2011年12月31日
パノラマ写真「ここはどこ」シリーズ84
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- by 秘境探検隊長
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コゲラはキツツキの種類で、キツツキの仲間では最小の種である。最小で身軽のせいか、細い枝に止まって虫を探している。遠いところの枝に止まっていても、羽の白黒の縞模様がはっきりしていて、コゲラとわかる。似た鳥にアカゲラがいるけれど、アカゲラは頭や尻尾に近いところに赤い毛の部分があるので、コゲラと区別がつく。コゲラの頭は黒味がかった焦げ茶色で、まるで坊主頭のようである。枝の中の虫を追い出そうとするのか、この坊主頭を左右にして激しく動かしている。
縞模様 遠目認めて コゲラなり
虫探し 坊主頭を 右左(みぎひだり)
世界の国の縁の物や場所のこれといった対象が見つからない時の奥の手としては、化石の産地国を利用する。チェコ共和国もその一つである。元はチェコスロバキアであったものが、チェコとスロバキアに平和的に分離したのが1993年というから最近の事である。中欧のこの国から出土した化石が北大総合博物館に展示されている。名札にはディスコサウリクスとあり、三角形の頭を持った両性類である。古生代ペルム紀に栄えていて、超大陸「パンゲア」にチェコがあった時代らしい。
チェコの名を 化石に探し 両性類
パンゲアの 超大陸が 棲家なり
昨夕は忘年会である。集まったのは山登りでつながった面々である。企画者のパノラマ写真師匠のF氏、山歩きの仙人みたいなS氏、オーディオ機器通のN氏、料理人(漬物研究家か)のS氏に、F氏が声を掛けてT市から参加のブロガーKさん(来年はパノラマ写真見習いでデビューするかもしれない)である。
K本家で昼過ぎから談論風発で、外に出たら夕闇である。帰宅のため歩いて地下鉄駅まで行く途中、時計台がライトアップされていたので、パノラマ写真撮影である。かなり飲んでいたけれど、ちゃんとパノラマ合成が出来る写真が撮影できているので、パノラマ写真撮影の腕も上がったと自讃である。
F氏からポケットサイズのパノラマ写真装置を手渡されたので、これを使いこなせるかどうかが、次の課題である。
三角山は時折登山する。しかし、登山道で野鳥に出会うことが少ない。人気の山で登山者が多い登山道の近くには野鳥が寄ってこないためかな、とも思ってみる。その登山道でヤマガラを見つけた。雪の季節で葉の落ちた枝は見通しがきくので、野鳥の姿を目で追いかけることができる。しかし、動きが速いのでカメラに収めるのが難しい。どうにか撮った後頭部の写っている写真には、黒地に三本の白い筋が写っている。ヤマガラをこの角度で見るとこのように見えるのを初めて知った。
ヤマガラを 三角山で 撮らえたり
後頭部 白黒縞の 初見なり
エスポストア・ラナタの名前のサボテンの原産地名に、ペルー北部の表記があるので写真に撮ってみる。園芸名は老楽とあって、これはこのサボテンの棘にまとわりつくようにある白い毛が老人のそれを連想させることからきているようである。植物園温室の鉢の中のものは1m程度の高さであったけれど、3~5mにはなるとのことである。サボテン名はペルーの植物学者エスポストから付けられたとネットで知る。ペルーの北側で国境を接するエクアドルもこのサボテンの産地である。
老楽と 己(おのれ)に重ね 写真撮り
ペルーとは 遠き国なり 棘柱
円山動物園熱帯鳥類館の入口部分で虹色に輝く鳥を見かけた。ニジキジで名の通り虹色に輝いて見える。鳥には国境がないので、国よりは地域が生息地となる。その生息地はインド、チベット、ネパールの標高2千~5千mの高山地帯である。この地域の国々で、ネパールは札幌市内に縁のものが無さそうなので、ニジキジの故郷としてネパールを選ぶ。この国は2008年に王制を廃止、ネパール連邦民主共和国になっている。毛沢東派の台頭などがあり、政情が混乱している印象の国である。
