2018年01月01日
あとがき(爪句@彫刻のある風景-札幌編)
~~2018年明けましておめでとうございます。~~
あとがき
彫刻に関して1冊にまとめた爪句集の出版は、爪句集シリーズの出版当初から頭にあった。爪句集の第1集「爪句@札幌&近郊百景」(2008年1月出版)でも彫刻の章があり、他の章のものと合わせて20作品ほどが採り上げられている。
その後、彫刻の写真は折に触れ撮り続けており、爪句集の原稿整理箱の役目をする著者のブログ(秘境100 選ver2 http://hikyou.sakura.ne.jp/v2/)に多くの彫刻の原稿を投稿して来ている。それらをまとめて編集すれば爪句集を出版できる量には達していた。しかし、少なくとも札幌市内の野外彫刻についてはほとんど全部を取材してから、という目標を掲げたため、爪句集出版のゴールは遠のいた。
さらに、彫刻はそれが置かれている場所の中で鑑賞するべきで、そのため著者が近年力を入れている全球パノラマ写真で彫刻を撮影する、という彫刻写真集としての爪句集出版のハードルを高くしてしまった。通常の2次元写真撮影に比べて、全球パノラマ写真は撮影にも、その後の写真処理にも莫大な時間を要する。この点も前掲の爪句集を出版してからこの爪句集につながるのに十年を要する結果となった。
彫刻をテーマにした爪句集出版にあたっては、幾つかの問題点があった。これまでの爪句集は本文200頁を目途に出版してきている。従って、200作品しか爪句集に採録できない。これは、札幌の野外彫刻に限っても、全作品を採り上げることはできない事を意味している。本爪句集に載せる事が出来なかった取材済みの作品については、続編の爪句集の出版を考えている。
彫刻の場合、所有者が居り、撮影許可を得る問題がある。この点、公の場所の野外彫刻であれば自由に撮影して良いという常識に従って写真取材をしている。ただ、全球パノラマ写真では彫刻を取り巻く環境をも写してしまうので、この点が気になっている。
野外彫刻の定義の範囲は、自由に行き来する地下通路とかホールにも適用されるものと考えた。大学構内や学校校庭でも自由にアクセスできるところは、特に断りなく写真撮影を行っている。しかし、自由に撮影できる野外彫刻とそうでないものの線引きで微妙なところがあるのも事実で、この点あまり自己規制はかけないようにして爪句集を野外彫刻のガイドブックとしての役目を持たせる事を意図した。
一方、野外彫刻があれば当然室内の彫刻もあり、爪句集として出版してみたいところである。しかし、こちらは前述の撮影と出版許可を取り付けなければならず、その作業量を考えると、一人の力では及ばないだろうと思っている。将来室内彫刻の爪句集が出版できるかどうか、著者の残された時間もなく、出版の意欲の減退との競争でもあると思っている。
彫刻のガイドブックという視点からいうと、本爪句集に採録した全作品にQRコードを付けており、スマホやタブレットでこれを読み込む事で彫刻の置かれた景観を画面で見ることができる。爪句集は掌サイズであるとしても、拡大して彫刻を鑑賞し、彫刻を囲む風景に視線を遊ばせる事ができる。これは新しい彫刻巡りのガイドブックの嚆矢となるものであると思っている。ただ、彫刻のある場所の位置情報を地図にして添付できなかった点がガイドブックとしての条件に欠けていて、今後の検討課題であると思っている。
毎回爪句集出版では、共同文化社唯一人の編集・出版担当者のNさんに原稿のチェックから出版のスケジュール調整を図ってもらい、本爪句集も同様にお世話になった。Nさんや出版に際して印刷・製本を担当された(株)アイワードの方々にお礼申しあげる。
今年出版した爪句集33集「爪句@北科大物語り」の「あとがき」でも触れているけれど、今年は著者の金婚の年でもあった。結婚してからもう50年も経ったのかと感慨深いものがある。その年月の一時期に爪句集をシリーズで出版して来ており、それが可能であった理由の一つは妻の日頃の支えがある。それをここに記して感謝する。
爪句集32集、33集には定価に相当するビットコイン(BTC)価と著者の口座のQRコードを「あとがき」に載せている。相場の変動の激しいビットコインで爪句集が売れるのは期待できないけれど、ビットコインの相場の変動記録になって面白いのでここに著者の口座と共にビットコイン価を載せておく。この「あとがき」を書いている大晦日の相場から1BTC=150万円として、0.00033BTC としておく。
酉年のトリに野鳥を撮るチャンスを狙っての大晦日に…2017年12月31日