

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2008年08月04日

ズッキーニ

 ズッキーニは大柄な五裂の花で人形に見えることから、その時々の状況でいろいろな想念が湧いてくる。朝であれば手をかざして挨拶しているようにも思える。花の下に実がつき始めていると、両手を広げて実をもぎ取るのを防いでいるようにも見える。姿形はキュウリに似ているけれど、カボチャの仲間である。料理されたズッキーニは美味しいとは思わないけれど、熱を加えても緑色が残り、料理を引き立てる。カリウムが豊富で健康野菜としての評価は高い。

おはようと ズッキーニの花 手をかざし

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成った実を とっては駄目と 腕広げ

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2008年08月03日

ワンワンの会社勤務のブログ

 ワンワンの会社勤務のブログの100000回アクセスを記念して99990~100010のアクセス番号の方に拙著爪句集を贈ると同ブログに案内が出ています。
 現在主人公のチョコ(とお父しゃん)が「いのちの果ての うす明かり」状態で闘病生活を送っています。
 久保田万太郎の句「湯豆腐や 命の果ての 薄明かり」はこのブログの親娘(チョコはメスのシーズー犬)の状況にピッタりです。この句は万太郎が愛妻を亡くした後に詠んでいます。人生のたそがれを写し出す名句です。

江別水道庁舎少女像

 R江別駅を出ると江別市水道庁舎の赤レンガの建物が目に入る。建物の横に佐藤忠良作の「少女」像がある。このブロンズ像は元の銅色が緑青に変わりつつある状態にある。元の銅色は少し赤みがかっていて、建物のレンガ色を反映させたようにも見える。曇り空で空の明るさに合わせるとブロンズ像が暗く写るので、ブロンズ像に合わせて明るさを調整して写真を撮ると、曇り空が白く抜けたような写真になる。何か少女の無垢な状態を、色のない空が象徴的に表しているようである。

少女像 レンガの色を 身に残し

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少女像 浮き立たせ見せ 無垢(むく)の空

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2008年08月02日

赤いケシの花

 夏になると庭から赤色の花が少なくなる。夏場に庭の手入れを怠ると雑草が生い茂り、緑で庭が覆われ、色調が単純になってくる。その中で咲き残りのケシの花の赤色が目立つ。この花は覗き込むとなかなか豪華な装いである。真紅に近い花びらの中に、黒紫と白の飾りを配していて、配色が見事である。花が豪華であるだけ、その豪華さを残しながら、地に襤褸布のように散る花を見るのは無残である。桜の花びらが地面を覆うあの優雅さは、地に散るケシの花にはない。

この季節 赤の少なく 庭手入れ

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花の内 装い豪華 ケシの花

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スケッチの思い出の建屋

 もう三十年も昔に毎日新聞の道内版にスケッチを頼まれたことがある。当時は工学部電子工学科勤務で、絵に関係することといえば、趣味のサークルに入っていて、この関係で依頼が来たのだろう。ともかく、三回ほど上手くもないスケッチが新聞に掲載された。構内の由緒ある建物を探し回って、札幌農学校時代の建物が保存されている第二農場で、釜場と製乳所の建物をスケッチしている。三十年経ってもこれらの建物は、スケッチ当時と同じたたずまいであった。

スケッチの 記憶の残る 建屋なり

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昔描(か)く 古き建屋の 今にあり

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2008年08月01日

ブランドのトマトケチャップはケチャップへ

 食のブランドは口コミから始まるところがある。食と口コミとなるとおかあさん達である。ここに目をつけた江別市が第1回サンデー&サタデーマーケット「かぁーさん江別ブランド 手作り品大集合!」という企画を2007年12月に実行した。普段はほとんど訪れる人もいない河川防災ステーションの活性化も念頭に、江別産の食材や食品を並べた。

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 この直売会で主役を務めていたのが「巴農場」の“かぁーさん”達であった。マーケットには巴農場で生産されたものや、加工された食品が並んでいる。その中に巴農場産のトマトケチャップがあった。瓶詰めにされていて、トマトのキャラクターが記憶に残っていた。春になり巴農場の風景写真を撮りながら自転車で走っていると、壁にこのケチャップのマークが壁に表示してあるプレハブがあった。ここが手作りケチャップ農家と分かったので、夏になって改めて出向いてみる。

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 突然の訪問に対応してくれたのは、はるちゃんのトマトケチャップ代表の岡村恵子さんである。ケチャップの手作りを行っているプレハブ横に、トマト栽培のビニールハウスがある。トマトケチャップ用に育成を試験的に行っているというシシリアンルージュとかサンマルチーノの品種が収穫前の青い小さな実をつけている。

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 トマトケチャップはトマトの収穫後に煮込んで、リンゴ、玉ねぎ、ニンニク、生姜などを入れて作るそうである。生食で美味しく感じるトマトは糖度が高い反面、水分も多く煮詰める過程で果肉の目減りが大きい。この点ケチャップ加工用トマトは生食には適していないけれど、煮込んだ時の果肉の歩留まりがよく、過熱によりグルタミン酸、リコビン酸が増加する。さらにリンゴを加えることで甘味や酸味が増し、βカロチンが一般のケチャップの3倍程度までになる。ケチャップの赤さが鮮やかになる利点もある。

 ここで、リンゴを加えるのが食品のカテゴリー表示との関係で問題を指摘されたそうである。つまり、トマトケチャップとはトマトだけに少量の香辛料に相当するのを加えたものという定義があり、リンゴを加えたものをトマトケチャップとして表示・販売する点で問題ありと指摘があった。江別のブランドとして年毎に倍増の売れ行きになると、指摘の点にも対応せねばならず、今年(2008年)からは「はるちゃんのケチャップ」で「トマト」を除いた新しいラベルを作成して貼る方針である。

 昨年度で瓶詰めを2000本以上を作ったとのことで、瓶のキャップも熱した状態で手作業で行う。手作りも人気が出て大量生産になって行くと大変なことであり、江別の食のブランドはこの大変さの上に成り立っている。