ネパールの 高地で輝く 虹の雉
薄暗き 鳥舎に虹の かかりたり
2011年12月28日
円山動物園の熱帯鳥類館の入口につながっている半円形のホール部分です。ホールに面して、円弧に沿った側にはキジ類の鳥が間近にガラス越しに見られるようになっています。パノラマ写真では向かって左側からサンケイ、キンケイ、ハイイロコクジャク、アオミミキジ、ニジキジが飼育されています。
パノラマ写真を回転していくと反対側に鳥たちの剥製展示が見られます。大きな鳥の卵のところには孵化装置があり、孵化に要する日数などの説明も目にすることができます。
枯れ枝で 頭激振 コゲラかな
今朝は空の半分以上は雲で覆われているけれど、穏やかな朝である。野鳥にお目にかかれるかと、カメラを抱えて近くの林に出向いてみる。幸運にもコゲラが枝で激しく頭を動かしている。もっとよく撮ろうと近づいたら飛び去ってしまった。
化石の名札に馴染みの無い国を探していて、ボリビア産というのが目に付いた。この国の正式名称はボリビア多民族国で、多民族を国家の名前にしているのはこの国ぐらいなものではなかろうか。言語もスペイン語、ケチュア語、アイマラ語が公用語である。内陸国で南アメリカ大陸の中央部に位置している。名札のストロマトライトは、ラン藻類の死骸と泥粒が層状になった岩石であると知る。岩石の表面が磨かれていて、層構造がはっきり現われた化石を、博物館の陳列棚で眺めた。
ボリビアは 内陸国で 海化石
縞模様 海の思い出 留めたり
2011年12月27日
今日はカメラの手持ちでパノラマ写真を撮る修行に某所まで出向く。手持ちカメラでも、カメラを水平に保つための水準器とか、カメラの高さを一定にするための重し付きの糸だとか、カメラを回転していくためのコンパス等の小道具が必要である。これらの小道具を使うのが面倒なので、これら無しでパノラマ撮影である。被写体によっては上手くパノラマ合成が出来る場合がある。これがその例である。さて、ここはどこ。
北大総合博物館の化石展示室で、大きなサソリの化石のレプリカが目についた。名札にはミクソプテルスの名前がある。古生代デボン紀に海の中を這い回っていて、現在の陸のサソリと同様に毒針を持っていたと推定されている。化石の産地はノルウェー王国で、ノルウェーには国王が居て、立憲君主制の国である。ノーベル平和賞はノルウェーが授与主体になっている。この賞は政治的色合いが強く、2010年の中国の政治犯の劉暁波氏の受賞に際して、中国政府の激しい反発があった。
名札には ミクソプテルス 海サソリ
ノルウェー サソリ産地は 君主国
緑の茎にところどころくびれがあり、円筒状をつなげて伸びる奇妙な植物が鉢の中にある。まるで手芸作品のようである。植物園の温室のサボテンの部屋にあって、原生国としてブラジル東部、パラグアイ、ウルグアイが記された名札がある。後で調べてリプサリス属の柱サボテンと知る。日常生活の中でパラグアイやウルグアイと出合うことはほとんどなく、国の位置も地図を見てやっとはっきりする。珍しいサボテンが、これらのスペイン語が話されている国を認識させてくれた。
茎くびれ 手芸作品 鉢の中
ウルグアイ 位置はどこかと 地図開き
2011年12月26日
琥珀は松柏科の樹木の松やに等の樹脂が地中で化石となったものである。弥永北海道博物館には、世界各国から集められた琥珀が展示されていた。その中に虫入り琥珀というものがあった。これは樹脂の粘りで取り込まれた虫が、樹脂が琥珀になるのと一緒に化石となって、昆虫や植物の進化などの研究上重要な資料となる。琥珀の産地としてドミニカの国名が見える。この国は大西洋とカリブ海を区切るようにしてある西インド諸島の島国で、ハイチとプエルトリコと国境を接している。
ドミニカの 国名見えて 黒琥珀
飴色の 石と化したり 樹脂と虫
植物園の温室にコエビソウと名札の出ている花がある。原産地のメキシコの地名と並んでキツネノマゴ科と書かれている。後で調べると漢字名では「狐ノ孫」で、変った科名である。コエビソウの方は花の色形が小海老に似ているためである。赤い花のように見えるのは苞で、苞が重なった先端に白い花が顔を覗かせている。この花からメキシコを連想するものは何もないけれど、暑かった思い出のある高原の大地に、雑草然としてこの花が咲いているのかな、と思いを巡らしてみる。
色形 小海老に似てか コエビソウ
温室で 暑き思い出 原産地
2011年12月25日
ゴビ砂漠はモンゴルと中国内モンゴル自治区に広がる、世界で4番目の広さの砂漠である。この砂漠からは多くの恐竜の化石が発掘されている。北大総合博物館の恐竜化石展示室には、モンゴルのゴビ砂漠から発掘されたと記載のあるタルボサウルスの頭部の化石が置かれてあった。多分レプリカだろうと思われるけれど、その真偽を確かめるためか、手で触れる見学者も多いとみえて、以前にはなかった手触り禁止マークが置かれている。この恐竜はティラノサウルス科に属している。
恐竜は 眠り覚まされ ゴビ砂漠
伸びる手の 機先制する マークなり
「きょうも寒いですね。ちょっと一息つきませんか。」のチョーク書きメッセージに、恐竜の化石が炬燵でミカンを食べている絵が目についた。北大総合博物館のミュージアム・ショップの入口のところの看板である。なかなか面白い。そこでふらりと店に入ってみる。棚のところに見覚えのある新聞の切り抜きがある。朝日新聞道内版の爪句集の紹介記事(2011年10月23日)で、記事の下には爪句集のシリーズが並んでいる。店の配慮が功を奏し、売れ行きにつながれば、と思った。
炬燵から 恐竜化石 誘いたり
見覚えの 記事に目の行き 爪句集
2011年12月24日
漢字で書くと極楽鳥花は、温室で植物を見せる施設では定番の花のようである。北大植物園温室に咲いていたこの花には、原産地の南アフリカの国名があった。アフリカ大陸最南端に位置するこの国に関連するものを札幌市内に探しても、この奇妙な形の花以外に出合うものがなかった。バショウ科の花で、バショウの特徴的な大きな葉を広げていて、いかにも熱帯の植物の感じである。極楽鳥の方はニューギニア島に多くの固有種がおり、その尾羽の色形から極楽鳥花が命名されている。
バショウ科で 大葉(おおば)に隠れ 鳥名花
色形 逆さまにして 極楽鳥
2011年12月23日
ジャワとは地理的にはインドネシアのジャワ島を指す。インドネシアは巨大な島から構成されていて、ジャワ島に加え、スマトラ島、ボルネオ島、ニューギニア島が国土の主要な部分を占める。首都ジャカルタはジャワ島にある。植物園の温室にノボタン科のメディニア・スペキオサが咲いていて、原生地のジャワの表記がある。蕾のうち2,3個の花弁が開いて、内の蕊が顔を出している。色変わりのものもあって、遠目にはブドウの実のように見える。南国を感じさせる木花である。
南国の 雰囲気出して ノボタン科
遠目には ブドウにも見え ジャワの花
2011年12月22日
小さな体のせいか、今まで注意から漏れていた野鳥にシマエナガがいる。写真を撮り鳥の名前を知ってからはよく目につくようになった。シマエナガは小柄な鳥ながら、太った肥満体に見える。枝の一方に雪の塊があり、他方に白い体毛のシマエナガが止まっていると、雪の塊を分銅にした天秤ばかりで体重測定をしているようにも見えてくる。カラマツの枝に止まって頭を少し傾けた様子は、体重が増えた悩みを抱えた姿なのだ、と勝手な想像である。野鳥も擬人化して考えると面白い。
天秤で 雪の分銅 体重計
肥満体 悩むが如く シマエナガ
2011年12月21日
札幌市中央図書館(https://www.libeaid.jp/sapporolib/)では、将来の電子図書館を視野に入れて、その実証実験を行っている。共同文化社がこれに協力していて、同社の出版物の一部が電子図書として閲覧できるようになっている。ただし、実証実験なので、本の中身の閲覧はインターネットを介してでなく、中央図書館に出向いて、そこの端末からである。
ブログ子のこれまで出版した全爪句集も閲覧できる(カテゴリは趣味)。
都市秘境本も同様に閲覧できる(こちらのカテゴリは旅行)。ブログ子はまだ端末から閲覧してはいないけれど、このブログを見て、実際に中央図書館で閲覧された方が居られれば、コメントがいただければ有り難いです。
ヒヨドリがナナカマドの枝に止まっている。灰色と白の斑模様の胸毛と、目の縁からあごにかけ茶色の模様があり、色彩的にはくすんだ色の鳥である。周囲のナナカマドの赤い実と背景の青空が、この地味な色の鳥を引き立てている。写真を撮られるのを嫌った訳でもないのだろうが、急に枝から飛び立った。自動撮影の設定では、広げた羽はぶれて写ってしまう。マニュアルモードでシャッター速度を調整して撮れば、羽の一枚一枚が鮮明に写せるのだろうが、そこまでの腕は無い。
地味色の ヒヨドリ飾る ナナカマド
自動撮り 瞬時撮り得ず 羽のぶれ
2011年12月19日
2011年12月18日
札幌市さけ科学館の館内の並んだ水槽にレイクトラウトの説明があり、水槽内に稚魚が泳いでいる。分布域が描かれていて、北アメリカの東北部分の広い地域になっている。イワナの一種であり、冷たい湖水に棲み、成長は遅く20年も生きると説明にある。漁業資源であるけれど、スポーツフィッシング用に人工的に孵化され放流されてもいる。日本ではカナダ・オペオンゴ湖から導入され、中善寺湖で繁殖している。科学館の説明に故郷の国の旗が描かれていて、星条旗になっていた。
説明に 故郷(ふるさと)の国 星条旗
湖沼マス 寿命は長く 20年
2011年12月17日
今やパノラマ写真家のF氏のお誘いで、雪の白旗山散策ということになった。手撮りでパノラマ写真が可能か確かめることも頭にあって、魚眼レンズ装着のカメラを抱えての雪山歩きである。自動車で清田区有明にある「札幌ふれあいの森」の駐車場に車を止め、ここから歩きとなる。
雪は思ったほど深くはなく、スノーシューやかんじき無しで歩く。鹿の足跡などを見ながら、山歩きの達人S氏の案内で、厚別川沿いの小高い尾根道などを歩く。天気も良く、日ごろの運動不足解消と、先を行くS氏とF氏についてゆく。
別れ道にある標識を撮っても、魚眼レンズのため、S氏の顔が写ってしまう。標識にあるふれあいセンターからログハウス跡まで行き、谷に下り、川を渡り坂を登り探勝の森方面に歩を進める。
昼近くなったので、雪の遊歩道にテント設営である。テントの内で携帯ストーブでホルモン焼きなどを食する。ビールを周囲の雪で冷やせるので、天然の冷蔵庫から出したようにして飲む。美味かった。運転手役のF氏はノンアルコールビールである。この時、F氏は一時的に記憶喪失で、ちょっとびっくり。市内に戻った時には回復していたけれど、心配である。
2011年12月16日
雪の原っぱに動くものがある。鳥が雪の下の土から餌になる物を掘り出しているようである。写真を撮っても頭しか見えない。多分逃げるだろうと思いながら近づくと、やはり逃げられてしまう。近くの枯れ枝の茂みに入ってしまうと枝が邪魔で、鳥だけを写すことができない。ここでも近づくと別の場所に逃げてしまう。野鳥と追いかけっこをしているみたいである。羽の一部に目立つ水色、黒、白の縞模様があり、この鳥はカケスである。雪を漕ぎながらのカケス追いは運動になる。
雪の中 頭動いて カケス居り
枯れ枝に 水色縞の 目立ちたり
2011年12月15日
野鳥図鑑によれば、シマエナガはエナガの亜種とある。エナガを漢字表記にすると柄長である。長い尾を柄に見立てたものだろう。尾が長いのであればオナガ(尾長)の方が合っていると思われるけれど、この名前には先客の鳥がいる。ただし、オナガは本州の一部では見られても、北海道では見ることはない。長い尾を見上げるようにして撮ると、黒と白の縞のように見え、これがシマエナガの名前の基になっているようである。この尾が無ければ、枝に残された雪塊のようでもある。
尾の縞が 名前の由来か シマエナガ
雪塊(せっかい)が 枝に残りて シマエナガ
札幌市の観光公式サイト、「ようそこそさっぽろ」のブログの担当部分「花・まち」の更新がありました。「スタルヒン投手の大きな石膏像と対面できる本田明二ギャラリー」というタイトルで、このギャラリーを採り上げています。建物は住宅街にあり、内に入って初めてギャラリーとわかるような、無料で見られるギャラリーです。
2011年12月14日
本日(12月14日)は「都市秘境を歩いて爪句を作ろう」(これが講座の正式名称)の最終日で、内田洋行北海道支店のショールームを借りて、爪句作りに関する講義である。講義に一生懸命だったため、講義中の写真を撮るのを失念。帰り際に慌てて1枚撮る。
最終日ということで、講義終了後は昼食会である。講義の会場の近くのホテルハシモトにある橋本食堂で、参加者全員同じメニューのランチである(ブログ子が前もって適当に注文したもの)。最終日なので受講者全員参加である。これで当分ブログ子は講座の下準備から開放され、爪句の写真撮りに精力を注げることになる。参加者の幾人かは爪句の句作の宿題を背負ったことになり、その成果も加えて、来年の2月頃までに爪句集豆本の原稿を揃えたいと思っている。
自宅の軒に接してナナカマドの木がある。その辺りから木を叩く音がする。この音はアカゲラと予想をつけ、カメラを持って木の下から音のする方向を見上げる。やはりアカゲラで、ナナカマドの幹の枯れた部分をその丈夫な嘴で激しく叩いている。虫を探すことに集中しているようでいて、近づくと逃げてしまう。遠くから上手く写るアングルを探し、何枚か撮ってみる。嘴で叩いて虫を追い出しても、最終的には目で虫の存在を確かめるためか、見開いた目は大きく印象的である。
アカゲラの 赤き頭や ナナカマド
虫を追う アカゲラの目の ぎょろ目かな
カラマツの林沿いの雪道を、写真の対象に気を配りながら歩く。すっかり葉を落としたカラマツの高い梢で鳥が鋭く鳴いている。肉眼では鳥の種類を判別できない。遠すぎるとは思ったけれど、望遠レンズで野鳥の姿をカメラに撮り込んだ後で、パソコンで見る。鋭い嘴と斑模様の胸毛からヒヨドリとわかる。二匹で止まっているヒヨドリは、一方が話しかけているのに、片方は無視しているようにも見える。そうではないのだろうけれど、瞬間を切り取った写真ではそれも有りである。
カラマツの 高き梢で 叫び鳴き
語りかけ 無視のヒヨドリ 雪梢
雪で埋まった林は積雪と枯れ木で色に乏しい。そんな林道を雪を漕ぎ分けて歩いていると、明るい色が目の前を横切る。野鳥であるのは認識できても、動きが速いので鳥を同定できない。飛んでいるところを撮る腕もなく、枝に止まったところをカメラに収める。後でパソコンで見てみると濃い橙色の毛の胴体に、頭の上と首のところに黒毛を配したヤマガラである。この鳥は、秋に種子などを幹の割れ目に貯食し、冬にそれを餌にする習性を持っている。貯食とは初めて知る言葉である。
ヤマガラの 止まる瞬間 狙い撮り
嘴で 摘(つま)み出すのか 貯食種子
2011年12月10日
胸毛色 枯葉に見せて カケスなり
野鳥でも撮れるかとカメラを抱えて山道に入る。こちらが準備万端な時ほど、野鳥は姿を見せない。ギャーと叫ぶような鳴き声がするので、そちらを見るとカケスが地上にいる。カメラを向けるとすぐに飛び上がって高い梢から見下ろしている。
北大植物園の温室でサボテンが集められた部屋に、エリオカクツス・スクマンニアヌス(Eriocactus schumannianus) の名札のあるサボテンがあった。原産地はパラグアイとなっている。パラグアイはブラジルとアルゼンチンに挟まれるようにしてあり、西のボリビアとも国境を接している。スペインの植民地から独立して共和国になっていて、公用語はスペイン語と先住民族の言語のグアラニー語である。馴染みの薄い国に縁のサボテンは、長い棘を伸ばして鉢の中に納まっていた。
パラグアイ 位置は何処なり 地図広げ
これ剣山 エリオカクタス 長き棘
2011年12月09日
HTBテレビの「イチオシ」番組で、不定期で「北海道珍百景」が放送される。11月30日の午後に放送されたものが、今朝(12月9日)の「イチオシーモーニング」でも再放送された。
前回の音更町下士幌のまつ毛のある狛犬とサンタクロース姿の新琴似駅の熊の石像が採り上げられている。この新ちゃんのパノラマ写真は本ブログにアップしてある。
時間の関係からか、前回放送された真狩村の忠犬ポチ物語が消え、新しくすすきのにある豊川稲荷の本殿天井の干支の絵がテーマのものが新しく放送された。本殿の天井に、干支の動物が円の内に描かれているのだが、円は11個しかなく、これでは1匹干支の動物が足りない。
実際、最初に天井を見上げた時、足りないと思われた馬をなかなか見つけることができなかった。これを題材に、北海道新聞朝刊の「朝の食卓」コラムに「馬はどこだ」を書いている(2010・1・8)。これがこのコラムの執筆を担当して初回の原稿となった。コラムを書いた時からもう2年が経って、このコラムのお勤めは本年で終わりである。
ネズミと馬は中央の大き目の円に収まっていて、分かると「な~んだ」ということになる。しかし、この情報無しで天井を見上げると、馬の姿を見出すのはかなり困難である。テレビカメラで撮った映像を見ると、馬は割かしはっきりしているけれど、現場に立てばこんなにはっきりしてはいない。
HTBのスタッフが録画撮りしている現場のパノラマ写真も撮っている。
豊川稲荷は曹洞宗の玉宝禅寺であり、神主ではなく袈裟姿の院代の牧野良章氏がテレビカメラの前で解説を行っていた。道新のコラムが出た後で、この干支図を見に来た人が居たというから、今回のテレビ放送で本殿を覗き見する視聴者も居そうである。
テレビ番組の世界遺産でソコトラ島を視たことがある。島はアフリカ大陸とアラビア半島に囲まれたアデン湾の出口のところに位置する。イエメンのアデン県に属し、独特の生態系を持っていて、「インド洋のガラパゴス」と呼ばれている。テレビには血止め薬のシナバルの採れる異形の木の竜血樹などが紹介されていた。植物園で見たベゴニアの鉢には、花の原産国のソコトラ島が記載されている。珍しい動植物で世界遺産にもなっているこの島原産にしては、平凡な花に見えてしまう。
ソコトラの 文字に向けたる カメラかな
ベゴニアは 世界遺産の 出自なり
駅の構内であることが分かったとして、ここはどこの駅。隅に置かれているサンタクロースのコスチュームを着た置物がヒントで、当ブログの先週の記事にこの置物が出ています。
明日9日(金)のHTBテレビのイチオシーモーニングの朝7時30分過ぎ頃に、この場所を採り上げたものが再放送の予定と、担当プロデュサーから連絡がありました。
2011年12月07日
今回の都市秘境散策講座は歩きはあまりなく、座って話を聞く会となった。JR函館本線琴似駅集合で、すぐ傍の三角山放送局のスタジオ見学である。スタジオは札幌建築景観賞第1号のレンガの建物の内にある。FM放送であるけれど、インターネット放送も行われている様子がガラス窓越しに眺められた。
三角山放送局は「㈱らむれす」が運営しており、同社の編成制作部の大野和美さんからラジオ放送に関する諸々の話を聞く。
その後、在野の花粉研究家の伊東裕氏に参加してもらい、ヒマワリ花粉やヒマワリの花托部分から抽出するペプチンの健康に有効である事の紹介があった。ご自身の体験談として、緑内障がヒマワリのペプチン成分を飲むことによって劇的に改善された話が印象的であった。
三角山放送局からは近くのコンカリーニョ劇場を見学する。正面のドアは閉まっていて、裏口がなかなか見つからず、少々焦る。劇場は公演の無い時に見学すると、舞台と客席だけで、本当に何もないところである。説明は大江氏である。
高い木の先に大型の鳥が止まっている。光りの加減で、シルエットに近い写りとなっていて、色合いがわからず、何の鳥かはっきりしない。格好からはトビのようである。望遠レンズを向けてしばらく待機していると、梢から飛び上がった。開いた翼羽の様子や三味線のバチ状の尾羽から、トビである可能性が高い。小雪模様で、鉛色の空に合わせたように濃い灰色の姿で飛び去って行った。これから雪で覆われる山野で餌を捕獲するのは難儀なことであろうと、飛びゆく先を見やった。
鳥梢(とりこずえ) 小雪の空で 影絵なり
飛び姿 トビと推定 初冬空
2011年12月06日
札幌市の観光公式サイト、「ようそこそさっぽろ」のブログの担当部分「花・まち」の更新がありました。「雪のある冬景色から熱帯・乾燥地帯を体験できる北大植物園温室へ」というタイトルで、11月に入ってから冬季閉園となっている北大植物園で、唯一見学ができる温室をパノラマ写真で紹介しています。
木に棲みついて、木と一体になった鳥がいる。鳥の種類ははっきりしないけれど、その大きな嘴が特徴的である。この嘴で何か餌を捕りたいように見えても、木の幹から離れられないのでは、ひたすら上から落ちてくるものを待つしかない。しかし、餌になるようなものは期待できないようで、雪が嘴にかかる程度である。横から見ると、立派な嘴が木の幹から飛び出していて、この嘴に勝てる他の鳥はいないだろう。冬を迎えると木の葉も消えて、大嘴の鳥たちが嘴を誇示している。
幹鳥は 嘴伸ばし 雪被り
冬空に 大嘴を 誇示したり
2011年12月05日
梅の枝に積もって解けた雪の水滴が朝日で光っている。イルミネーションで枝を飾っているようである。この季節恒例の冬のイベント、ホワイトイルミネーションが都心部で行われている。このイベントでは、様々な色の電球やLEDが、札幌の夜を飾る。これに対して、朝日に輝く水滴イルミネーションは白色一色で、素朴なものである。電気代もかからず、エコロジカルな飾りである。難点はいつも見ることができない点で、雪が解ける気温と朝日が顔を出す条件が満足される必要がある。
豆電球 点るが如く 梅の枝
水滴で エコ電飾の 雪の朝
2011年12月04日
温室には乾燥地帯の植物が見られる部屋があります。乾燥地帯の代表的植物はサボテンで、大きなものから鉢植えの小さなものも見ることができます。サボテンの棘は葉が変形したものです。
サボテンの部屋のパノラマ写真を回転してゆくと、説明看板が現われ、それを拡大して読むことができます。そこにサボテン科はペイレスキア、オプンチア(ウチワサボテンなど)、セレウス(柱サボテンや玉サボテンなど)の三種に分類されることがわかります。サボテンという呼び名は日本名で、その語源ははっきりしない、とも書かれています。
団扇状のサボテンや柱のようなもの、巨大なボール状のものと、大きく育ったサボテンが乾燥地帯を模擬した部屋の内で、所狭しと並んでいます。
北大植物園温室のパノラマ写真です。植物園ですから植物名のラベルがついています。解像度の点からは、それほど高解像の写真ではないものを貼り合わせたパノラマ写真で、フォーカスを合わせるのがラベルの部分でないこともあって、パノラマ写真を拡大して行っても、ラベルの文字は読めません。ただ、大きなラベルのものはかろうじて読むことができます。
このパノラマ写真では拡大していくと「コーヒーノキ」の名札が架かっている木を見つけることができます。コーヒーの木で、コーヒー豆が採れる木です。この木は名前が「コーヒー」で木は普通名詞でつけるものと思っていました。「桜の木」は桜が種の名前で、木は普通名詞といった具合にです。しかし、「コーヒーの木」がこの植物の名前になっています。
当然コーヒー豆から苗を育て、木にまですることができます。コーヒー豆を売る店で時たま育てていたりするのを見ることがあります。コーヒー好き(飲む方がです)が店からもらった豆で木に育てようと試みたりします。コーヒーを飲みながら、育っていく「コーヒーノキ」の木を観賞するのも洒落ています。
スズメが飛び回って枯れ枝に残る実を啄ばんでいる。撮った写真を見ると毛を膨らませているのか、ずんぐりした体型である。師走に入っているけれど、比較的暖かな日で保温のために体毛を膨らませるほどではないとは思われる。しかし、スズメの体型は相撲取りを連想してしまう。それにしてもこの鳥は忙しない。カメラを向けるとその瞬間に飛び去ってしまい、フォーカスを合わせる暇がない。珍しい鳥でもないので、撮り逃がしてもまたの機会があり、気楽に撮れる野鳥である。
毛膨らみ 連想するは 相撲取り
フォーカス 合わせ難くて スズメかな
2011年12月03日
プールも見えますが、さてここはどこ。
パノラマ写真を拡大していくと、プールの中で咲いている紫の花を見ることができます。これは熱帯スイレンです。スイレンの葉と並んでいるのはオニバスの葉のようです。
スイレンとハスの見た目の違いは、花の方ではスイレンは水面すれすれに顔を出しているのに対して、ハスは花茎が水面の上に伸び、水面から離れたところに花を咲かせます。
葉の方では、スイレンは水中にある葉柄(葉の茎)から水面で横に葉が伸びるのに対して、ハスは葉柄が葉の中心にあります。茎を中心にして葉が広がる状態です。
北大の前身の札幌農学校初代教頭のクラーク博士は、ロンドンのキュー王立植物園でオオオニバスを見たことがきっかけで植物学を志したと言われています。そのエピソードを表すため、北大構内にあるクラーク博士の胸像の台座部分にはオオオニバスがデザインされています。
カメラに望遠レンズを装着しているけれど、野鳥を専門に撮る人が持っているバズーカ砲のようなレンズではない。したがって、遠くの梢に止まっている野鳥はそこそこ形を撮ることができても、フォーカスは甘い。時たま野鳥が間近の木に止まることがある。このシャッターチャンスを生かすことができれば、鮮明な写真を撮ることができる。シジュウカラが目の前の木に止まった得がたいチャンスを生かして撮った写真は、羽の縞筋も鮮明に写っていて、図鑑の写真並みに撮れている。
間近撮り 図鑑写真の シジュウカラ
拡大で 黒毛の中の 目確認
身体は小さい頭部の白い鳥を撮る。拡大して見ると、長い尾を持ち、嘴が小さい。野鳥図鑑で照合するとエナガの亜種のシマエナガらしい。北海道でよく見られる野鳥とあるから間違いないようである。雌雄同色とあるから、二羽でいたのは番いかも知れない。大抵の野鳥は、過眼線のような頭部や眼の周囲に色違いの模様があるのが普通なのに、この鳥は頭部が白一色である。その頭部に小さな目と嘴がついていて、手作りの鳥の感じがする。季節は師走に入り、野鳥も忙しそうである。
目嘴 小さくありて シマエナガ
雰囲気は 同色なれど 番(つがい)なり
11月の最終日、HTBの午後の番組「イチオシ」で「北海道の珍百景」の放送があった。この番組の司会者のヒロ福地氏と森さやかさんがスタジオで掛け合いをやって番組の進行である。
当方は解説役で、自宅で本を読んでいるシーンのビデオが放送された。それにしても、最近は本を読まなくなった。専門書に至っては皆無の状況である。
番組で取り上げられた音更町の狛犬は、目はパッチリとまつげあり、である。
JR新琴似駅の守り神の熊の石像には「シンちゃん」の名前が付けられていて、サンタクロースの衣装が着せられている。
真狩村で有名な忠犬ポチは剥製が映像に出てきた。ポチが晩年暮らした札幌厚別区の報恩学園の「すみれ記念館」にもポチの剥製があったはずで、さてどちらの複製が本物か、その内究明してみようと思っている。
NHKの生放送に出演のため出向く。約束の時間前に着いたので、局の建物の前の広場で写真を撮って時間の調整である。初冬のこの時期、撮りたくなるような朝の景色は視界に入ってこない。茶色の葉が残っているカシワの木の幹に顔が浮き出ている。シラカバの木の幹にはこの種の顔を見つけることがあるけれど、カシワの木に見るのは珍しい。両目と口があり、鼻に相当する造作がないけれど、鼻があるとすれば長い顔や短い顔がある。木の幹の顔を喜怒哀楽のどれにするかは難しい。
鼻長き 顔を見つけて カシワの木
難しき 喜怒哀楽の 顔判定